携帯サイトでも雑誌のようなクオリティを
コンテンツのクオリティにこだわって運営してきたガールズウォーカー。当初は端末の表現力が乏しかったものの、“携帯インターネットはPCの5年遅れ”という考えから、モバイルのブロードバンド化やパケット定額化は予測していたという。クリエイティブについては、常にその時の携帯の表現の限界まで挑戦した結果、ユーザビリティやコンテンツの見せ方など、多くのノウハウが蓄積されていったようだ。
“編集者”の意識で“コンテンツ”を作りあげる
「ユーザビリティに関しては、長年蓄積したノウハウがあります。いわゆるクリックしてもらうためのキャッチコピーの書き方などは、出版社さんなどと同じように、編集スタッフと一緒に作り上げてきました。昔の携帯の場合「全角8文字ルール」というものがありました。狭い画面で効果的に見せるためには、1行に絵文字も含めて8文字以内というのが限界だったのです。その8文字の中でサイト名を収めたり、リンクしてもらいやすい“響く”キーワードを考えたりといったことに注力していました。こうしたコピーライティングについては雑誌の編集部でも同じだと思います。コンテンツを掲載する媒体がモバイルなのか、PCなのか、雑誌なのかの違いだけだと思います」
エンゲージメントを意識したアプローチ
「写真については、ファッション誌と同等レベルでなくてはと考え、現在は社内のスタジオにモデルさんに来てもらって実際にスタイリングした状態を撮影しています。携帯とはいえ現在では多彩な表現ができるようになったため、できる限りリッチに見せられるようにしています」編集者としての意識があって、コピーづくりや写真の撮影にこだわってきた同社。ほかにも、“編集スタッフが登場する”といった演出も功を奏してきた。
「弊社は、編集部制をとっています。例えば『コスメwalker』といったサイトがあって、その編集部員がメルマガに登場して『コスメwalkerの○○です』と商品を紹介することによって、親近感を与えながら『編集部からのお得な情報だよ』と伝えていく意識がありました。これも雑誌に置きかえると編集スタッフの声みたいなものですね、この手法は他社さんにもけっこう真似されました。メルマガの冒頭に『○○の○○です』というのを見かけますが、あれは最初に弊社が始めたと思います」
同社の代表が元々放送作家をしていたことから、当初からメディア作りへの志向が強く、各スタッフは、携帯での放送局や雑誌を作るといった意識を強く持っており、それがユーザーの支持を得られたということだろう。うした試行錯誤を経て、女性向けのモバイル通販での売り上げを伸ばしていき、その“ブランド力”の他展開もはじめている。その代表例が「東京ガールズコレクション」だろう。
大手ファッション誌のモデルが“一堂に”競演
「もともとは、神戸で『神戸コレクション』というファッションイベントを毎日放送さんが主催していて、そのモバイルの部分は弊社が共催するといった形でした。その後、東京発信のブランドさんを集めて『ガールズウォーカー』の五周年イベントという形で、『東京ガールズコレクション』を開催し、そこから現在まで継続しています。『東京ガールズコレクション』の特徴は、複数の雑誌のモデルさんたちが雑誌の枠を超えて一緒に揃ったことです。これは業界にも大きなインパクトとなったのではないでしょうか?もともと各雑誌の編集部とは良好な関係でしたし、『東京発のファッションのお祭りだから一緒にやりましょう!』というところに共感していただけたのだと思います」
同社にとって、東京ガールズコレクションは、クロスメディア展開を行う中でのひとつのメディアである、という立ち位置だが、リアルなイベントを開催することでサイトや会社の知名度がアップするという相乗効果も得られている。雑誌とタイアップし、テレビをはじめとするさまざまなメディアで紹介されるため、その効果は計り知れないという。
現在では2万人以上の観客を集める一大ファッションフェスタへと成長している
((C))TOKYO GIRLS COLLECTION by girlswalker.com 2008 A/W)