孤独な現代人は集団によって影響を受ける
「現代人は孤独であり、人との交流が減少した」という指摘はよく聞くところだ。しかし、今日当たり前のように存在するWebに関しては、いささか趣が変わるのではないだろうか?
極端な話をすれば、家に閉じこもり毎日ゲームをしていたとする。しかし、それがネットにつながるオンラインゲームならば、世界中の人々と同時にゲームを行うことができる。そして、テキストを通して彼らとコミュニケーションをはかり、Skypeなどを通じて実際に会話をしながらゲームをし、コミュニティをも形成できる。
こうした、物理的には家から出ていない状況でもインターネット上に設けられた空間においての意思の疎通や、時には感情のやり取りは普通に行われているのだ。すなわち、モノを買う際にも、我々は人の意思や考えに触れる機会が増大したといえるのではないだろうか。
皆さんは商品を買う時、または買おうとする際に、その商品に対してのWeb上のクチコミを参考にしたことはないだろうか? その商品やお店に関する、評判・クチコミ・人気といったものを参考にした上で、前述したバンドワゴン効果も加わり人は購買行動に移るのである。
商品レビューを運営している会社が上場していることからも分かるように、クチコミが我々の購買行動の一部を担っていると言っても過言ではないだろう。実際、某大手ECモールでは、クチコミの有無で、商品の売れ行きに倍の違いがあったり、某大手ECサイトにおいてもレビューの有無で、販売数において数倍の開きが生じるという。
個人の意思があったとしても、自分の周囲とずれがあった場合に同調してしまう傾向があるというのは、S.E.アッシュの実験などで示した通りである。例え、自分の意思があったとしても、それが知らず知らずの内に同じ意識の枠に収まってしまい、同一傾向が現れるのだ。
「孤独な我々」なのかもしれないが、同じ目線の意思や情報に接する機会は格段に増え、我々はその影響をより受けていくことになるだろう。明らかに間違っているという状況でも我々の多くは同調をしてしまう傾向にあるのだ。
