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MarkeZine Day 2026 Online

クロスチャネルで伸ばす音声広告プランニング(AD)

BMWが「クルマと音声メディアの親和性」を証明。Spotify×人流データによるディーラー送客促進

 自動車業界では「クルマと音声の親和性」はかねて常識とされてきたが、その効果は長らく感覚値でしか語れなかった。そんな中、人流データとの連携が進んだことで、音声広告が実際にディーラー来店につながるかを可視化する道が開かれつつある。BMW Japanと電通は、Spotifyのデジタル音声広告とunerryの人流データを使用し、電通のデータテレビ実視聴データを用いた統合マーケティング基盤「STADIA360」を掛け合わせて、2025年Q4「DISCOVER BMW CAMPAIGN」で音声広告の来店効果を初めてデータで実証した。その設計思想と得られた成果を、三者に聞いた。

「クルマと音声」の親和性、その感覚を確かめたかった

――自動車業界では古くから音声メディアが重視されてきたと思います。改めて「クルマと音声」の親和性についてどのようにお考えでしょうか。

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ビー・エム・ダブリュー ジャパン ブランドコミュニケーションマネージャー 友住 彩香氏
ラグジュアリーリテールを経て約4年前にBMW Japanに入社。ペイド・オウンドメディアを含むマーケティングコミュニケーション全般を統括しながら、個別キャンペーンにもプレイングマネージャーとして携わる

友住:BMWでは元々、音声メディアとの相性の良さには自覚的でした。車内は耳が研ぎ澄まされる特別な空間で、運転に集中しながらも音には自然と意識が向く。そういった意味で、音声メディアとの親和性は高いと確信しています。

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電通 第1マーケティング局 コネクションプランニング2部 マーケティング・コンサルタント 坂田 仁志氏
メディアプランナーとしてマス・デジタルを横断したクロスメディアプランニングを担い、「広告接触とリアル行動の可視化」を積極的に推進している

坂田:クルマと音声メディアとの親和性は感覚的には理解していましたが、その効果をデータで可視化できないことが長年の課題でした。一方、近年では世の中的にも音声メディアへの注目度が高まっており、特にSpotifyでは広告ソリューションを開発し続けており、その注力領域の一つには「In-Car(車内利用)」がある。これらの要素が重なり、今回本格的に取り組むことになりました。

クロスメディア設計にSpotifyを組み込んだ理由

――貴社ではテレビCM、デジタル広告、OOHなどを組み合わせたクロスメディアのキャンペーンに以前から取り組まれてきたとうかがっています。

 2025年Q4に実施した「DISCOVER BMW CAMPAIGN」ではその取り組みをさらに強化し、音声メディアとしてラジオCMだけでなく、Spotify広告にも出稿を広げたそうですが、そこにはどのような背景があったでしょうか。

友住:大きく2つあります。1つは先述の課題感のとおり、デジタル音声メディアの効果を検証し、可視化することです。以前にもSpotifyへ出稿したことはありましたが、具体的な行動変容、来店につながっているかについては検証できていませんでした。今回のキャンペーンのKPIがディーラーへの来場促進だったため、出稿が来店に結びついているかを明確にしたいと考えました。

 もう1つは、Spotify広告とunerryの人流データが電通のマーケティング基盤「STADIA360」を通して連携されたことによって、輸入車ディーラーなど自動車関連施設への来訪履歴を持つ高関心層に直接アプローチできるようになった点です。競合との市場シェアの奪い合いは常に課題に感じてきたので、この点は特に魅力的に感じました。

――その検証が今回初めて実現できた背景を教えてください。

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スポティファイジャパン シニアクライアントパートナー 村上 正大氏
電通でラジオセールスを約10年、自動車メーカー担当営業も経験後、2023年にSpotifyに参画。現在は自動車領域を中心に広告営業を担当する

村上:電通の開発するSpotify広告の効果計測ソリューション「SONATA」との連携を拡大したことで、人流データを使用し、電通のマーケティング基盤「STADIA360」を掛け合わせたSpotifyの広告配信・効果検証が可能になりました。Spotifyとしても、クライアント・代理店のビジネスニーズに応えるべく広告ソリューションを日々進化させており、今回はそれが形になった事例です。

フルファネル設計×人流データ 各媒体を活かす位置づけは?

――改めて、今回のキャンペーンにおけるフルファネルのメディアプランニング全体像を教えてください。

友住:「DISCOVER BMW CAMPAIGN」はエントリーモデル(1・2・3シリーズ、X1・X2・X3)にフォーカスした全国統一フェアです。新型モデルのローンチではなく、BMWをまだよく知らない層にも広く知っていただくことを目的に、間口を広く設定しました。認知獲得とディーラー来場の双方をKPIに置いています。

BMW Japan公式のキャンペーンLPトップより

坂田:メディア構成は、ファネルのトップにはテレビ・DOOHを置いて認知・リーチを獲得し、ミドルにはSpotify・ラジオ・ゴルフカートビジョンを活用して興味喚起を行い、ボトムにはディスプレイ広告などで購買意向層の刈り取り施策を配置しました。

 ミドルを「興味」の段階と定義したとき、自分時間を楽しんでいるシチュエーションでアプローチできる媒体が重要です。Spotifyはドライブ中の方への訴求にも適しており、まさにそれに当てはまる媒体だと考えました。

――ターゲティングに人流データを導入したとのことですが、具体的にどのような層を狙ったのでしょうか。

友住:unerryの人流データを活用し、輸入車ディーラーなど自動車関連施設への来訪履歴を持つ高関心層を抽出しました。そのデータをターゲティングに活用。その他OOHやボトムの各媒体でもカスタムターゲティング配信を実施しました。

データが証明したSpotifyの「送客力」

――来店効果を可視化してみて、Spotify広告ではどのような成果が確かめられましたか。

友住:Spotify広告は来店率、来店数、コスト効率のいずれも良い結果が出ました。高関心層ターゲティング配信は思っていた以上に効果があり、フルファネルで実施した他のメディアと比較しても手応えのある数値でした。

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坂田:高関心層ターゲティング配信の来店率は7.92%で、広告非接触者の来店リフトは+6.26%でした。これは通常配信の来店率2.08%・リフト+0.38%と比べると大きな差があります。来店をKPIとした場合、本ターゲティングとリード獲得を目的とした通常配信を比較すると、来店単価は約15分の1まで低減しており、ターゲティング精度の高さが効率的なディーラー来店に直結した結果といえます。また、接触後10日以内に70%以上のお客様が来店されており、購買検討が進んだ層への訴求が奏功したとみています。

――デモグラフィックの面で他媒体との差異はどう表れていたのでしょうか?

坂田:他のすべての媒体で来店者のボリュームゾーンが男性50代だったのに対し、Spotifyのみ女性50代が最多となりました。

友住:プレミアム自動車の検討者における女性の比率は、自動車購入検討者全体よりは低いながらも、購入時の約2割は女性が意思決定をしており、女性の行動変容も注視しています。今回Spotifyで女性含有率が高く出たことは、狙っていたわけではないのですが、とても嬉しい結果でした。

村上:視覚メディアの場合、クリエイティブからフォルムの良さ、動きによる力強さなどは表現しやすく、特にメインターゲット層が男性の商材ならどうしても男性に響きやすい表現になりがちです。一方、音声は視覚情報がないためによりフラットに届けられ、自分ごと化もしやすい。音楽の合間にふと聞いたメッセージだからこそ、BMWを自分に近しいブランドと感じてもらいやすい特性があったのではないかと考えています。

音声で効果「底上げ」 現場の声からも記憶定着の手応え

――複数媒体を組み合わせたクロスメディアでの効果はいかがでしたか。

坂田:実は今回、BMWさんと人流データを活用したソリューションに取り組むのは3回目です。1回目はテレビCM出稿と来場の関係を可視化すること、2回目は高関心層ターゲティングの実施、そして今回はそれらを点でなく一つのエンジンとして機能させるべく、フルファネルで統合する形で提案しました。

 接触パターン別の来店率を分析すると、テレビCM・OOH・デジタル・音声の4媒体すべてに接触したパターンが15.00%で最高値となりました。次いでテレビCM・OOH・デジタルが12.58%、テレビCM・OOH・音声が8.77%と続きます。組み合わせが増えるほど来店率が上がり、かつ音声が加わることで底上げ効果が生まれることが確認できました

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村上:OOH(外出先・視覚・音なし)とSpotify(外出先での利用が多く・音あり)の補完関係も、今回の結果から見えてきました。1日の生活動線の中でタイミングを分散してメディアに触れることが、来店率の向上につながっていると考えています。

――実際に販売店舗、ディーラーの現場からはどのような声がありましたか。

友住:全国のディーラー様からの週次報告で、「Spotifyで広告を聞いた」というスタッフの声があったとの報告をいただきました。過去にも「テレビCMを見た、やってくれて良かった」との報告を受けたことはありますが、今回Spotifyが名指しで挙げられたことは特に印象的です。現場の観点からも「販売の後押しとなるメディア露出」として存在感があったこと、来場促進への効果を感じられたことが伝わり、リアルな手応えが感じられました。

村上:音で接触することが記憶への定着を促すという話はよく聞かれます。また、人間は自分に関連している情報を優先的に拾いやすいともされており、Spotify広告のターゲティングによって実現する車中でのリアルタイムな接触ならなおのこと、車に関連する情報は記憶により定着しやすいと言えます。

「音声」は必須のピースへ。三者が描く次のメディアプランニング

――今回の結果を踏まえ、今後の音声広告の位置づけや展望をお聞かせください。

友住:クロスメディアの最良の組み合わせに音声が入っていたことで、今後の設計においても音声が重要視すべきものになると感じました。大規模なキャンペーンでも予算が限られた場合でも、タイミングと目的が合えば音声は選択肢に入れ続けていきたいと考えています。

坂田:感覚的には良いと思っていた音声メディアの強みが、今回データで証明できました。選択肢の1つとして自信を持って提案できるようになったことが最大の収穫です。今後もメディアの組み合わせを追求しながら、BMW Japanに新しいソリューションを提供し続けたいと思います。

村上:Spotifyとしても、ソリューションとクリエイティブの両面でクライアントの皆様、代理店の皆様との取り組みを強化したいと考えています。たとえば、SONATAをはじめとしたデータソリューションと連携する、Spotifyデータの拡充を検討しています。Spotifyが持つ楽曲嗜好・ファンダムデータなどを連携することで、事後分析だけでなくプランニング段階からデータを活用できる仕組みを目指します

 またクリエイティブ面では、In-Carというモーメントに最適なメッセージをともに開発し、音声ならではの価値をさらに高めていきたいと思っています。この2つの側面から、BMWさんをはじめとしたクライアントの皆様により大きな価値を提供していきたいです。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:スポティファイジャパン株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/05/13 10:00 https://markezine.jp/article/detail/50606