SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

Retail & Commerce Standard 2026 powered by MarkeZine & CommerceZine

マーケター必読!論文のすすめ

グローバル時代の旅行者心理を多様な角度で紐解く~ツーリズムマーケティングへの含意~【論文紹介】


 日本マーケティング学会が刊行する『マーケティングジャーナル』の内容を噛み砕いて、第一線で活躍中のマーケターに向けて紹介する本連載。今回のテーマは「訪日旅行者の心理」です。多くの海外旅行者が日本を訪れ、インバウンド市場への注目が高まる昨今。多様な角度から訪日旅行者のインサイトを理解する研究を紹介していきます。

 この記事は、日本マーケティング学会発行の『マーケティングジャーナル』Vol.46, No.3の巻頭言を、加筆・修正したものです。

世界初のテーマとなる「訪日旅行を巡る旅行者の心理」

 周知のとおり、近年、訪日旅行者が急増しています。それにともなって私たちは、かつてないほど多様な文化的背景をもつ旅行者の心理や行動に直面しています。

 けれど、国際学術誌で「訪日旅行」特集号が組まれたことはありません。そこで企画化されたのが、今回の『マーケティングジャーナル』の特集号でした。国際的アピールのために、今回は巻頭言と5篇の招待論文はすべて、全訳補録つきですが、英文で執筆・掲載されました。本記事では、その内容をご紹介していきます。

誰のオンラインレビューが、どんな訪日客のレストラン選択に影響するか?

 読者諸兄は、大勢の外国人観光客が、現地日本人が行かないようなレストランに並んでいる現象をご覧になったことがありますでしょうか。第1論文はそんな現象に関する論文です。

 執筆時には慶應義塾大学の訪問学者だった厦門大学の丘尚知准教授と2名の共著者による論文「相反するオンライン情報が訪日中国人観光客の飲食選択に与える影響(英文原文;和訳付録※PDFダウンロード)」は、あるレストランが高評価と低評価に分かれた場合、誰のレビューが参照されるのかという課題に乗り組みました。

 丘先生・他は、私も著者として参加した海外誌に掲載した論文が旅行者と居住者という2群のレビュアーを想定したのを拡張して、今回は中国人旅行者、非中国人旅行者、日本人居住者という3群のレビュアーを想定して、消費者実験を行いました。

 分析の結果、中国人コミュニティ内に自分を同化させたい意識が強い旅行者が、同胞のレビューを重視する一方、逆に中国人コミュニティ内で自分を差異化したいという動機が強い旅行者は、非中国人の旅行者コミュニティ内のレビューを優先する傾向が見出されました。日本人居住者のレビューは、3群の中で最も影響力が弱かったのです。

 丘先生・他の研究は、日本人と訪日旅行者の訪問するレストランが大きく違う理由を説明した点で、実務的にも価値ある成果を提供しています。

次のページ
訪日客向け高価格店舗はいつ「ボッタクリ」がバレるか?

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
マーケター必読!論文のすすめ連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

小野 晃典(オノ アキノリ)

慶應義塾大学商学部教授。1995年 慶應義塾大学商学部卒業、同大学院商学研究科修士課程・後期博士課程修了。博士(商学)。慶應義塾大学商学部助手、専任講師、助教授、准教授を経て2010年より現職。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2026/10/15 10:14 https://markezine.jp/article/detail/77532

Special Contents

PR

Job Board

PR

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング