Web心理マーケティングの必要性
我々の生活は、実に多くの心理学・社会学から応用された理論と共存して営まれており、それを日常で意識的に使うか否かはともかく、Webマーケティングにおいては、是非とも積極的に応用して頂きたい。本連載ではWeb広告やWebサイト構築などのWebマーケティング戦略に心理学やその実験を応用した、Web心理マーケティングを提言していきたい。

さらに人は、その時の心理状況によって、行動を変化する。その時どのようなモチベーションであるのか、どのように誘導すべきかを踏まえ、モチベーションの最適化、つまりモチベーション・オプティマイゼーションの必要性を提起する。
体験実験1
下記に不規則な文字列8ワードが並んでいる。これを30秒程度で、順番は関係なく、できるだけ多くの単語を覚えていただきたい。
メヌイ・キケガ・トドゾ・アムソ・セヌミ・ボエグ・ラロイ・ジンゴ
結果はいかがだっただろうか? 全て覚えられた方は、群を抜いて頭脳明晰な方なのではないだろう。
さて、こういった問題を数人に受けてもらうと、最初と最後に提示した単語は概ね平均正答率が高いものの、ワード群の中間で提示された単語の平均正答率は低いという結果になる。是非とも、職場の同僚や友人達にもこの問題を出して回答してもらいたい。
このように、複数の情報の中から、態度や判断を下す時、最初に提示された情報の再生率が高い、または特に強い影響を与える現象を「初頭効果」と呼び、最後に提示された情報のそれを「新近効果」(新近性効果)という。
尚、回答の2番目の正答率が高い可能性がある。それは何度も反復して覚えようとしているが為である。
この「初頭効果」と「新近効果」は、理屈抜きにしてもWebマーケティングに携わる皆さんには是非とも再認識して頂きたい。
応用問題1 Web心理マーケティング
では、貴方がECサイトの運営に携わる立場であったとしよう。条件は以下の通りとする。
- 新商品をユーザーに告知し、販売したい
- 商品A・商品B・商品C・商品D・商品E・商品Fの告知を行う
- 売りたい順番はAが最も高くFに向かうにつれて優先順位が下がる
- 告知方法はメールマガジン内で行う
- ECサイトは6年運営しており、会員は8万人
上記の条件の場合、メールマガジン内の上から順番に商品告知をするとした場合、商品A~Fまでをどのように並べるべきか?下記よりメールマガジン内での正しい告知順を選んで頂きたい。
- A・B・C・D・E・F
- A・C・D・E・F・B
- A・B・D・E・F・C
- D・C・B・E・F・A
- B・C・D・E・F・A
さて、どの回答を選んだだろうか? 正解は「3」である。本条件下であれば「3」が一番適切な回答だといえるだろう。「初頭効果」や「新近効果」を考慮すれば「2」ないしは「5」が正解といった事になるだろうが、では、その内、「2」と「5」どちらがより正しい告知順と考えられるだろうか。思いつきではなく、根拠を持って「2」ないし「5」を選択して頂きたい。
