AIは全部見る。任せるべきは、潜在的な課題の発見
AIの特徴2つ目は「全部見る」ことだ。人間が一度に認識できる情報量には限りがあり、どうしてもボリュームゾーンに注目し、データを取捨選択してしまう。しかし、AIは膨大なデータをそのまま処理できる。
行動データはロングテール構造になっており、人間が見落としがちなテールの部分に今まさに生まれつつあるニーズや、まだ誰も気づいていない潜在的な課題が潜んでいる。このテール領域の分析こそ、AIに任せるべき仕事だ。

たとえば、検索キーワードマップをAIに解析させることで、ボリュームは小さいが注目すべきニッチなニーズを発見できる。「ドライヤー」というキーワードを例に考えると、「ドライヤー×犬」「ドライヤー×赤ちゃん」といった、ホットワードより少し外れた検索ワードからも新たな商品開発のヒントを得られるだろう。
また、特定キーワードの前後の検索行動を時系列で追うことで、カスタマージャーニーの把握も可能になる。「咳止め薬」であれば喉の痛みから始まり喘息・肺炎への症状進行が見え、「粉ミルク」であれば妊娠初期から出産・育児へと続く関心の変化が浮かび上がる。「大阪・関西万博」の来場者であれば、来場前の周辺観光の検討から、当日の現地での困りごと、来場後の海外への関心の高まりまで読み取れる。


こうした膨大な量の生活者データの分析は、人間が行うには限界がある。AIに任せることで、これまで人の目では見えなかったインサイトを効率よく引き出すことが可能だ。
AIは学び続ける。3種のデータで自社だけのAIを育成
AIの特徴3つ目は「学び続ける」ことにある。人間は覚えたことを忘れ、担当者が変われば社内ノウハウもリセットされがちだ。AIは、与えた情報を忘れずモデル自体も継続的に賢くなり、誰が使っても蓄積された情報は失われない。
いわゆる汎用的な生成AIはWeb上の公開情報をもとに判断するが、社内ナレッジや顧客データを与えることで、自社固有の文脈で深く考えられるようになる。顧客の変化もリアルタイムで検知・対応できる点も、独自データで育成したAIの大きな利点である。
AIに与えるデータには主に3種類ある。アンケートデータ、生活者行動データ、そして自社および外部データだ。
アンケートデータは顕在化したニーズの把握に向いており、データ量も限られるため扱いやすい。生活者行動データは扱うために専門知識が必要だったが、現在はAIのサポートにより分析ハードルは大きく下がっており、顧客自身も気づいていない潜在ニーズの発見に強みを発揮する。そして自社データは既存顧客の深い理解に、外部データは潜在顧客や新規顧客の分析に役立つ。目的に応じてこれらを組み合わせることが重要となる。

