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村中明彦の営業いらず!売上直結の最強Web成約術

第4回 本質を見抜いて勝つ! ロングテールはビジネスでは「使えない」理論である (前編)

ロングテール理論は楽しい。しかし…

 「ロングテールの法則」とは、一つ一つはあまり売れていない商品であっても、全点数を合計すれば、その売上げは一部の売れ筋商品にも勝り、ネットショップの重要な収益源になるという考え方である。ロングテールの法則で世の中を見るのは楽しい。恐竜の頭と尻尾のイメージがユーモラスだし、アマゾンやグーグル、iTunes Storeなど、ロングテールで表現されているビジネスはいずれも先端的だ。

「商品」を「販売数」の多い順に並べると、販売数の多い一握りの商品(ヘッド)に続く、
販売数の少ない商品のグラフが恐竜の長い尻尾(ロングテール)」のように見える。

 「小口客を大切にしよう」と言うと説教くさいが、「ロングテール」と言えば、現代的でしゃれている。この言葉は、アメリカのカルチャー雑誌「WIRED」の編集長、クリス・アンダーソンがコラムで使ったのが最初だそうだ。さすが商業雑誌の編集長、うまい言い方を考えるものだ。

 ロングテールは、頭を整理するのにはよい道具だと思う。ひとつ具体例を見てみよう。

小口販売がメインの日立金属工具鋼の場合

 日立金属工具鋼という会社がある。金型の材料となる「工具鋼(こうぐこう)」を全国の製造業に販売する会社だ。営業面から見たこの会社の特色は「小口客がメインである」ということだ。新日鉄など一般鋼の場合は、大口顧客へ大口販売を行うが、工具鋼の場合は、全国約30,000社の中小零細の製造業(いわゆる町工場)への小口販売がメインであり、同じ鉄でもまったく違う世界である。

 たとえば、一般鋼の注文や生産の単位が「トン」であるのに対し、工具鋼は「キロ」なのだそうだ。時には10キログラムの注文もあるそうで、10キロならば営業マンが営業車で納品することも可能だ。

「日立金属工具鋼」のホームページ。

 ではアマゾンはどうか。2006年に日本で発行された新刊点数は86,000冊にもおよぶそうだ。1日に210冊。つまりアマゾンでは毎日、尻尾が210冊分、長くなる。これに過去十数年の間に発刊された書籍を加えれば、尻尾は十分に長くなる。まさにロングテール。

 最近、日立金属工具鋼の人と話す機会があった。その人は自分たちの市場を「ロングテール&義理人情」と表現していた。これまたうまい表現である。「小口主体&義理人情」ではつまらない。「ロングテール&義理人情」だから面白いし、よりスッキリと理解できる。

 このように「ロングテール」という単語を使えば、的確かつユーモラスに表現できる。なかなか便利な道具である。しかし、再度問うのだが、「ロングテールの法則」、はたして人生で、ビジネスで、「使える」のだろうか。

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長い尻尾、短い尻尾

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この記事の著者

村中 明彦(ムラナカ アキヒコ)

日本唯一の「お客様の声、事例」の制作、コンサルティング会社カスタマワイズを経営。「商品の価値を本当に説明できるのは売った人ではなく買った人」を信条に、エンドユーザーにインタビューし、それを営業ツールにまとめるメソッドを確立。「事例をWeb掲載しただけで800万円成約を獲得」、「取引先の社長の前で事例を朗読し...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/01/16 20:00 https://markezine.jp/article/detail/546

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