自動入札ツールの基本的概念
まず、自動入札ツールの基本的な概念について確認をしておくと、自動入札ツールに限らずいわゆる情報システムというものは全て
インプット ⇒ 演算処理 ⇒ アウトプット
という流れで動作する。自動入札ツールの場合の各ステップでの具体的な処理対象を挙げてみると
- インプット :クリック率(CTR)、コンバージョン数、コストなど
- 演算処理 :独自のアルゴリズム、あるいは設定された入札ルール
- アウトプット:入札処理
となる。
現在市場に出回っている自動入札ツールの中には、上記における演算処理の部分のアルゴリズムを他のツールとの差別化ポイントとしているものも多い(例えば金融理論を用いたアルゴリズムを採用しているなど)。
もちろんインプットが同じであれば、最終的なアウトプットの質は演算処理に左右されるため、この部分の重要性は非常に高い。ただ、演算処理が一定のレベルまで成熟してくると、最終的なアウトプットの質を高めるには演算処理の改善だけでは限界が出てくるのもまた事実だ。
入札の質向上のための情報とは
そこで、アウトプットたる入札の質をさらに向上させるには、どのようなインプットをツールに対して与えられるかが重要になってくる。
多くの自動入札ツールではリスティング広告の媒体(Overture、Googleなど)が提供しているAPIから情報を取得する形式を採っているが、インプットをそこに留めている限りは成果として突き抜けることは難しい。
そうなると、いかにして媒体API以外のソースから入札に有効な情報を取ってくるかが鍵となる。例えばWeb解析ツールでコンバージョンと同時にユーザーの属性情報(性別、年齢など)を取得していた場合、その属性情報をもとにした入札ルールを設定すれば、更なる成果向上の糸口が見えてくるかもしれない。
また、オフラインデータ(サイト上で資料請求した人が郵送などで実際に申し込みをした件数など)を取り込むことができれば、より実態に近い成果を基準とした入札ルール設定が可能になるだろう。
自動入札ツールとその他データとの連携は着々と進んでおり、例えばオムニチュア社の自動入札ツールOmniture SearchCenterにおいてはWeb解析ツールであるSiteCatalystとの連携が実現している。また、その他のツールにおいてもインプット情報の拡充は進んでいくことと思われる。
既存の情報のみにとらわれず、あらゆる情報から総合的に成果を向上させていく観点を持つことが、自動入札ツールの選定・運用を成功につなげるための大きなポイントのひとつであろう。