SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

データドリブン×心を動かすマーケティング(AD)

初回即完、2回目は売上2.5倍!UHA味覚糖「グミの日」施策に学ぶ「TikTok Shop」活用術

 2025年6月、日本に本格上陸した「TikTok Shop」。多くのマーケターが「新たな販売チャネルとして本当に機能するのか?」と、その実力を注視している。その問いに鮮烈な答えを示したのが、UHA味覚糖が9月3日の「グミの日」にあわせて実施した「UHA味覚糖 夏の福袋2025」施策だ。同社はまず8月に、ポテンシャルを知るためのプレ施策を実施。400個をわずか6日で完売させ、TikTok Shopの可能性を確信。そこで得た学びを活かして追加施策を講じ、9月の本配信に臨んだ。その結果、わずか3日で1,000個を売り上げ完売。プレ施策から販売実績を2.5倍に伸長させるという驚異的な成果を上げたのだ。本記事では、UHA味覚糖、日本グミ協会、TikTok Shop Japan、Hakuhodo DY ONEの4社を取材。UHA味覚糖は、1回目の施策から何を学び、2回目でいかにして成果を最大化させたのか。施策の全貌と、日本市場におけるTikTok Shopの可能性に迫る。

9月3日「グミの日」とは? UHA味覚糖と日本グミ協会が育んだファンの輪

MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、毎年9月3日に行われている「グミの日」とは何か教えてください。

UHA味覚糖 川越:グミの日は、グミのおいしさや楽しさをもっと多くの方に広めていくことを目的に、9月3日を「グ(9)ミ(3)」と読む語呂合わせから、UHA味覚糖が2007年に制定した記念日です。毎年日本グミ協会と共同で、恒例のファン向けキャンペーンを実施しており、ファンの皆様と直接コミュニケーションをとる貴重な機会となっています。

画像を説明するテキストなくても可
UHA味覚糖株式会社 ECセクション ECデパートメント デパートメントリーダー 川越 亮太氏

日本グミ協会 武者:元々UHA味覚糖がグミの日を制定していることは認識していたのですが、まだSNSがあまり盛んではなかったこともあり、当時は言及している人がほとんどいませんでした。「それなら日本グミ協会が盛り上げよう!」と、同人的にイベントを始めたのが2013年です。その後、徐々にテレビ番組をはじめとした様々なメディアに取り上げられる機会も増えていき、2017年からはUHA味覚糖を含むグミメーカーとの公式グミの日を開始。2020年のグミの日からはSNS施策に注力し、6年連続でXトレンド日本一を獲得できました。グミの日が生活者に認知され、浸透していくことにより、今ではコンビニなどの小売店舗も参加する大きなムーブメントとなっています。

画像を説明するテキストなくても可
日本グミ協会 名誉会長 武者 慶佑氏

MZ:UHA味覚糖と日本グミ協会が共同で取り組まれている施策についても教えてください。

UHA味覚糖 川越:福袋施策は、当社が2019年の年末から実施している人気企画で、キャンディやスナック菓子などを含めてUHA味覚糖のお菓子を幅広く詰め合わせたものです。そのなかにたくさんのグミが含まれていることから2024年末、日本グミ協会によるレビューライブをYouTubeにて開催しました。また、デジタルネイティブ世代からの「グミだけの福袋も欲しい」といった声にお応えして、2024年夏からはグミのみの福袋「グミ袋」もスタート。2025年は満を持して、グミの日にグミ袋を販売するに至りました。今回はプレ日(8月6日)とグミの日(9月3日)の2回に分けてレビューライブを開催しています。

「視聴」と「購入」の分断を解消。UHA味覚糖がTikTok Shopを選んだ狙い

MZ:今年はレビューライブのプラットフォームをTikTokへ移行され、新サービスの「TikTok Shop」も活用されたそうですね。その背景を教えてください。

UHA味覚糖 川越:2025年6月、TikTok Shopが日本に上陸したタイミングですぐに「これをやろう」と決断しました。元々UHA味覚糖は海外マーケティングの手法としてライブコマースを活用しており、魅力は十分に認識しています。お客様と直接対話できることや、購買導線の短さはライブコマースにしかない素晴らしい文化だと思い、前々から日本でも早く普及しないかと大きな期待感を寄せていたことが背景です。

日本グミ協会 武者:「動画を見ながら購入する」ことができるのも、TikTok Shopの大きなメリットですよね。その他プラットフォームの場合は商品ページのリンクへ誘導する必要があり、「視聴」と「購入」が分断されてしまいますので。日本でローンチしたばかりのTikTok Shopのポテンシャルは未知数でしたが、これまでにないシームレスな購買導線がどのような効果を発揮するのか確かめたいと考え、グミの日施策で挑戦することとなりました。

MZ:ここでTikTok Shopの特徴や強みについて、サービスを提供するTikTok Shop Japan運営の立場からも教えてください。

TikTok Shop Japan 半田:偶然の出会いから新たな商品を「発見」し、実際の購入までTikTok内で完結する「ディスカバリーEコマース」であることが最大の特徴です。通常のショート動画やライブ配信の画面内にショッピングカートが表示されるので、TikTokアプリ上から離脱することなく商品を購入できます。動画やライブはユーザーの興味関心に基づき、フォロワー外の「おすすめ」フィードにも配信されていくため、新たな顧客開拓にも活かすことが可能です。

TikTok Shop Japan Director, Multi-Category 半田 敏一氏
TikTok Shop Japan Director, Multi-Category 半田 敏一氏

2段構え施策の全貌。即完売となったプレ施策から見えた気づきとは

MZ:改めて今回のプロモーションの全体像について教えてください。

Hakuhodo DY ONE 知念:プレ施策の8月6日と、グミの日の9月3日の2回、タレントを招いてライブ配信を実施しました。どちらもかぶり無しで40種以上のグミを、米袋いっぱいに詰め込んだ、約8,000円の福袋をライブ当日から販売しています。

 なお、それぞれのライブ前・ライブ当日・ライブ後で段階的に施策を考え、細かくコミュニケーションを設計していきました。ライブ前はティザー動画やXの投稿で既存ファン中心に認知と期待感を高め、商品の販売日でもあるライブ当日は直前告知や広告配信にて集客を最大化。ライブ後にはライブの切り抜き動画やクリエイターが制作した動画を活用して、未視聴者・未購入者の購入の後押しも行いました。

プレ施策とグミの日施策における、ライブ配信前・中・後のコミュニケーション設計
プレ施策とグミの日施策における、ライブ配信前・中・後のコミュニケーション設計(クリックすると拡大します)

日本グミ協会 武者:できることは全部実施いただきましたね。TikTok Shopでは何が「効く」のか、手始めにテストマーケティングをする意味合いもありました。

MZ:プレ施策の時点で大盛況の結果だったとのことですが、グミの日当日、プレ施策で得られた手ごたえや気づきを踏まえ、どのようなブラッシュアップをしたのでしょうか。

Hakuhodo DY ONE 知念:プレ施策ではうれしい誤算で、あっという間に商品が完売となりました。ライブ後に配信する動画も準備していたのですが、それらを公開する前に商品がなくなってしまったのです。グミの日当日は、ライブ後のコミュニケーション施策まで実施して成果を最大化させたかったので、販売数自体を増やすことにしました。

 その後、UHA味覚糖様にご相談のうえ、グミの日当日向けのTikTok Shop用在庫を2.5倍に増やして臨みました。プレ施策で活用できなかった動画は再編集を行い、グミの日当日に向けたティザー動画として配信しています。また、プレ施策でのコメントやSNSでの投稿を見ると、「グミサプリ」についての言及が多いことに気づきました。それを踏まえてグミの日当日のライブでは、グミサプリを強調して紹介するような企画内容や台本に調整していただきました。

 このように、施策後すぐに定量/定性的に成果を分析、次回施策へ即時反映できたことで、9月3日は過去類をみない成果を実現できたのだと感じております。また分析から改善の過程で、迅速に調整・ご対応いただけたみなさまのお力も多分にあると考えています。

画像を説明するテキストなくても可
株式会社Hakuhodo DY ONE マーケティングコンサルティング本部 マーケティングアクセラレーション局 知念 遊麻氏

合計1,400個の福袋がTikTok Shopで完売!

MZ:今回の施策でどんな成果が得られたのか教えてください。

UHA味覚糖 川越:最終的な販売個数は、プレ施策で全体400個、グミの日当日施策では全体1,000個でした。どちらも早期完売ですが、グミの日当日はスピードが加速し、ライブから3日で売り切れる驚異的な成果となっています。他プラットフォームとの相乗効果も生まれ、本施策全体でのEC売上も過去最大でした。

日本グミ協会 武者:これまでの他のプラットフォームを活用したライブ配信や一般的なライブコマースのCVRから、「施策全体を通して100個売れたら御の字」と想定していたので、本当に驚きです。特に、プレ施策はアーカイブを残していませんが、「アーカイブなしでもこんなに売れるのか」という発見もありましたね。

MZ:このような成果となった成功要因はどこにあると考えられますか。

Hakuhodo DY ONE 知念:そもそも、UHA味覚糖様の商品力が非常に強いことも大きな要因ではあるのですが、複合的な施策によって、グミの日を知らなかった層、グミに興味のなかった層を含め、広く認知を拡大できたことが成功要因のひとつと考えます。TikTok Shopの強みである「その場で買える」導線を活かし、認知から購入までのスピードも速めることに成功しました。

 また、従来のグミの顧客層は30~40代女性でしたが、あえてそれとは異なるファンをもつTikTokクリエイター・タレントを起用することで、デジタルネイティブ世代をはじめとした幅広い層への浸透に成功しました。

TikTok LIVEならではの、“購買につなげるコミュニケーション”のコツ

MZ:今回、施策の主軸となったライブ配信。武者さんはプレ施策・当日施策ともにMCを担当されていましたが、TikTok Shopならではの工夫があれば教えてください。

日本グミ協会 武者:ライブ配信は既存のグミファンや、登場したタレントのファンのみならず、「おすすめ」欄からたまたま流入した方にも非常に多くご覧いただきました。だからこそ新規の視聴者にも主旨が伝わりやすいよう、「誰が何の配信をしているのか」を何度も発言するよう意識していましたね。また、「購入方法」なども繰り返しお伝えしました。

 加えて「購入タイム」を設け、視聴に集中してもらう時間と、購入を検討してもらう時間を意識的に分けています。その場で購入したユーザーが「買ったよ」とコメントしてくれたので、それをライブ中に取り上げることで、検討層の後押しにもなりました。

画像を説明するテキストなくても可

UHA味覚糖 川越:結果的にプレ施策では平均同時接続数が1,000人ほど、当日施策では2,000人ほどとなり、過去の施策と比べても非常にたくさんの方々にご覧いただけましたね。視聴数だけでも大きな成果ですが、購買にもつなげられ、TikTok Shopのポテンシャルの高さを感じました。

MZ:昨年までの施策と比較して、購買層の変化は感じられますか。

UHA味覚糖 川越:はい。既存ファン層とは異なる、デジタルネイティブ世代の購買数を伸ばすことができました。また、ライブ配信に参加したタレントが女性アイドルだったこともあり、視聴者の男女比は半々。グミ購買層は女性が多い傾向ですが、今回は男性にもまんべんなくアプローチすることができています。

「認知と購買の両方が叶うプラットフォーム」の未来

MZ:TikTok Shop Japanとして、TikTok Shopの今後の可能性をどのように見ていますか。

TikTok Shop Japan 半田:日本で今年6月から提供を開始したTikTok Shopですが、既に海外では多くの成功事例が生まれています。加えて、今回のUHA味覚糖様のような事例も続々と出てくるでしょう。当社としてもTikTok Shopを盛り上げるべく、年末に向けてTikTok Shopで大々的なキャンペーンを計画中です。今後も加速度的に市場規模は拡大していく想定ですので、どうぞご期待ください。

 一方で、早期に始めたほうが先行者利益は大きいため、ご検討中の企業様はぜひお早めにチャレンジいただけたらと考えています。

MZ:広告主としてTikTok Shopを今後どう活用したいか、展望を教えてください。

UHA味覚糖 川越:今回トライアルで活用するなかで、TikTok Shopは今までにない、「認知と購買の両方が叶うプラットフォーム」だと改めて実感しました。1媒体でフルファネルの施策を展開できる、唯一無二の販売チャネルでしょう。これから活用の方法は模索しますが、UHA味覚糖のユニークな商品を活かして、動画自体を楽しんでいただきながら、これからもお客様に楽しいお買い物体験を提供していくことができたらと考えています。

画像を説明するテキストなくても可

MZ:活用を考えられている事業会社にアドバイスはありますか。

日本グミ協会 武者:これまでコンビニやスーパーで刹那的に買われるものだったお菓子が、TikTok Shopでエンタメ的に購買されるようになる現象には、業界をひっくり返す力が秘められていると考えています。お菓子に限らず、これまでD2Cが盛んではなかった分野の商品でも、十分に試してみる価値があると思いますね。また、TikTok Shopは日本ならではの「おもてなし文化」や「接客力の高さ」と非常に相性がいいとも感じます。ただ商品を売るだけでなく、日本グミ協会のように、マニア的な視点から愛をもって解説しつつ、商品の魅力やこだわりをアピールしていくのも効果的なのではないでしょうか。

MZ:最後に、ECやマーケティングの新しい手法を模索している読者に向けて、メッセージをお願いします。

Hakuhodo DY ONE 知念:短期で認知から売上につなげる手法として、今回の取り組みは汎用性の高い事例になったのではないかと考えています。ライブ中に商品の魅力や使い方を新たな顧客層に伝え、ライブ配信後は切り抜き動画や様々な属性のクリエイター動画で購買を促すという一連の流れは、戦略的なプランニングを応用することで、他商材でも効果を発揮する新たなモデルケースとなるでしょう。「デジタルネイティブ世代ユーザーを増やしたい」「メディア横断施策を実施するリソースがない」など、課題感を抱える企業様には特におすすめです。「ディスカバリーEコマース」という新たなECのスタンダードの先駆者となる今だからこそ、ポテンシャルを測るためにTikTok Shopをトライアルしてみてはいかがでしょうか。

Hakuhodo DY ONEのTikTok Shop全方位支援ソリューション

 戦略立案からライブ配信、コンテンツ制作、広告運用までを一気通貫で支援し、TikTok Shopの売上を最大化。専門家チームが高速PDCAを回し、今回の事例のような再現性の高い成功を創出します。

▶︎本施策を支えた「BUZZ BUY BOOSTER」とは

 

TiKTok Shopに関するお問い合わせはこちらから

 本サービスに関するご不明点やご相談はHakuhodo DY ONE のお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
この記事の著者

安光 あずみ(ヤスミツ アズミ)

Web広告代理店で7年間、営業や広告ディレクターを経験し、タイアップ広告の企画やLP・バナー制作等に携わる。2024年に独立し、フリーライターへ転身。企業へのインタビュー記事から、体験レポート、SEO記事まで幅広く執筆。「ぼっちのazumiさん」名義でもnoteなどで発信中。ひとり旅が趣味。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社Hakuhodo DY ONE

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/11/19 10:00 https://markezine.jp/article/detail/50042