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「アルゴリズム時代のブランド創造」を明石ガクト・久保田進彦両氏が語る。理解すべき「バズの型」とは?

久保田氏が見るアルゴリズム時代は「嗜好の小さな一致」

 社会学者バウマンが提唱した『リキッド・モダニティ(液状化する現代)』を消費行動に援用した『リキッド消費』という概念がある。これには、3つの特徴がある。消費の「短命化」、所有しなくても、その価値にアクセスできれば構わないという「アクセスベース」、そしてモノに頼らない「脱物質化」だ。サブスクリプションの普及、写真のクラウド保存、PayPayでの支払いなど、すべてがこの流れの中にある。

 久保田氏は、リキッド消費が示すように選択の自由度が増したはずの消費者が、アルゴリズム時代には逆に同調行動を強めているという矛盾を指摘した。

「イギリスの研究者アレクサンドリア・アタナソヴァらは、『嗜好アルゴリズム化(algorithmization of taste)』という概念を提示しながら、こんなことを述べています。かつてレコード店の店主が『君にはこれが合う』と推薦してくれたけれども、今はアルゴリズムが『あなたと似た人が好むもの』を提示する。かつて知識や情報は上から降ってきたが、今では横から広がってくる」(久保田氏)
  
 久保田氏は、さらにこう続けた。アルゴリズムは、人々の好みに合わせて色々な情報を提供する。しかし、アルゴリズムによって提供される情報は、100%自分に合ったものとは限らない。むしろ、アルゴリズムによって提供された情報に、実は自分を合わせているのではないか。その結果、市場全体が1つにまとまるのではなく、人々の趣味や嗜好の小さなまとまりがあちこちに生まれる。

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 「これが『トライブ』や『界隈』とも呼ばれる現象、つまり『嗜好の小さな一致』の正体なのではないでしょうか」(久保田氏)

 人々が同調する理由について、久保田氏は、エーリヒ・フロムの書籍『自由からの逃走(1941年)』を例に挙げた。自由は不安をもたらし、その不安から逃れるために、人は強いリーダーに従ったり、多数派に同調したりする傾向がある。

 SNSやアルゴリズムベースのマーケティングは、多数派の行動を可視化する。「今これが流行っている」という情報が、不安を抱える人々を引き寄せる。

 「せっかく自由になった消費が、逆説的に画一化している。しかもリキッド消費の特徴である短命性と組み合わさると、一時的に人気が集中してさっと消える。これがアルゴリズム時代に起きている消費行動なのではないでしょうか」(久保田氏)

アルゴリズムをハックする——明石氏の「型」の発見

 では、このアルゴリズム時代にブランドはどう戦えばいいのか。ワンメディアでは半年に1回、TikTokやYouTubeショートで10億回以上再生されている動画を定点観測している。その動画の切り口を分析した結果、再生される動画には共通の「型(動画フォーマット)」があることを発見したという。

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 興味深いのは、これらの型が「ハッシュタグ」ごとに存在する点だ。そして、ハッシュタグは、趣味嗜好のゆるやかなまとまりを意味する「界隈」とほぼ同義であり、「カップル界隈」「勉強界隈」「美容師界隈」などが並ぶ。ハッシュタグとは、久保田氏のいう「嗜好の小さな一致」が可視化された姿だと明石氏は指摘する。

 ただし、ハッシュタグが存在し続けていても、時代の流れとともにその中で流行する型は移り変わる

 「AKB48で例えるなら、グループ名は同じでも初期メンバーは1人もいない。たとえば『美容師』という界隈は残っていますが、数年前に流行った『はさみでカメラを隠し画面転換して、髪型のビフォーアフターを見せる』という型は既に廃れています」(明石氏)

 だからこそ定点観測は必要だ。半年前に有効だった型が、今は古くなっているかもしれない。しかし型を意識していない動画はアルゴリズムにレコメンドされず、滑る。再生回数が可視化される世界で、低い数字を晒したいブランドはいない。

 だから、CMでオリジナリティあふれる映像クリエイティブに取り組むトヨタ自動車やリクルートのような会社も、ショート動画の世界においては、あえて型に乗るのだと明石氏は語る。  

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コンテンツ作りの3つの軸と、参加の設計

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この記事の著者

竹上 久恵(編集部)(タケガミ ヒサエ)

早稲田大学文化構想学部を卒業後、シニア女性向けに出版・通信販売を行う事業会社に入社。雑誌とWebコンテンツの企画と編集を経験。2024年翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/02/25 07:30 https://markezine.jp/article/detail/50427

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