決済承認をもらおう
ツールも決まり、無料トライアルも終わり、契約やSLAの詳細も詰めました。後は承認をもらうだけです。「承認をもらう」、わずか6文字ですが、これを実現するには大変な労力がかかります。
しかし今までのプロセスを得て、承認をもらうための材料は揃っています。後はそれをどうまとめて、どう見せるかです。大変なステップですが、必ず通らなければいけない道です。
まず重要なのは、連載の初期の頃にも書きましたが自分の上長あるいは取締役の誰かを味方につけることです。そのためには検討および選定プロセスにおいて、定期的に上長に報告あるいは相談をしておくことが有効です。
早い段階から関わってもらうということです。担当者だけではなく、上長も巻き込み、その人からも「このツールが必要」と言ってもらえることは非常に重要です。当然ツールを使っている人達からの声も有効です。無料アクセス解析を導入して得た経験や課題を決裁承認のための資料に盛り込んでしまいましょう。
この記事のシミュレーションを見ても分かるように、決済額としてはかなり高額な物になります。最低でも年間数千万円はかかる可能性がもあり、これを通すためには、ストーリーがある説明資料が必要になります。
では、決裁承認のための資料の中身を考えてみましょう。まずは目次をご覧ください。いろいろなパターンあるかと思いますので、基本的なパターンと思われるもので目次を作ってみました。
目次
- 決裁承認してもらいたい内容の概要
- アクセス解析が必要な背景
- 無料アクセス解析サービス利用の報告
- いつからどのサイトでどれくらいの人数が利用しているか
- 導入・活用して得た物
- 導入・活用して見つかった課題
- これらの課題が与えている影響
- 課題解決手法の提示
- 有料アクセス解析サービスのお願い
- 有料サービスに求めた要件
- 比較表と該当サービスを選定した理由
- 有料サービスを使うことによって解決した要件
- 有料サービスを使っても解決しない要件
- ツール利用にかかるコスト(ベンダーコスト・社内外コスト)
- いくつかのパターン(最大・真ん中・最小コスト)を提示する
- 得られる効果(事例+定性的な物。ROIを出すのは相当難しいです)
- 社内体制および今後のスケジュール
- 導入・運用・教育を実現するための体制
- かかわるプレイヤーとそれぞれがどう連携していくか
- それによってどのような課題が解決されるか
- 基本的な社内ルールの説明
- 導入スケジュールおよびそれ以降のスケジュール
- 次回のレビューの時期と評価ポイント
- 懸念事項と参考資料
- 考えられるリスクおよび懸念事項(対処方法があればその方法も)
- PV読みの資料
- コスト詳細
- 無料アクセス解析サービスを使っての改善事例
- ツール利用者の声
- 有料アクセス解析ツールを使っている他社事例
大きくわけて5つ。ページ数にすると50ページ前後くらいの資料でしょうか(参考資料の量によっては変わってくる可能性があります)。あわせてサマリー版(5枚程度)を作っておくと、ぱっと説明する時に便利かもしれません。
こちらの目次はあくまでも一例で、伝える相手の理解度合い、既存有料ツールからのリプレイスなど、さまざまな要件によって中身を変えていきましょう。味方につける上長に随時確認してもらいながら、作成を進めていくと、1か月くらいはかかる可能性があります。
資料を作り出す前に大半の材料は揃っていることでしょう。それをどういう順番で、どういう風にメッセージングしていくか。使う言葉であったり、話し方であったり、見せ方で大きく資料とその中身の印象は変わってきます。
次ページでは、決裁資料を作るときのポイントをまとめてみました。