顧客獲得にもっとも有効な手法を選択する
法人マーケットで新規顧客を獲得するには、マーケットに対していかに効率よくコミュニケーションを成立させていくかが問題だ。たとえば媒体ひとつとっても選択肢はダイレクトメール(DM)、テレビ、セミナーからWeb、Eメールまで広がっているが、どれがもっとも優れているということは一概には言えない。各コミュニケーションチャネルごとにそれぞれ固有の特性・特長があり、その中から自社の目指す顧客獲得にもっとも有効なものを、最適のタイミングで当てはめていかなくてはならないからだ。
たとえばインタラクティブということを考えると電話と個別面談が有効だが、双方向性が高くダイレクトにメッセージを届けられるメディアほどコストが高くなるのも事実だ。だからと言って、単一方向の新聞広告などだけでは有効なメッセージ伝達は期待できない。その中間として、リアルタイムではないが双方向コミュニケーションが可能なe-メールが多用されるようになったのも最近の傾向である。
テレマーケティング固有のアドバンテージとデメリットとは?
さまざまなコミュニケーション手法が存在する中で、相手の時間を占有でき、なおかつコミュニケーションをリアルタイムで成立できる点で、テレマーケティングはDMやセールスメールにない大きな長所を持っている。
また生の声による会話を通じて、微妙な会話のニュアンスから見込みや乗り気を推し量るといったデリケートなコミュニケーションが可能な点も見逃せない。一方、1回1回の会話はまったく同じものにはならないので、コミュニケーション品質が一定化しにくい。またターゲット数が増えると、それに正比例して電話をかける側の負荷コストが高まっていくといった難点もある。
また、テレマーケティングでは、せっかく電話で糸口を作ってもその1回きりで終わってしまったり、営業マンへの引き継ぎがうまく行われないといった、継続的なフォローという面での問題点が多く見られるのも事実である。
成功を導く3つの実践ポイント
1.営業プロセス全体における位置づけの明確化
「テレマーケティングの施策自体の位置づけ=何のために行うのか?」を明確にしてから取りかかるべきである。また、マーケティング活動はテレマーケティングだけで成り立っているのではない。全体のプロセスの中で、テレマーケティングが担う役割は何かをはっきりさせることが重要だ。
2.目的に応じたコミュニケーションの設計
ゴールを設定したら、それに応じたコミュニケーションの方法を検討する。やみくもに電話すればよいわけではない。具体的には、相手の反応を仮説立てしてその反応に応じたスクリプトをあらかじめ練っておくことが大事だ。「何を聞くか?」「何を伝えるか?」を決めておかないと、上すべりな会話で終わってしまう危険が大きい。また、いつも会話のどの段階で電話を終えられてしまうか、「ボトルネック箇所の特定」も必須だ。
3.データベース化による情報の活性化
テレマーケティングを通じて得た顧客情報は、ただ蓄積しておいては意味がない。常に整理し、データベースとして活用してこそ次のステップが見えてくる。このデータベースを中心にして「施策立案→実行→目標進捗の検証→再試行」といったPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを回しながら、目標に近づけていく運動を作り出さなくてはならない。
以上の点に留意していくことで、リアルタイムな双方向コミュニケーションが可能な、テレマーケティング本来のアドバンテージが発揮できるといえるだろう。