個人サービスだからこそできる試み
このようにして、コンセプトを決めるところに時間をかけてつくられた「子育てマイアルバム」だが、「このような取組みは独立してはじめてできた」と荒木氏は語る。「イラストを作るなど、時間をかけてこだわることができたのは自分のサービスだからこそかもしれないですね。ビジネス視点だけだとなかなかその部分にコストを割きにくかったりしますね」
独立以前はコンセプトが不明瞭なサービスになってしまっている事も多く、そこに疑問をもつことが多かったのも今回のようにコンセプト・デザインを行うきっかけとなったようだ。
「システム開発を行う前は、元々ホテルマンでお客さんをみてどのようなサービスをするべきかを考えるのが好きでした。それをネットの業界で表現できないかと考えたのがネット業界に入ったきっかけです。当時はネットは無機質なものというイメージがあったのですが、もうちょっとそれを違う形で表現できないかな?と考えていました」
「仕事でここまでできたら、本当はいいんですけどね」と荒木さんは笑う。
「仕事だと自分の判断だけではできないけれど、自分の判断でやったらどうやれるかをやってみたかったんです。インターネットの本質は技術的なところにあるのではなく、コンセプトをどう組みたてるか、利用者の使い方を明確にするところにあると思っています」
最初にコストと時間をかけてサービスのコンセプトを組み立てる。仕事の中でおろそかにしてしまいがちな作業だが、この部分にこそウェブサービスを成功させるための鍵が隠されているのかもしれない。