「ページを表示した後」にも配慮したIE8の新機能
Internet Explorer 8(IE8)は、ウェブページを表示するだけでなく「表示したあと何をするのか?」まで考えたさまざまな機能が追加されている。まず、そのいくつかを見ていこう。
「アクセラレータ」機能では、さまざまなウェブサービスを「アクセラレータ」として登録することで、ウェブページのデータに対してさまざまな処理を実行することができる。たとえば、ページ上の英文テキストを選択すると青い矢印のアイコンが表示され、クリックするとメニューからアクセラレータを選択することができる。この場合、翻訳機能を持ったアクセラレータをクリックすると、すぐに日本語に翻訳した文章を表示してくれる。
また、ブラウザ右上の検索窓では、キーワードを入力するとサムネール画像付きのキーワード候補がリスト表示されるようになっている。この検索窓で利用できるサービスは「検索プロバイダ」と呼ばれ、GoogleやYahoo!などの検索エンジンだけでなく、Amazon、楽天、Wikipediaなども検索プロバイダに加えることができる。
さらに、IE8はレコメンド機能も持っている。ブラウザ上部のバーにある「サイト候補」ボタンをクリックしてこの機能をオンにすると、閲覧履歴を使ってユーザーが関心を持ちそうなサイトの候補を表示する。「Web Slice」という機能では、ニュースや天気など何度も訪れるサイトをバーに登録し、コンテンツが更新されると見たい情報を小さな画面に表示してくれる。また、多くのタブを開くときにベンリな色分けによるタブのグルーピング機能など、細かいところにも配慮されている。
このように、IE8の新機能のいくつかは、すでにほかのブラウザではおなじみのものだが、単なるブラウジングにとどまらない、「ブラウジングのその後」までを考えた機能が数多く提供されている。
新しいプライバシー機能に米広告業界が懸念
問題のプライバシー保護機能だが、誰がどんなサイトを見ているのかを第三者に知られたくない場合、これまではブラウザが保存しているCookieや閲覧履歴などのデータをユーザーが削除するようになっていた。それに対して、IE8の新機能「InPrivate ブラウズ」は、閲覧セッションに関するデータはそのセッションの間だけブラウザが保持し、閲覧終了後はブラウザ側に残らないようにすることができる。この機能がオンになっているときには、アドレスバーに「InPrivate」というアイコンが表示される。
もうひとつの「InPrivate ブロック」は、訪問したサイトがスニペットなどを使って、その訪問に関する情報を別のサイトと自動的に共有することを防止する機能。これによって、プライバシー保護のために一部のウェブサイトのコンテンツがブロックされる可能性があるという。
APが報じたところでは、このInPrivateブロック機能によって広告が何回見られたかを追跡することが不可能になるのではないかと、米インタラクティブ広告業界団体IABの関係者が懸念を表明しているという。
こうした機能はFirefoxでもプラグインとして提供されていたが、ブラウザ市場に大きなシェアを持つIEにこの機能が実装されれば、広告費の算出に必要なデータが収集できなくなり、オンライン広告市場にとって打撃になるのではないかというのだ。
ネットユーザーのプライバシーについては、Googleが持つ膨大な検索履歴にも批判が向けられている。IE8はまだベータ版だが、この新機能をMicrosoftが最終的に組み込むのかを、広告業界は見守るかたちになりそうだ。
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