SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2026 Online

マーケティングOSのアップデート

横山隆治氏新連載:マーケティングOSのアップデート|第1回「広告会社の古いOS」を更新せよ。

広告会社OSを構成する5つの中核

 従来の広告会社のOSは、次の5層でできています。

1.価値定義OS
  • 広告の価値=「露出」「話題化」「受賞」
  • 成功=「クライアント満足」「前例踏襲」
2.意思決定OS
  • 最終判断は誰か(営業?CD?クライアント?)
  • データか、経験か、声の大きさか
3.仕事分業OS
  • 営業/プランナー/クリエイティブの分断
  • メディアは外注 or 別会社
4.評価・人事OS
  • 評価されるのは「案件獲得」「調整力」「根回し力」
  • 成果よりプロセス重視
5.学習・進化OS
  • 失敗は共有されない
  • 成功事例は神話化され、再現されない

 さて、今の広告会社は、上記5つの中核を何に向けて最適化しているでしょうか。

 はっきり言うと、多くの広告会社のOSは、「テレビCM起点・マス露出最大化時代」に最適化されたものです。それゆえ、SNSやリテールメディア、AIを“新しいアプリ”としてただ追加するという現象が起きてしまいます。しかし、OSが古いため、いずれも部分最適に留まってしまったり、部署間で対立が起きてしまったりして、なかなか進みません。

 筆者が提唱している「新トリプルメディア(詳しくは別の機会に説明します)」はOSアップデートの話なのです。

3度のOS乗り換えを経験し、いま「第4のOS」へ

 振り返ってみると、日本の広告会社は、これまで3度のOS乗り換えを経験してきました。そして今、「4度目の乗り換え」を迫られています。

第1のOS:新聞・ポスター(〜1960年代)

 この時代のOSは「情報伝達」に最適化されていました。コピーとレイアウトがすべてであり、コピーライターが組織の中心にいました。媒体は単なる「情報を載せるための枠」に過ぎず、効果測定などほぼ存在しません。つまり、「伝えたかどうか」だけが価値のすべてでした。

第2のOS:テレビCM・マスリーチ(1970〜1990年代)

 この時代の思想は「認知拡大」。テレビCMを起点に、マスへ一斉に届けることが正義とされていました。クリエイティブがヒーローであり、出稿量と話題性がそのまま成果指標となります。日本の広告会社のDNAは、実質的にここで完成したと言ってもいいでしょう。

第3のOS:デジタルによる補助(2000年代〜2020年代前半)

 第3のOSは、テレビCMを主役に据えたまま、デジタルを補完的な延命装置として付け足したに過ぎません。デジタル専業部署を作り、KPIを「クリック」や「コンバージョン」に置き換えても、肝心の意思決定OSは第2世代のまま――表側は新しいが、中身が旧世代という歪な構造に、私は長年ずっと違和感を持ってきました。

 なぜ今、「第4のOS」が必要なのか? 理由はシンプルで、第2・第3のOSでは、もはや広告としての本来の役割を全く果たせなくなったからです。生活者もメディアも、それらの環境も様変わりしています。

 そして、旧OSの致命的な欠陥は「認知を広げれば売れる」「企画は一発勝負の完成品」という過去の前提に縛られている点です。今の現実は、「認知しても買わない」「企画は常時改善が前提」「クリエイティブは固定された完成品ではなく、効果に応じて最適化されるべき“変数”になっている」。第4のOSが前提とする世界観において、広告の定義はこう変わります。

広告とは、メッセージを、個人の状態と文脈に合わせて、継続的に最適化する行為である

次のページ
OSを変えずにやると必ず失敗する理由

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
この記事の著者

横山 隆治(ヨコヤマ リュウジ)

横山隆治事務所 代表取締役
ベストインクラスプロデューサーズ 取締役 ファウンダー
トレンダーズ 社外取締役

1982年青山学院大学文学部英米文学科卒業。同年、旭通信社(現・アサツー ディ・ケイ/略称:ADK)に入社。インターネット広告がまだ体系化されていなかった1996年に、日本国内でメディアレップ事業を行う専門...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2026/05/08 09:00 https://markezine.jp/article/detail/50703

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング