課題2:導入したがサービスが現場で使われていない
この連載を読んでいる皆さんは、アクセス解析について基本的な知識があったり、いくつかツールを使ったりしたことがあるかもしれません。しかし、サービスを使う人は皆さんだけではありません。会社の規模にもよりますが、数十人~数百人が活用する場合もあるかと思います。この規模になってくると、ちゃんとした教育が必要となります。アクセス解析ベンダーのトレーニングや社外セミナーなどもあるかと思いますが、使う側のニーズを完全には満たしてくれません。

過去のログシステムとの違い、社内で使っている用語との連携、アクセス解析用語や概念の理解などはベンダーが用意されているトレーニングコンテンツの中ではあまり説明されていません。大規模な会社では、社内向けにカスタマイズされた教育プログラムが、必要になります。
カスタマイズされた教育プログラム作りは、ベンダーが「コンサルティング」という形で(有料で)担保してくれます。しかしどれだけベンダーに正しく情報を伝えるか、そしてその知見を残しアップデートしていくのはあなた(の会社)の責任になります。特に更新を怠ってしまうと、半年もすれば使えない、そして結果使われないコンテンツになってしまいます。
マニュアル以外にも、サポートもこの中に入ってきます。無料アクセス解析サービスの多くはサポートをほとんどしてくれません。サポートがないことによる影響を把握しておきましょう。独学で対応できるレベルなのか? それとも電話サポートがないとツールすら使ってくれないのか? 担当者のレベルや会社のネットリテラシーに依存します。あなたの会社がどれだけ、ツールのサポートを必要としているのか? これを無料アクセス解析サービス導入時に見極めましょう。満足いくサポートが提供されない場合、ユーザーはすぐに使う事をやめてしまったり、間違った理解で数字を活用してしまいます。
また、もしかすると必要な機能が足りないから利用されていない可能性もあります。どの機能が不足しているか、つまり、どの機能があったら利用されるか? を把握しておきましょう。
解決のための糸口:
カスタマイズされたコンテンツを作るか否かの判断のためにも、まずは利用者に対してのヒアリングを行い、ツールの難しいところ、マニュアルの分かりづらいこと、出したいけど出し方が分からないデータなどを確認しておきましょう。もしかしたら、会社によっては用意されたマニュアルやサポートで十分かもしれません。また、社内事例を作っていくことも大切です。いくら材料が揃っていても、結果や事例が伴っていないと使う側のモチベーションが上がりません。社内事例の作り方に関しては本連載の後半で取り上げます。
課題3:サイト改善にアクセス解析サービスが活かせていない
モニタリングやレポーティングだけにしか、アクセス解析サービスを使っていませんか? ここで言う「モニタリング」とは「KPI等の必要なデータを定期的に取得し、ドキュメント化し報告をする」ことを指します。自分のサイトがどういう状態なのか? を把握することですね。この目的でサービスを導入しているのであれば良いのですが、導入理由の多くは「アクセス解析サービスを使ってサイトの改善を行い、売上を上げたり・コストを削減したりする」だと思われます。

しかし、本当にこの改善を実現するための土壌(必要な人材や体制)が整っているのか? これを把握することが、もしかしたら無料サービスを導入する最大の目的かもしれません。
- ログから課題を発見するスキルを持っている人いるのか? またはその人の知見はまとまっているのか?
- 課題を発見した後に、対策を考えるスキルを持っている人がいるのか?
- その改善案をスピーディーに集客やサイト改善プランに反映できるのか?
- 反映された結果をちゃんとモニタリングできるようなフローになっているのか?
- こういった改善をおこなったことによって評価されるような体制や仕組みになっているのか?
正直に言うと、自分の会社でもまだここまでできていません。また、これらの項目にすべて「はい」と答えられる企業はほぼゼロかと思います。しかし、それは問題ありません。自分の会社にどういう課題があるかを把握しておくことが重要なのです。