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MarkeZine Day 2026 Online

MarkeZine Day 2026 Spring(AD)

戦略はなぜ実行されない?「失敗70%」をひっくり返すPwCコンサルティングの実践的な設計ノウハウ

 ある調査では、マーケティング戦略の約70%は実行されず、年間収益の5〜10%が失われているとも言われている。戦略と実行のあいだにある大きな壁はどうすれば解消できるのだろうか。MarkeZine Day 2026 Springでは、事業戦略や顧客戦略の領域で20年以上にわたり100以上のプロジェクトを支援してきた経験を持ち、PwCコンサルティングの執行役員を務める丸山貴久氏が、戦略が実行されない理由を「3つの断絶」として整理。その乗り越え方を具体的なフレームと実例を交えて解説した。

約70%の戦略が実行されずに失敗している

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PwCコンサルティング合同会社 Front Office & Experience事業部 執行役員 パートナー 丸山 貴久氏

 PwCコンサルティングのなかで丸山氏が所属するのは、「Front Office & Experience」という組織。クライアントの「顧客」を軸にして、顧客理解、チャネル戦略、組織戦略といった領域でイノベーションを推進していく特化型チームで、PwCのグローバルネットワーク全体で約5,700名が所属している。

 数々のクライアントとともに顧客戦略を立案してきた丸山氏だが、「戦略立案後に現場で実行する段階で壁にぶつかる企業が多い」と実体験を語る。

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 それは丸山氏が提示したデータからも明白だ。一般的にも、立案された戦略が実行されずに失敗する割合は約70%にのぼる。また、戦略を立案したにもかかわらず実行していないということは、それだけでも損失を生むということ。実行失敗に伴う損失の割合は、年間収益に対して5~10%という調査結果もある。

 「みなさんのなかにも、戦略を作ったとて、現場に“ふーん”というリアクションをされてしまい、導入してもらえなかった、失敗してしまったというケースに心当たりがある方がいるはずです。では、なぜこんなにも高い割合で失敗してしまうのか。今回は複数の調査や分析の結果をもとに、いくつかの切り口から紐解いていきます」(丸山氏)

データから紐解く、戦略が実行失敗に終わる3つの要因とは

 丸山氏は戦略実行の失敗要因を「3つの断絶」として数値をもとに整理した。

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 第一の断絶は、市場および顧客に対する解像度の低さ。ある調査では、経営危機に陥った企業のうち、52%が「市場・顧客の変化に適応できなかった」と答える結果が出た。また、マーケティング担当者の54%が「顧客インサイトの欠如」を最大の課題に挙げたという調査結果もある。「変化の激しいVUCA時代にもかかわらず、5~10年前に定めた顧客像を追い続けていないか?」と丸山氏は問う。失敗しない戦略を策定するためには、本質的な顧客理解から始めることが必須だ。

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 第二の断絶は、経営層と現場のあいだに横たわる深い溝だ。トップダウンの企業では、従業員がリーダーや経営層のビジョンに賛同できているとは限らない。PwCの調査によると、それにもかかわらず、ケイパビリティ(組織能力)を構築・拡大するための従業員向けプログラムを導入している企業は、わずか16%にとどまる。丸山氏は「多くの企業から『人が足りない』『誰かいい人いない?』という声が聞かれます。ケイパビリティ、リソース、スキル、知識、経験の不足が、慢性的な課題になっているのではないでしょうか」と語る。

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 そして第三の断絶が、ステークホルダーへの浸透不足。従業員の95%が「自社の戦略を認識または理解していない」というデータもある。戦略を理解していないゆえに、納得感のないまま“なんとなく”KPIを追いかけるような現場の施策は、当然ながら失敗に終わってしまう。また、共通理解がないからこそ、部署間の会話が成立せず、お互いがお互いの批判に終始してしまうケースも多い。丸山氏は今回の講演における重点として特に衝突を起こしやすい「営業領域」「マーケティング領域」に着目し、解決策を提言していった。

組織性質から考える、「営業」と「マーケ」の衝突要因

 営業部門とマーケティング部門の連携がうまくいかないことが戦略実行のボトルネックとなっている企業は多い。では、なぜこの二者はどの企業でも対立しがちなのだろうか。丸山氏は組織の構造や性質から2つの組織を比較した。

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 まず営業領域は「売上」「利益」など、シンプルかつビジネスに直結したKPIを追うため、経営層からの投資優先度も高くなりやすい傾向にある。デジタルの寄与度はマーケと比べれば低いが、数十年単位で大規模な改革が起こるのも特徴だ。システム導入時には組織もチャネルも、対象顧客さえも変わるような、抜本的な見直しとなるケースが多い。

 一方、マーケ領域のKPIは営業と比較して、複雑であり、間接的であり、課題も見えにくい。したがって投資予算は小さいが、急速に変化するメディアに対応するためには、ITやデジタルツールの活用が必須だ。営業のような大規模システム開発はできないものの、日々新しいテクノロジーを使いながら部分最適で進化している。ただ、使える予算は限られているのに、小さな積み重ねに「効果はあるのか」「売上を生むのか」と、営業や経営層から指摘されてしまいやすい。このような違いが両部門の衝突を生み、同じ方向を向けない理由の一つとなっている。

 マーケの積み上げ式改善は組織にとって必要な進化だ。しかし、「マーケはこの“踊り場”から抜け出せなくなっているのでは」と丸山氏は指摘する。「マーケ部門は企業にとってどんな組織なのか」を考え直し、今こそ抜本的な組織改革に取り組むべきなのかもしれない。

マーケは組織を動かすドライバー、事業戦略部門へと移行せよ

 丸山氏はブランド・マーケ戦略を組織の「位置づけ」の観点から解説する。現在多くの企業では、マーケはその他の部門と同様に事業戦略の下流に位置づけられ、広告宣伝などの散発的な活動をする組織として扱われがちだ。

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 しかし、丸山氏は「本来マーケティングとは、誰に何をどうやって売るかを考える中枢である」と説き、より事業戦略に密着した「組織を動かすドライバー」の役割に進化すべきだと主張する。

 マーケが事業戦略に食い込むための具体的な手法として丸山氏が提示するのが、「インパクトパス」の設計。間接的だと思われがちなマーケのKPIが、主要KPIにどうインパクトを与えるのか徹底的に算出し、因果関係を突き止めていく方法だ。

 こうした可視化は単なる分析に留まらず、マーケ部門が組織内での「説明責任」を果たすことにもつながると言えよう。目標を達成できなかった場合でも、「できませんでした」で終わらず、どこがボトルネックだったのかを論理的に説明できるようになる。結果、経営層に対して正当な根拠を示す「主体」となり、事業計画をともに推進する立ち位置へと変革していけるだろう。

 さらに丸山氏は、組織構造を従来の「ファネル型」から「フライホイール型」へと転換することを推奨する。

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 「マーケが営業に渡したリードに営業が価値を見出せず無視する。その反応を見てマーケは『営業は動いてくれない』と対立してしまう……。なぜこんな不毛な対立が起きてしまうのかというと、見ている視点が違うからなんですね」(丸山氏)

 断絶が起きやすかった従来の「ファネル型」組織に対するのが、顧客起点のマーケティング戦略を中心に目線を合わせる「フライホイール型」組織。マーケが立てた仮説を営業が現場で検証し、その結果を再びマーケの戦略にフィードバックするという循環を作るものだ。組織の壁を越えてPDCAを回し続けることで、戦略が現場の動きを加速させる本来の力を発揮するのである。

人材不足の今だからこそ見極めたいソーシング戦略

 組織改革しようにも、人材不足が深刻でそれどころではないという企業は多いだろう。そこで考えるべきは、どこを内製(インソース)し、どこを外注(アウトソース)するかという「ソーシング戦略」だ。丸山氏はソーシング戦略を4象限に分類した。

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  1. 「勝ち筋構築領域」=内製主導+外部伴走
  2. 「専門作業領域」=外注前提+ガバナンス
  3. 「コア判断領域」=内製の中枢
  4. 「作業領域」=外注・自動化で極小運用

 同じアウトソースでも、とにかくコストを抑えて外注する場合と、中長期のパートナーシップを組んで社内育成をしながら伴走する場合とでは、主旨も結果も大きく異なるだろう。しかしながら丸山氏は、「人手が足りないからと重要領域を外注に“丸投げ”した上で、新しい取り組みをしようにも知見のある社員がいないから進められない……といった悪循環に陥ってしまうことも多い」と指摘する。

 ソーシング戦略は一朝一夕ではないが、できる企業とできない企業では、力の付き具合や成長速度に大きな差が生まれる。中長期の事業成長を見据える企業の必須要件になると言えるだろう。

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 加えて丸山氏は、「マーケ部門にも全社的かつ中長期の目線で組織や設計の変革を考える人材を置くべきでは」と提言する。従来の積み上げ式の業務改善は続けつつも、根本から見直すフルスケール改革に取り組む必要が生まれてきているだろう。その際、「分水嶺」となるのはCMOをはじめとしたマネジメント層の存在。改革に理解を示し、経営層や他部署への説明ができるマネジメント層がいるかどうかで、成否は決まると言えるのかもしれない。

現状診断から「自走」への移行まで。PwCがワンストップで提供する支援

 一連の分析から明らかになった、根本的改革の必要性。とはいえ「何から取り組めばいいかわからない」という企業には、PwCコンサルティングのFront Office & Experienceチームが提供する現状診断がおすすめだ。

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 「現状診断ではマーケ部門に閉じず、全社的な目線でボトルネックを可視化しながら、競合他社と比較し、組織の強み・弱みなどを洗い出していきます。どこが悪いのか明確でなければ会社も投資判断をしづらいもの。できるだけマネジメント層や経営層が納得できる形でフィードバックします」(丸山氏)

 PwCコンサルティングのFront Office & Experienceチームでは、組織戦略、インパクトパスの検証、営業改革、“営業のことを理解するマーケ” の組織作りといった多岐にわたる業務を、上流から下流まで支援している。そして、最終的なゴールは「自走」だ。マネジメント層を説得するための材料集めから、終了後を見越した“卒業”設計までをカバーする充実したサポートは、戦略実行における「70%の壁」を越えるための突破口となり得るだろう。

マーケティング戦略の「70%の壁」を越える

 戦略が実行に移らない原因は、組織・KPI・ステークホルダーの"3つの断絶"にあるかもしれません。PwCコンサルティングのFront Office & Experience事業部では、組織戦略からインパクトパスの検証、営業改革、「マーケティング組織」づくりまでワンストップで支援。最終ゴールは、貴社が"自走"できる体制の構築です。

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この記事の著者

安光 あずみ(ヤスミツ アズミ)

Web広告代理店で7年間、営業や広告ディレクターを経験し、タイアップ広告の企画やLP・バナー制作等に携わる。2024年に独立し、フリーライターへ転身。企業へのインタビュー記事から、体験レポート、SEO記事まで幅広く執筆。「ぼっちのazumiさん」名義でもnoteなどで発信中。ひとり旅が趣味。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:PwCコンサルティング合同会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/05/08 10:00 https://markezine.jp/article/detail/50569