ソフトウェア業界の巨人が本腰で始動
マイクロソフト社と言えば、パソコンを触ったことがある人は同社の製品を使ったことがないと言っても過言ではない世界最大のソフトウェア企業。Windowsは企業の標準OSと言ってもよい存在で、Officeソフトウェアはビジネス文書の作成に欠かせない。
一見すればライバルと呼べる製品が少なく、“データベースマーケティングの必要性がないのでは?”と思う人も多いだろう。事実、製品力の強さでどんどん売れていく時代を経験した同社にとって、データベースマーケティングの必要性はあまり感じていなかったのが実情のようだ。そのマイクロソフト社がデータベースマーケティングに真剣に取り組み始めたのは、ここ数年である。
膨大なデータをなぜ使わないのか
数年前、同社で初めてデータベースマーケティングという仕事を始めた保坂氏(写真左)。マイクロソフトの社内でもデータを扱う仕事は非常に地味な仕事で、難しい上に分かりにくく効果が見えにくい。
しかし「膨大に蓄積されている、購買データをはじめとした貴重なデータ、財産を活用すべき」という考えのもと、同社特有の課題をクリアしつつ、リレーションマーケティングを最大化するデータベースマーケティングに取り組んでいる。講演では、本邦初公開となるマイクロソフトのデータベースマーケティング・データマイニングの展開事例を交え、同社の取り組みが紹介された。
データベース活用でシンプルなコミュニケーションを目指す
マイクロソフト社はWindows VistaをはじめとするWindowsクライアント製品、Microsoft Officeなどのインフォメーションワーカー向け製品、ビジネスソリューション、サーバプラットフォームからXboxなどのホーム&エンターテイメント製品まで、多岐にわたるビジネスを展開している。マーケティングも製品マーケティング、セグメントマーケティング、オーディエンスマーケティングの部門に別れ、数百人単位の人がマーケティングに関わっている。
一方、マイクロソフト製品のユーザーは、ある時は開発者、ある時はIT管理者であり、また家に帰れば趣味でPCを使う個人ユーザーでもある。パートナー経由での販売も多く、直接顧客とコミュニケーションすることが少ないのも同社の特徴だ。そのため、データのフラグメンテーションがまだ整備されていないという。
このような中、保坂氏は「マーケティングは適切な顧客に対して、適切なメッセージで、シンプルにコミュニケーションしなくてはいけません。顧客とマイクロソフトのコミュニケーションをシンプルにすることはできないか」と考え、データベースマーケティングに取り組みはじめたという。