サントリー事例:モーメントを捉え、ブランドイメージ醸成と認知拡大に成功
特定のモーメントを捉え、クリエイティブなアプローチでユーザーとエンゲージしたキャンペーンを表彰するSeized the Moment。同部門に輝いたのは、サントリーの金麦が実施した「家路言」だ。帰宅時間というモーメントを捉え、金麦ブランドの「癒し」のイメージを音で表現したことが、高い評価につながり受賞にいたった。
同作品の企画・制作に携わったサントリーと電通の担当者が、取り組みの背景、詳細、結果を語った。
帰宅時間に好かれる広告を音声で実現する
━━取り組みの背景を教えてください。
サントリー担当者:金麦がターゲットとするビールのメイン飲用者である生活者全体、特に若年層において広告に対する忌避行動が顕著化してきています。ただの広告では簡単にスキップされ、ユーザーが自ら取捨選択できる環境下において求められるのは、「好かれる広告」「広告忌避を乗り越えるアイデア」です。
そして金麦では、定点調査で帰宅時間に音楽や作業用 BGM などの音楽系のコンテンツに触れるユーザーが非常に多いことから、帰宅時間でのコミュニケーションを重視しています。この帰宅時間というモーメントにおいて好かれる広告を考えたときに、癒しやリラックスの伝達には音声を起点としたコミュニケーションに光明があると思い、あえて耳からのブランド接点を中心としたクリエイティブを設計いたしました。
ターゲットを象徴するリアルなキャラクターを設定
━━今回受賞した取り組みの内容を教えてください。
林田:金麦が狙うべき戦略ターゲットは幅広い年代に分布しています。そのため、幅広い年代のターゲット層が共感して受け入れることができる「仕事などのON時間からOFF時間に変化していく帰宅時間」に絞って配信を設計しました。
またその中でも、おうち時間にビールを飲用するターゲットを象徴とする「40代の男性中間管理職」「30代の女性社会人」「30代のドラッグストアの店長」という3つのキャラクターを生み出しました。
生み出したキャラクターを中心に生活者視点の音声広告を制作し、Spotifyなどの動画/音声メディアで配信いたしました。
多くの共感が生まれるシーンを再現し、日常に溶け込む演出にも注力
━━今回受賞した取り組みを成功に導くために工夫した点はありますか。
三浦:一日の終わりに、家に向かう帰り道。今日に思いを馳せたり、帰ったら何しようかと考えたり、気持ちもオンからオフへと向かう帰宅者の気分に寄り添うクリエイティブを意識しました。
クリエイティブの中では、電車・バス・車といったさまざまな帰宅シーンを描くことで、多くの人が共感できる“家路”の情景を演出しました。さらに、「蛍の光」のチルバージョンを制作し、音楽的にも心をほどくような余韻を残す仕掛けを加えました。
また、音声ならではの没入感を高めるために重要だったのが、主人公のリアルな声を反映した字コンテの採用と、単語のひとつひとつに“等身大”の感情を込めた脚本の制作です。これにより、日常にすっと溶け込む没入感のある音声体験を実現しました。加えて、ネットで話題を呼ぶ有名声優を起用し、キャスティングの妙による拡散・話題化も狙いました。
癒し/リラックスのイメージを醸成し、ターゲットの認知を獲得
━━得られた成果を教えてください。
林田:大きく2つの成果を上げることができました。1つ目は、癒し/リラックスのイメージリフトの達成です。第3者機関の調査において、各クリエイティブ接触者におけるブランドイメージを調査したところ、過去施策の中でもトップの数値で、視聴前後のブランドイメージを大幅に向上させることに成功しました。
2つ目は、広告認知率を高い水準で目標をクリアしたことです。特に 20~40 代のユーザーの広告認知が目標対比で150%も向上し、当初の狙いであった広告忌避層の認知獲得に寄与しました。
最後に、広告賞『Spotify Hits』は、2026年も開催される。今年はどんな作品が生まれるのか——その期待はすでに高まっている。
各受賞作品への審査員の評価と広告音声はこちらの記事をチェック

