BtoBマーケの顧客理解は「業務理解」
BtoBマーケティングの難しさは、複数の購買検討者が関与することにある。担当者から決裁者まで、立場の異なる人たちにサービスを訴求しなければならないのだ。
加えて、業界と業種の掛け合わせが顧客のニーズを多様化させている。たとえば同じ営業部門でも、金融業と製造業では、求められる機能や役割に大きな違いがある。このような背景から、ビジネスデータベース「Sansan」をはじめとしたソリューションを展開するSansanでマーケティングを推進する福永氏は、次のように語る。
「企業のニーズは千差万別で、単に機能を訴求するだけのマーケティングでは響かなくなっています。こうした中で重要になるのが、提供価値の言語化です。自社の提供できる価値を適切に言語化して伝えないと、顧客にサービスを理解してもらえず、購買にもつながりません」(福永氏)
この言語化に必要なのが「顧客理解」である。顧客理解と聞くと、一般的には個人の属性やライフスタイルといった“人物像の把握”を思い浮かべるかもしれない。しかし、BtoBマーケティングにおいては、顧客の「業務理解」が重要だと福永氏。BtoBマーケティングは企業が主体となるため、「顧客理解も単なる人物理解ではなく、企業の業務内容や課題を正確に把握することが重要」と語った。
機能や価格ではなく「価値」を訴求する
福永氏は“包丁”のマーケティングを例に、顧客理解の重要性を説明した。たとえば、包丁というプロダクトを起点に考えると、「切れ味が鋭い」「食材を星型に切れる」「柄が持ちやすい」といった機能訴求になりやすい。しかし、このアプローチには大きな落とし穴がある。
「競合他社も同様の機能を開発できるので、機能訴求だけでは差別化が難しいといえます。また同じような機能のプロダクトが並ぶと、顧客は値段で比較します。そのため、次は価格を下げたり別の機能を追加したりと、終わりのない競争に陥るのです」(福永氏)
こうした状況を避けるには、機能や価格ではなく「価値」を訴求することが重要である。たとえば「調理時間が短くなる」「食卓で過ごす時間がより充実する」といった、包丁によって提供できる価値を伝えるのだ。
価値を訴求するためには、まず顧客の業務内容や課題、実現したいミッションを理解する必要がある。その上で提供価値を伝えることが、マーケティング活動において欠かせないと福永氏は述べた。
