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MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2025 Autumn

北欧、暮らしの道具店とミウラタクヤ商店が語る!顧客と繋がりコンテンツセントリックに事業を伸ばす本質論

 なぜ、あの会社は顧客と深く、長くつながり続けられるのだろうか――。過去最高の売上成長を遂げたクラシコムが運営する「北欧、暮らしの道具店」と、ひとりECで5期連続年商1億円を実現する「ミウラタクヤ商店」。事業規模も組織体制も異なる両社だが、その問いの答えとして「コンテンツセントリック」という共通の思想を掲げている。顧客と真に長期的な関係を築き、LTV向上へと結びつけるための本質とは何か。MarkeZine Day 2025 Autumnでミウラタクヤ商店の三浦氏と、クラシコムの高山氏が語った。

「ひとりEC」と「北欧」の共通点

三浦:私は「社会の脂肪を減らす」というコンセプトでプロテインやサプリメント、睡眠関連商品などを「ひとりEC」のミウラタクヤ商店で販売しています。今日は、クラシコムの高山さんと「コンテンツセントリック」について話していきたいと思います。コンテンツセントリックとは、端的に言うとコンテンツをビジネスやブランドの中心に据えると、顧客との関係が強くなるという考え方です。

ミウラタクヤ商店 店主 三浦 卓也氏
ミウラタクヤ商店 店主 三浦 卓也氏

高山:クラシコムは「北欧、暮らしの道具店」に代表されるD2C事業を中心に、企業のマーケティング支援やブランド開発など、ブランドソリューション事業をBtoB領域にも展開しています。

 「コンテンツセントリック」は、マーケティング手法ではなく、思想だと捉えています。私たちはLTVを重要な経営指標として見ていますが、お客様が離脱することがないように、コンテンツを通じてお客様とつながり続けることを大事にしています。たとえば、購買頻度が高いお客様もいれば、今は商品を欲しくないという状態のお客様もいます。後者のお客様ともコンテンツでつながり続けられれば、ふとした機会にお買い物をしていただくことができます。

三浦:クラシコムさんは顧客のファネルごとにコンテンツを提供するプラットフォームを意識して分けていますか?

高山:マルチチャネルとマルチカテゴリーというコンセプトで展開していますね。お客様の状態や興味関心は様々なので、チャネルとコンテンツが紐付くことを意識しています。たとえば、LINEでは商品情報に対する反応が良いです。だから、モノを軸にしたコンテンツを提供するよう意識しています。このように、お客様から求められているものを理解した上でコンテンツを出すようにしています。

コンテンツとは、感情を喚起し共感を作るものすべて

三浦:クラシコムではコンテンツの定義はありますか?

高山:関係性をつくり深めるうえでの媒介すべてだと考えていて、コンテンツをプロダクトとして捉えています。「読みものや動画から商品ページへの流入をどれほど図っているのか、KPIや導線をどうしているのか」とよく質問を受けるのですが、この質問はコンテンツをマーケティング手法として捉えているのだと思います。

株式会社クラシコム 事業開発部 執行役員 高山 達哉氏
株式会社クラシコム 事業開発部 執行役員 高山 達哉氏

 コンテンツをプロダクトとして捉えると、コンテンツを通して「自分が悩んでいることともリンクしてて、今見れて良かったなぁ」とか、「この世界観を我が家の食卓でもささやかに再現してみたい」などコンテンツそのものを体験してもらうことが大切だと考えるようになります。

三浦:コンテンツもプロダクトと考えると、無理に商品ページとつなげる必要はなくなりますよね。さらに、ジャーニーの中でサービスやモノとしてのプロダクトが活用できる場面は限られてしまいますが、コンテンツはあらゆる場面で活用できます。コンテンツは顧客接点を作る媒体として非常にいいと思います。

高山:三浦さんはコンテンツをどう定義していますか?

三浦:ブログやInstagram、DMのやり取りも含め、感情がわいたり共感できたりする活動すべてがコンテンツだと考えています。

高山:まさに、クラシコムも同様の考え方です。そして、コンテンツとは感情や共感を呼ぶものだと考えると、顧客理解にもつながってくると考えています。

 コンテンツを出すと、お客様からのリアクションが返ってきます。もちろん、反応がないことも1つのリアクションです。コンテンツの反応を見ていくと、お客様から何が求められているのかがわかってきます。

 クラシコムは事業規模約80億円・社員約100名ですが、現時点ではマーケティングリサーチ部門や担当者を置いていません。コンテンツを日々考えて出してわかったことを企画に活かす。これが顧客解像度の高さにつながっていると思います。

三浦:コンテンツに対するお客様の反応を確認していくと、相手が知りたいことや、次に聞かれることが見えてきますよね。顧客解像度が高まっている=お客様のことがわかっている状況だと、何を発信すればいいかがわかる。コンテンツの打ち手が正確になります。「わかってるじゃん」と相手に思ってもらえると、お客様との関係性がさらに良くなって、LTVも向上します。クーポンをばらまいたり、企業の都合でCRMを回したりするよりも、コンテンツを作ってお客様にきちんと届ける方が、LTVを高められる可能性があると実感しています。

高山:企業が売りたいタイミングでコミュニケーションをしてお客様と関係性を作るのがCRMの手法として一般的です。そうではなく、グッドコンテンツをお客様に届けて関係性を深めていくのがクラシコムの考え方です。コンテンツを通じてお客様にいい体験を届けると、「この世界観を自分の暮らしにも取り入れたい」と思ってもらえます。ここが大切です。

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コミュニティは「結果」として生まれる

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この記事の著者

佐々木 もも(ササキ モモ)

 早稲田大学卒業後、全国紙で約8年記者を経験。地方支局で警察や行政を取材し、経済部では観光や流通業界などを担当した。現在は企業のオウンドメディアの記事企画や広報に携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/10/28 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49922

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