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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Spring

【新年特集】2025→2026 キーパーソンによる予測と展望

業界潮流の一歩先を読み解く、2026年にアンテナを張りたい4つのポイント

ポイント2:人へのターゲティングから、AEO、データ基盤の連携へ

 2つ目は「AEO(AI-Agent Engine Optimization)」に向けた、AI同士が会話できるデータの基盤化である。旧態のCookieに頼ったプログラマティック広告代理事業のコモディティ化は、過去2年の下降が顕著だった(下記事例1・2)。いわゆる“ターゲティング”の対象は、ユーザーの向こう側で成長する「AIエージェント」へ既に向けられている。

旧態ターゲティング広告のゆくえ【1】Oracleの広告事業撤退

 米国Oracleは、2024年9月30日をもってグローバルでの広告事業を終了した。10年以上にわたり計4,000億円以上を広告事業のM&A(BlueKai、Moat、Datalogix、Grapeshotなど)に投下してきた同社のこの決断は、市場の変化を示す重要なシグナルであった。

旧態ターゲティング広告のゆくえ【2】2025年に2回発生したTTDショック

 SSP、DSPの巨人であり、33四半期連続で業績成長を達成してきたThe Trade Desk(TTD)だったが、2025年2月と、同年8月の四半期決算説明会の直後、TTD株価が急落する「TTDショック」が発生。株価は1年で139ドルから37ドル(2026年1月時点)に。2020年の外出自粛特需以降の価値がすべてなくなり、それ以前に戻ってしまった。日本のサイバーエージェントの企業価値推移も2020年初頭の値に戻っている。

The Trade Desk(上)とサイバーエージェント(下)の企業価値推移(過去10年間、2025年8月10日時点)チャート出典:各ファイナンシャルサイト(Investing.com, Minkabu.com)
The Trade Deskの企業価値推移(過去10年間、2026年1月16日時点)チャート出典:Google Finance

 

旧態ターゲティング広告のゆくえ【3】新たな経済OSの誕生

 「AIエージェント型コマース」として、「Walmart+Google(Alphabet)」は、2026年1月に「Universal Commerce Protocol(UCP)」を発表した。AIエージェントがあちこちからの買い物を代行するための「世界共通言語(新たな経済OS)」の誕生であり、従来のターゲティング広告を根底から変える可能性がある。

(※)Universal Commerce Protocol(UCP)とは?

Googleが構想する「エージェンティックコマース」とは、「人間がECサイトを訪れることなく、AIとの会話だけで買い物を完結させる」もの。たとえば、Geminiに「週末に釣りに行く準備」と指示すれば、用具から食料品やその他の商品を複数の店から分析し、天候情報の提供や状況に応じた行動指針を提示し、新規登録やポイント換算を考えた上で、商品を決済し、到着に合わせて宿泊先へ配送することも可能。UCPは、このエージェンティックコマースを支える共通基盤として設計された、オープンプロトコル。各小売店や決済サービス、物流などが連携するための翻訳機であり、共通のルールである。

 OpenAIの「Instant Checkout(オンライン購買の即時決済)」とUCPの決定的な違いは、実店舗の在庫や物流といった「物理的なデータ」を扱える点(フィジカルAIとしての強さ)にある。Amazonの「ウォールド・ガーデン」に対抗する企業連合軍を組めるオープンなプロトコルで、Anthropicが提唱したMCPのオープン接続の概念にも近い。

 旧態のターゲティング広告では、大前提としてターゲティングの対象が「人」だった。「映えるAI動画」も「バズるコンテンツ」も、人の視聴や共感を集めるものであった。今後は、人へのウケ以前に、「AIエージェント同士の連携」が起こる。AIエージェント同士がリアルタイムで繋がり、フィジカルAIとしての行動(支払や配送)が発生し、人間ユーザーへの価値が創出される。つまり、AIが共通して理解し合える「標準データ基盤」の上に自社事業を載せることが、マーケティングの第一歩になる。

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ポイント3:脱炭素・ESG・SDGs・DE&Iの防御から、実利の「AIエネルギー確保」拡大へ

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この記事の著者

榮枝 洋文(サカエダ ヒロフミ)

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)/ニューヨークオフィス代表
英WPPグループ傘下にて日本の広告会社の中国・香港、そして米国法人CFO兼副社長の後、株式会社デジタルインテリジェンス取締役を経て現職。海外経営マネジメントをベースにしたコンサルテーションを行う。日本広告業協会(JAAA)会報誌コラムニスト。著書に『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)。ニューヨーク最新動向を解説する『MAD MAN Report』を発刊。米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2026/01/22 08:30 https://markezine.jp/article/detail/50316

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