アテンションエコノミーの過熱と広告効果の低減
リーチ数は目標を達成している。なのに、なぜブランド認知も売上も上がらないのか?
今、多くのマーケティング担当者がこの状況に直面している。背景にあるのは、生活者のメディア視聴スタイルの変化だ。総務省のデータによると、20代のテレビ視聴者のうち、平日夜(22時台など)は約半数以上がネットを同時に利用している。いわゆる「ながら見」が定着しており、SNSのタイムラインは隙間時間の「息抜き」として、軽快にスクロールされている。
私たちは膨大な「情報」に触れてはいるものの、一つひとつに深い「意識」は向けていない──いわば「情報の流し見」が常態化している。
アテンション・エコノミー(関心経済)が一層過熱する中、生活者の「意識が明確に集中している瞬間」がある。ニュースアプリを開く数分間だ。ユーザーの時間を奪い合う「動画全盛」の時代に、なぜSmartNewsは「ブランドリフト1.8倍」という高い広告効果を発揮できるのか?
鍵を握るのは、ユーザーの「アテンションの質」にあるようだ。スマートニュース株式会社の山田氏と共に、データの裏にある「深い没入感」と「広告の勝ち筋」を紐解いていく。
常態化する「ながら見」問題、広告が届く瞬間はあるのか?
MarkeZine:SmartNewsユーザーの視聴スタイルについて、具体的にどのような違いを感じていますか?
山田:あくまで私の観察による仮説ですが、ユーザーの「意識のモード」が少し異なっているように見受けられます。
一般的に、SNSはリラックスして楽しむ「暇つぶし」や「娯楽」として利用されることが多いと言われています。情報が滝のように流れていき、それを眺めるスタイルですね。一方で、SmartNewsを開くときのユーザーは、「今の世の中の動きを知りたい」「何か自分に関係する情報はないか」という、少し前のめりな姿勢になっている印象があります。
MarkeZine:なるほど。「情報の受け止め方」に傾向の違いがある、と。
山田:ええ。私はこれを、流れる水をあえて止めて、手で掬(すく)って飲む行為に似ているな、と感じています。
SNSが「浴びる」メディアだとすれば、ニュースアプリは「汲み取る」メディアと言えるかもしれません。この、ユーザーが能動的に情報を摂取しようとするタイミングこそ、広告を届けられる「数分間」になり得るのではないか。そう考えて、私たちはこの「アテンションの質」に注目しています。

MarkeZine:なぜニュースアプリはアテンションが高くなるのでしょうか?
山田:Webユーザビリティの権威であるヤコブ・ニールセン博士が提唱した概念に、その一つの解があると考えています。
Lean-back(後傾姿勢):エンタメやSNSでのリラックス状態。受動的であり、情報は「フロー(流れ)」として消費されるため、広告もその流れの中で右から左へと受け流されやすい。
Lean-forward(前傾姿勢):ニュース閲覧や検索時の集中状態。「情報を得たい」という能動的なモードのため、文脈に合った広告であれば「有益な情報」として脳にインプットされる。
SmartNewsは、「Lean-forward」状態のユーザーが多く集まるプラットフォームです。この「接触態度の違い」こそが、他媒体とは異なる広告効果を生み出す要因の一つと言えます。


