なぜ、Googleは一人勝ちなのか?
2008年の検索エンジンシェアはGoogleが続伸し、それを追うYahoo!やMicrosoft Liveは減少傾向にあるのは周知の事実だ。Yahoo!やMicrosoftとGoogleの差は依然広がりつつある。
ダニー・サリバン氏はGoogleの優位性について次のように述べる。
「Googleの優位性は次の3点だろう。1つは『純粋に良い商品を作っている』ということだ。検索の性能自体が他のサービスと比較して優れている。2つ目は、『検索に対する愛があり、それに対して引き続き投資』をしている点だ。シェアのTopでも、手を抜かずにサービスの強化を続けている。3つ目は、『(基本的には)ユーザー視点でビジネスの判断をしている』ことだ。とにかく情報を集めてそれを公開するという姿勢は高い評価に値する」。
しかし、そんなGoogleに関して、不満や気になることがないかというそうではない。Googleはオープンなスタンスを取ることが多く、そこが評価されている理由の1つでもあるが、それは「あくまでも遅れている分野においてオープン」である。検索やAdwordsなど、同社のコア部分に関してはクローズドだ。
「例えばAdWordsでは広告主が本当に知りたい情報である『表示とクリックにいくらかかるか?』が事前にわからず、入札方式だ。『いくらまで出すつもりなんだ?』という問いかけをいつも行う。これは不親切ではないだろうか?」と会場にぶつけた。
「こういった点に関して、広告主はもっと声をあげるべき」。SEOに関する話題はブログなどを通して活発に議論されるが、SEMに関してはほとんど話題に上がらない。ユーザーの声をもっと届けることが大切なのではと指摘した。
また、Googleはシェアが高くなりすぎることに対するリスクにもさらされる可能性があると釘をさす。
「独占に近づけば近づくほど、ユーザーであったり、政府に狙われる可能性は高くなる。「Google自身も検索シェアをこれ以上大きく増やすことは望んでいないはず」という。しかし、現状は他のサーチエンジンが迷走しており、結果的にシェアを大きく伸ばしている。
Google=コカコーラ、Yahoo!=ペプシコーラ、Microsoft Live…
サリバン氏は、Googleをコカコーラ、Yahooをペプシコーラ、Microsoft LiveをRC Cola(米国で発売されているコーラの一種。ドクターペッパーなどを作っている会社が販売。知名度はイマイチ)と例える。
「レストランでコーラを頼んで、『コーラがないのでペプシでも良いか?』と聞かれることはあるけど「RC Cola」はどうか?という事は聞かれないだろう」。Microsoft Liveの検索がユーザーにとって選択肢に上がりにくい現状をこのように比喩した。なぜ、こういう認識や事実になってしまうのか? 同氏はその答えを「ユーザーのイメージにある」とする。
「マイクロソフトの製品といえば多くの人は『Windows』や『Microsoft Office』などをイメージするであろうが、Googleといえば、多くの人が最初に連想するのが『検索』である。また、それぞれの会社のメッセージも、検索に対する意識や重要度が伝わってくる」と指摘する。マイクロソフトは「Software+Service」というメッセージ。この中に検索はどこに含まれるのだろうか? それに対してGoogleは「Search, Ads&Aps」というメッセージであり、検索を最優先においていることが伝わってくる。
「少なくとも現状では、マイクロソフトにとって検索エンジンはビジネスほんの一部であなのだろう」。そういったイメージが外に対しても発信されていると分析した。