独自のペルソナフレームワーク「前田フレーム」とは?
Sansanでも同様に「価値訴求」を実践している。同社のマーケティング部門の9割が中途社員となるため、マーケティング実務の経験も未経験者からベテランまで幅広い。これらのメンバーの顧客に対する共通認識を揃えるためには、ペルソナ設定が重要だ。しかし、よくある「人物像」を整理するためのペルソナフレームワークでは、Sansanの求める「業務像」の言語化は難しい。
そこで同社が活用しているのが、「前田フレーム」と呼ばれる独自のペルソナフレームワークである。前田フレームは、社員である前田氏が中心となって設計したことから命名された。縦軸にデータ活用度、横軸に課題種別を配置し、両軸を掛け合わせて顧客を類型化する仕組みだ。
データ活用度では、システムを導入していない「Level 0」、システムは導入しているがデータの質や量に課題がある「Level 1」、データを分析したい「Level 2」と、段階的に定義している。課題種別は、「データを活用して個人の生産性を上げたい場合」と「組織として活用したい場合」の2つとなる。

Sansanのペルソナ設定は、前田フレームだけではない。ペルソナごとに「顧客の業務」「現状の課題」「課題に対し、どの機能で解決するか」「課題解決により、顧客がどのように変化するのか」を時系列で、詳細シートで管理・整理している。
「ペルソナを詳細まで設定することで、メンバーが増えても担当者同士で共通認識を持つことができます。また、顧客の解像度が高まるため、企画の精度向上やペルソナごとに適切な訴求ができるようになります」(福永氏)
Sansan流・コンテンツ制作の「4ステップ」
前田フレームを活用したコンテンツ制作は、4つのステップで進められる。福永氏はホワイトペーパー制作の事例を挙げ、説明した。
第1ステップは「顧客設定」だ。前田フレームからペルソナを決める。この事例では、スモールビジネス領域でAI活用に課題を持つ顧客をターゲットとして、「ペルソナD(データ活用度レベル1、課題種別はデータを活用して個人の生産性を上げたい場合)」が選ばれた。
第2ステップは「課題特定」である。選定したペルソナの詳細シートから課題を特定する。課題を絞る理由は、網羅的な内容では訴求が抽象的になり、自分ごととして捉えてもらえないからだ。今回は、顧客の商談の課題に着目した。
第3ステップは「訴求検討」。ペルソナの課題に対してのサービス訴求を検討する。この事例では、「Sansan×AI訴求」に決定した。訴求と合わせて、起承転結でコンテンツの骨子も作成する。

そして第4ステップは「アウトプット」だ。タイトルやページ内の細かい文章、図版を策定し、コンテンツを仕上げていく。
「いきなりコンテンツを作り始めるのではなく、まずは『ターゲット』『課題』『訴求』を明確にすることが重要です。これらを決めずに進めてしまうと、顧客に伝わらないコンテンツになってしまいます。また第3ステップまで整理することで、第4ステップでデザイナーやライターなど他部署との連携がスムーズになり、制作スピードも大幅に向上します」(福永氏)
