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サントリーが挑む“攻め”のブランドセーフティ 質と量を両立する「AaaS with DV」の威力

 コネクテッドTV(CTV)の普及に伴い、動画広告は企業のマーケティングに不可欠な存在となった。しかし、「リーチを優先すれば質が下がり、質を求めればCPM(インプレッション単価)が高騰する」というジレンマに頭を抱える担当者は多いのではないだろうか。この二律背反の課題に対し、博報堂のソリューションを活用して鮮やかな解決策を見出したのが、サントリーだ。同社が選んだのは、従来のブランドセーフティを「守り」ではなく「攻め」に転じる戦略。「量」と「質」を両立し、コスト効率とブランドリフトを同時に実現した新ソリューション「AaaS with DV」の活用法と、その成果について、サントリーの牧原侑美氏、博報堂の瀬川省伍氏に聞く。

「量」と「質」を重視する、サントリーのプランニング戦略

MarkeZine編集部(以下、MZ):まずはサントリーのアルコールカテゴリーにおける、広告メディアプランニングの戦略と課題についてお伺いします。

牧原(サントリー):当社ではアルコールカテゴリーに限らず、全体としてメディアROI(投資対効果)を最大化するため、広告を一人でも多くの生活者へ届けるリーチの「量」と、生活者の記憶に残せたかというリーチの「質」の両面を重視しています。特に、ブランドメッセージを届ける上で、動画広告は極めて重要な役割を担います。質の高い動画広告のリーチを、いかにコスト効率よく最大化していけるかは、私たちが常に追求している命題です。

 しかし、アルコールカテゴリーには「メディア自主規制」が存在し、広告を配信できるメディアやデバイス、時間帯、年齢層といった多岐にわたる項目を制限しています。つまり、清涼飲料カテゴリーと比べ、配信可能な広告在庫量が必然的に少なくなります。その結果、どうしてもCPMが高騰してしまいがちという構造上のネックがありました。

サントリーホールディングス株式会社 宣伝部 牧原 侑美氏
サントリーホールディングス株式会社 宣伝部 牧原 侑美氏

「質」を求めればコストが上がる。動画広告につきまとう「二律背反」のジレンマ

MZ:そうした中、サントリーではこれまでどのような配信設計を行い、そこでどういった課題に直面されていたのでしょうか?

牧原(サントリー):基本戦略として、ユーザーボリュームの多いYouTubeを優先的に選定し、最後まで見てもらえる可能性の高いインストリーム面を中心に配信してきました。しかし、量と質の両立には大きなハードルがありました。

 YouTubeはリーチ規模を担保できるものの、様々なコンテンツがあり広告がしっかり見られているのか、という懸念がありました。それに加えて、近年の出稿企業増加によるCPMの上昇傾向があり、特に繁忙期には在庫が逼迫しCPMが高騰することも珍しくありません。

 比較的安価に配信可能な縦型Shortsを活用してコストを抑える工夫もしましたが、やはり当社として大事にしているのは動画素材に込められたブランドメッセージを届けること。インストリーム面でどうやって単価効率を改善してくか、という点に日々頭を悩ませていました。

AIが入札と配信面を最適化。サントリーの課題を打破した「AaaS with DV」

MZ:サントリーが抱えていた課題に対し、博報堂からはどのような提案をされたのでしょうか?

瀬川(博報堂):サントリーさんとは以前から広告をとりまく様々な環境を踏まえ「リーチの質と量の向上」について議論を重ねてきました。今回は特に課題の大きいYouTubeに対し、2つの仮説を持って提案しました。

 まず「質」の観点です。BGMやASMRのような動画は、耳で楽しむものであり、画面を注視しているユーザーは少ないでしょう。こうした「ブランドにとって実質の価値が低い面」を除外すれば、広告体験の質は確実に向上するはずです。次に「量」の観点です。良質な面だけに絞り込みつつ、AIを活用して入札を最適化すれば、CPMの高騰を防ぎ、配信量も確保できるのではないかという仮説です。

 つまり、「良質な面に絞る」ことと「安く配信する」ことを同時に叶える。そのためのソリューションとして提案したのが「AaaS with DV」でした。

株式会社博報堂 ビジネスプロデューサー 瀬川 省伍氏
株式会社博報堂 ビジネスプロデューサー 瀬川 省伍氏

MZ:「AaaS with DV」について詳しく教えてください。

瀬川(博報堂):まず「AaaS(Advertising as a Service)」とは、従来の「広告枠を売る」ビジネスから、「広告効果を最大化する」ビジネスへの転換を目指す、博報堂DYグループが提唱する広告メディアビジネスの次世代型モデルのことです。これに、業界をリードするAIを活用したメディア効果測定プラットフォームであるDoubleVerify社の技術を掛け合わせたのが「AaaS with DV」です。

 大きな特長は2つあります。1つは、入札“前”にその枠がブランドに適しているかを判定する「プレビッド機能」。もう1つは、AaaS with DV独自のアルゴリズムで入札や運用を自動制御し、狙った枠を可能な限り安く買い付ける「AI最適機能」です。つまり、「良質な枠を厳選する目」と「賢く安く買う頭脳」の両方を備えたソリューションと言えます。

ブランドセーフティを越えて「ブランドスータビリティ」へ

MZ:従来の悪質・有害なコンテンツを除く「ブランドセーフティ」より、もう一歩踏み込んだ精査ができそうな機能ですね。

瀬川(博報堂):その通りです。私たちは単にマイナスをゼロにする「ブランドセーフティ(安全性)」に留まらず、そこからさらに認知やエンゲージメントを高め、ブランド価値向上に貢献する「ブランドスータビリティ(適合性)」という考え方を提唱・推進しています。

MZ:その考えのもと、今回はどのように「プレビッド機能」を活用されたのでしょうか?

瀬川(博報堂):「プレビッド機能」が持つ2種類のリストを駆使しました。1つは、AIが優良と判断した配信面を厳選する「ホワイトリスト(=配信先リスト)」。もう1つは、ブランド毀損のリスクがある面や効果の低い面を精密に除外する「ブラックリスト(=除外リスト)」です。

 これまでもサントリーさんとは独自の除外設定などを行ってきましたが、日々膨大なコンテンツが生まれる中、手動での対応はまさに“いたちごっこ”でした。その点、「AaaS with DV」のリストは毎日自動更新されるため、運用工数をかけずに、不適切な面をリアルタイムで除外し続けられるのが最大のメリットです。今回は、在庫が逼迫する繁忙期を見据え、この2つのリストがどこまでCPM抑制と広告認知に貢献できるかを検証しました。

MZ:新しい取り組みにあたって、サントリー社内での懸念はありましたか?

牧原(サントリー):いえ、全くありませんでした。実は今回の検証を始める前に、「AI最適機能」や「ホワイトリスト」については1年ほどかけて段階的な検証を重ねており、すでに確かな手応えを得ていたからです。「AaaS with DV」の挙動や特性は把握していましたし、成功・失敗のシナリオや対処法もシミュレーションできていました。そのため、検証に対するハードルは低く、「次なる一手」としてスムーズに実施できましたね。

単価抑制とブランドリフトに明確な成果。「攻め」のリスト配信が証明した実力

MZ:今回の検証内容を具体的に教えてください。

瀬川(博報堂):広告需要が高まる繁忙期での本格実装を見据え、今回は2025年9月ごろから、通常配信ホワイトリスト配信ブラックリスト配信という3つのキャンペーンを並走して検証しました。通常配信をベンチマークとしたとき、ホワイトリスト配信とブラックリスト配信でどのように差異が生まれるかを確認し、その結果をもとに、CPM、ブランドリフトの2つの観点から分析しました。

MZ:検証結果についても教えてください。まず、CPMの観点ではどのような結果となったのでしょうか?

瀬川(博報堂):ホワイトリストは厳選した配信面でありながら通常配信と同等のCPMに着地。そしてブラックリストでは、通常配信よりもCPMを約20%抑制することに成功しています。“優良在庫に絞る”ホワイトリストより、“不要在庫を除外する”ブラックリストのほうが、配信量を担保できるため、結果的にCPMが大幅に抑えられたと言えるでしょう。

MZ:ブランドリフトの観点での結果はいかがでしょうか。

瀬川(博報堂):ホワイトリスト、ブラックリストともに、通常配信よりも高いアップリフトを獲得することができました。ホワイトリストは通常配信比118%と、過去の検証から期待していた通りの結果となりました。一方、ブラックリストは通常配信と同等程度にとどまると想定していたなかで、通常配信比107%という予想外の成果を得ることができています。毎日自動更新される動的なリストによって、質の低い面をリアルタイムで排除し続けられたことが、最終的な認知向上に寄与したものと考えています。ブラックリスト配信が単なる「守り」に留まらず、広告効果を最大化する「攻め」の戦略として機能することを証明できた結果と言えるでしょう。

画像を説明するテキストなくても可

MZ:結果を踏まえ、サントリーではどのような評価をされていますか。

牧原(サントリー):これまで1年近く検証を重ね、その都度想定を上回る成果を確認してきましたが、今回の結果には大変驚いています。ソリューションとして有用性に確信が持てました。どちらも通常配信を超える良好な結果となりましたが、特にブラックリストは「量(単価)」の面で、ホワイトリストは「質」の面で、明確な成果が現れています

「枠」から「効果」へ。サントリーの事業成長を支えるAaaSの思想

MZ:今後、サントリーでは「AaaS with DV」をどのように活用していきたいとお考えですか?

牧原(サントリー):今回の検証でホワイトリスト・ブラックリスト双方の特性を把握できたのは大きな収穫でした。今後は時期や目的に応じてこれらを使い分けたいと考えています。具体的には、在庫が枯渇しやすくCPMが高騰する繁忙期には「ブラックリスト」を活用して幅広く効率的に在庫を確保し、逆に通常期や予算が限られるキャンペーンでは「ホワイトリスト」を用いて厳選された優良面に集中投資する、といったイメージです。在庫担保やROIの課題は他カテゴリーも同様ですので、全社的な波及も十分に考えられます。

MZ:博報堂としては今後どのようにサントリーを支援していきたいですか?

瀬川(博報堂):サントリーさんの「メディアROIの最大化」という目標は、まさにAaaSの思想そのものです。AaaSは「広告枠」の販売から脱却し、「広告効果」を売り物としたビジネスへの転換を目指すもの。サントリーさんの事業成長に「広告効果」で貢献するためのメディアプランニングを、これからも一緒に探究していきたいですね。

MZ:最後に、同様の課題を抱える読者へメッセージをお願いします。

牧原(サントリー):デジタル広告の運用において、リーチの「量」と「質」は、どちらかを選べば一方が損なわれるという二者択一の課題だったと思います。しかし、「AaaS with DV」は両者の「いいところ取り」です。課題感を日ごろから博報堂さんへ相談していたからこそ、当社の理想を叶えるソリューションに出会うことができました。

 無理難題に感じることでも、まずは「理想」をパートナー企業に相談してみてはいかがでしょうか。博報堂さんであればきっと、「AaaS with DV」をはじめとした豊富で魅力的なソリューションで、課題解決に向けて伴走してくれるでしょう。

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この記事の著者

安光 あずみ(ヤスミツ アズミ)

Web広告代理店で7年間、営業や広告ディレクターを経験し、タイアップ広告の企画やLP・バナー制作等に携わる。2024年に独立し、フリーライターへ転身。企業へのインタビュー記事から、体験レポート、SEO記事まで幅広く執筆。「ぼっちのazumiさん」名義でもnoteなどで発信中。ひとり旅が趣味。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社博報堂

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/02/03 10:00 https://markezine.jp/article/detail/50291