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村中明彦の営業いらず!売上直結の最強Web成約術

第4回 本質を見抜いて勝つ! ロングテールはビジネスでは「使えない」理論である (前編)

長い尻尾、短い尻尾

 私は、「ロングテールの法則」は、人生でも、ビジネスでも、「使えない」と思う。その論拠を示してみよう。

 まず人生や日々の生活では明らかに使えない。自分の過去・現在・未来を、ロングテールの法則で考えてみても収穫は特にない。明日、1カ月後、1年後、あるいは今この瞬間に何をするべきか、ロングテールの法則を使って考えても、何も決まらない。

 ではビジネスではどうか。ビジネスで「使える」とは、要するに「儲かる」ことだ。あなたのビジネスは、ロングテールで「儲けられる」だろうか。

「ロングテールの法則」を成立させる条件とは?

 まず、私のビジネスである「お客様事例の制作・コンサルティング」。商品が1種類しかないので、「尻尾(テール)」が作れない。今この原稿はファミリーレストランで書いているのだが、ここにしてもメニューは50種類ぐらいしか載っていないので、やはり尻尾は伸ばせない。では日立金属工具鋼はどうか。営業対象である町工場はロングテールかもしれないが、商品である工具鋼はおそらく百数十種類ぐらいではないだろうか。ロングテールと呼ぶには長さが足りない(※1)。

 一方、オンライン書店のGoogleアドワーズの尻尾も長い。キーワード広告は、検索キーワードの数だけ存在する。人々の検索ニーズは多様であり、何十万、何百万通りもある。だから尻尾も十分に長くできる。

 ビジネスにおいて、「ロングテールの法則」を成立させるには、尻尾を十分に長くするほどの「商品点数」がなければならない。さらにネットの活用でコミュニケーション費用(販売管理費)を最小にし、かつ在庫リスクからも解放されていなければならない(在庫の問題については後述する)。

 そんなビジネスは、世の中に多くはないはずだ。アマゾン(書籍&CD)、グーグル、ヤフー(キーワード広告)、iTunes(音楽)、とっさにはそれぐらいしか思いつかない。

ロングテール的思考の危険性

 「キーワード広告への出稿。ロングテール手法の活用」などのマーケティング・プランを実施したとしても、それはロングテールで儲けていることにならない。単に、グーグルから見てその人がロングテールの一部であるというだけだ。その人は、尻尾の一番後ろにくっついただけのことだ。

 しかし、尻尾の後ろに並んだだけなのに、自分は最先端のロングテール・マーケティングをしていると「錯覚」してしまう人が後を絶たない。そうであるなら、ロングテールとは、「使えない」だけでなく「危険な」コンセプトでもある。

 私は、キーワード広告を否定しているのではない。そういう広告を出して投下した資金以上の売上が上がるのなら、それは素晴らしいことだ。だが、「ロングテール時代のマーケティング2.0」といったタイトルのセミナーが開かれているのを見ると、直感的に思うのは、ロングテールとは、たぶん供給側にとって都合のいい言葉である。

 私は、キーワード広告を出稿している中小企業の経営者の1人であるわけだが、この私の状況は、「ロングテール」と呼ぶよりは「BOP(ボトム・オブ・ザ・ピラミッド)」と呼ぶ方が的確なのではないかと思う。

(※1)
日立金属工具鋼の担当者は、「ロングテールは、実は簡単な宝の山のビジネスではない。汗をかきながら顧客の心をつかむことが組織文化として定着していないと、そのビジネスを継続することができない」とも述べていた。
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この記事の著者

村中 明彦(ムラナカ アキヒコ)

日本唯一の「お客様の声、事例」の制作、コンサルティング会社カスタマワイズを経営。「商品の価値を本当に説明できるのは売った人ではなく買った人」を信条に、エンドユーザーにインタビューし、それを営業ツールにまとめるメソッドを確立。「事例をWeb掲載しただけで800万円成約を獲得」、「取引先の社長の前で事例を朗読し...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/01/16 20:00 https://markezine.jp/article/detail/546

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