デベロッパーでもマーケターでもある、Metaの強み
世界最大級のアプリサービスを複数展開し、巨大プラットフォームを抱えるMeta社。Facebook、Messenger、Instagram、WhatsApp、Threads……。マーケターであれば誰しも、毎日いずれかのアプリに触れる機会があるのではないだろうか。
実際にMetaの調査では、約36億人が毎日少なくとも一度、Metaのアプリを利用しているという。理論上、「世界人口の約半数がMetaのロイヤルユーザーである」という計算だ。
そのなかでも田中氏が特に注目したのがInstagramとThreads。そもそも日本はInstagram大国であり、DAU・滞在時間ともに年々大きく伸長中だ。加えて、2023年ローンチのThreadsも日本での成長がめざましく、世界規模で見てもトップクラスの利用率を誇る。世界全体では1.5億DAUを抱え、そのうち4人に3人(約75%)が何らかのビジネスアカウントをフォローしている状況だ。新興アプリとして今後も大きな成長が期待できよう。
そのうえで田中氏が強調したのが、Meta自身もまた「デベロッパーでありマーケターである」ということ。Metaに広告出稿するアプリ企業と同じく、「アプリを素晴らしいものにする」という命題に向け、日々邁進している当事者なのだ。

「UI/UXを磨いたり、新規ユーザー獲得に苦心したりと、本当にみなさんと同じ悩みを抱えています。その経験を広告事業にフィードバックし、広告主の価値最大化に貢献するためのソリューションを開発しているのがMeta広告です。アプリカンパニーでありながら広告媒体社でもあるのが、我々のユニークなポジションと言えるでしょう」(田中氏)
Metaがアプリキャンペーンで注力する「3つの領域」とは
そんなMeta広告のアプリキャンペーンおける今後数年間の注力領域として、田中氏は「AI」「広告主にとっての価値最大化」「インクリメンタリティ計測」の3つを挙げた。

1つ目の「AI」についてMetaは巨額の投資をすることで、AIモデルを磨きあげ、広告運用における最適化精度を向上させている。Meta広告管理画面に触れているマーケターなら、「管理画面のAIチャットボットに相談してみた」という人もいるだろう。AIは最適化のみならず、運用のアドバイスやレコメンド、クリエイティブ制作など、あらゆる面で運用者の負担を減らす存在として活躍し始めている。
2つ目は「広告主にとっての価値最大化」。つまり、CPIやCPAといった獲得指標だけではない、アプリグロースのための指標に向き合うソリューションの提供だ。たとえば、課金最大化やROAS最大化などが挙げられるだろう。ただのユーザーではなく、「高い収益を生むロイヤルユーザー」を獲得できれば、事業へのポジティブなインパクトに直結し、ソリューションの価値を高めることにつながっていく。
3つ目は「インクリメンタリティ計測」。Metaが特に注力しているのは「広告を当てなければ発生しなかったコンバージョン」を可視化する仕組みだ。「広告に触れなくともいずれ発生していたコンバージョン」と切り分けて計測し、純増効果を可視化することで、媒体本来の貢献度が見えてくる。
次のページより、注力する3領域それぞれの詳細な取り組みを、最新情報とともに紹介していこう。
平均ROAS370%、AIに投資するMetaが生み出す費用対効果
Metaは中長期のビジネス基盤にAIを据え、大規模なインフラやデータセンターの開発・整備を続けてきた。2025年のAIインフラ関連への資額は10兆円にも上っている。なお、セミナー前日にはMetaのCEOであるザッカーバーグ氏がFacebookで、新AIモデル「Muse Spark」を発表したばかり。現在進行形で次々と機械学習モデルが生まれ、精度を高めている真っ最中だ。
しかし、広告主が気になるのは、実際にこれだけAIに投資したところで「広告の費用対効果には還元されているのか?」というポイントだろう。その懸念にも、「結論、しっかりとお返しできています」と田中氏は太鼓判を押す。
たとえば、MetaのAIによって「コンバージョン数6%増加」「広告品質が8%増加」といった具体的な成果が表れ始めている。また、「広告をどんな順番で見せればコンバージョンに至るのか」といった人間では難解な計算をAIが代替することによって、広告パフォーマンスを向上することにも成功している。
「数年前にMeta広告を試したけれど、費用対効果が合わなかったという場合は、ぜひ進化したAIモデルが搭載されている現在のMeta広告にトライいただきたいです」(田中氏)
事実、2024年の時点でMeta広告全体でのROASは平均370%となっている。この広告効果の高さだけでも、Meta広告を選ぶ大きな理由となり得るだろう。
「バリュー最適化」で2倍の収益、価値最大化に貢献
アプリはローンチ後、インストールを増やすだけで成功するものではない。ビジネスを軌道に乗せるためには、中長期に課金してくれるユーザーを育て、アップセルやクロスセルでLTVを最大化させていくフェーズが欠かせない。その成長フェーズに効くソリューションが、「バリュー最適化」だ。

Meta広告のアプリキャンペーンには、「アプリのインストール」「アプリイベント」「バリュー最適化」という3つの最適化目標がある。「アプリのインストール」や「アプリイベント」はインストールや課金額を伸ばすためにあるのに対し、「バリュー最大化」はROASを伸ばすことに特化している。

実際に「イベント最適化」と「バリュー最適化」を比較した検証では、同じ広告費でも2倍の収益差が生まれた。また、「コンバージョン(インストール)最適化」と比較した検証では、「バリュー最適化」のほうが平均29%高いROASを実現している。特に「収益化」「LTV」に課題を感じているアプリ担当者なら、試してみる価値の高い最適化機能と言えるだろう。
本来の貢献度を測るインクリメンタリティ計測、真の価値を見極めムダをなくす
田中氏が最後に紹介するのが、「インクリメンタリティ計測」だ。そもそも「インクリメンタル」とは「純増効果」のこと。MetaのCMOであるAlex Schultz氏が「インクリメンタルがすべて」と発言するほど、Meta広告にとって重要な指標だ。

インクリメンタリティとは、「あるマーケティング施策が生み出した真の価値」とも表現できる。田中氏は本講演を例に挙げて概念を解説する。
「たとえば今日のプレゼンで得られたノウハウがあったとしても、すべてが僕の成果ではありません。ここまで聞いたみなさんの中には、既知の情報もあったはず。『もともと知っていた』ものを除外したうえで、『今日のプレゼンでしか得られなかった情報』があれば、それこそインクリメンタルな成果です」(田中氏)
アプリにおけるコンバージョンも同様だ。まったく広告に触れずともコンバージョンするユーザーや、広告に接触したところで、仮にそれがなくともいずれコンバージョンするユーザーはいるだろう。Metaではそれらを除いた、「広告に接触しなければ発生しなかったコンバージョン」を重視している。
「生々しい話ですが、たとえば1,000万円広告投資した場合、インクリメンタリティを加味せずひとつのアトリビューションモデルだけで評価してしまうと、350万円の損失になるという試算もあります。それほどビジネスインパクトの大きい観点だからこそ、数値を可視化していくべきなのです」(田中氏)
なお、検証のためのセットアップやレポーティングは、コンバージョンリフト調査の要領で設定できる。具体的には、テスト群のユーザーをデモグラフィック情報や興味関心で平等に分けたうえで、「広告を接触させるユーザーVS広告を接触させないユーザー」で比較するかたちだ。

Metaが本当に事業貢献度の高い媒体かどうかを見極め、適切に投資していくための最初の一手として、まず「インクリメンタリティ計測」での検証に挑戦してみるのもいいだろう。
インクリメンタルとアトリビューションは補足関係、複数の測定ソリューションを組み合わせる
最後に田中氏は「大切なポイント」として、「我々はラストクリックアトリビューション(ラストクリック最適化)を否定する立場ではない」と念押しする。ラストクリックを含めた既存のアトリビューションとインクリメンタルアトリビューションは、“A or B”ではなく“A and B”の関係。どちらの長所も活かしながら使い分けていくべき機能と言える。

ラストクリックアトリビューションには、「クイックにPDCAを回せる」という明確な利点がある。そして、ラストクリックアトリビューションとインクリメンタルアトリビューションは、それぞれの苦手分野がちょうどマッチする補完関係だ。
たとえば、クオーターに1回インクリメンタルアトリビューションでの本格的な検証をしつつ、常にラストクリックアトリビューションで検証を重ね、CPIやCPA目標を調整していくなどの工夫ができるだろう。「単発の調査で終わらせずに、定期的かつ長期的なPDCAサイクルのなかに組み込んでもらえたら」と田中氏は活用を推奨した。
Meta広告の強みは、さまざまな測定ソリューションを連携して活用することによって、マーケティング戦略のあらゆる要素を検証していけることにもある。インクリメンタルはもちろんのこと、短期指標から長期指標まで、幅広い視点で俯瞰できるかどうか、真の価値最大化を実現できるかどうかがアプリマーケティングの成否を左右することになるだろう。

