ログの流動性~あっという間に過去の話に~
Twitterには「お気に入り(favorites)」という機能があったり、あるいは「RT(ReTweet)」という自分の琴線に触れたつぶやきを広めようとする文化があります。これはクチコミという現象を考えると、とても有効です。実際に「ちょっとした名言」をRTしているケースはよく見かけます。
また、Replyという簡易コメント機能(@smashmediaと指名してつぶやく)があるので、Twitter上でちょっとした会話をすることも可能なのですが、このReply機能は相手の発言がどのつぶやきへのコメントなのかがわからないため、チャットのように同時刻にアクセスしていない限りは会話が成立しにくいですし、3人以上が会話するのは難しいです。
そして、なによりTwitterの性質上、それぞれの利用者のページ(タイムライン)に表示されるのは一瞬でしかなく、どんどん新しいつぶやきによって、後ろに流されてしまいます。これはfollowする人数が増えれば増えるほど加速します。
このログの流動性の問題は、Twitterのようにリアルタイム性が強いソーシャルメディアでは不可避で、もちろん速報を届ける際には向いているのですが、持続して何かのトピックを盛り上がるということには不向きです。
こうした事実を考えると、現時点において、Twitter上で完結させるマーケティングは成立しづらいと言えます。
Second Lifeのバカ騒ぎを忘れるな
たとえば、1万人以上のfollowがいる著名人が何かをつぶやいて、そこにURLが記載されていれば、数千クリック(=トラフィック)を誘導することは可能でしょう。逆に言うと、いまできることはその程度だと思っておくべきです。
そして、誘導先のページで本来の目的を達成するのが重要で、だからこそECサイトには向いています。Dellのケースは有名ですが、アウトレットのように小ロットを売り切りたい場合は、従来行なってきたメルマガやRSSでの告知に加えて、Twitterを始めるのは(現場のスタッフにそれほど大きな負荷が増すわけでもないので)よいと思います。
それ以外のケースでは販促目的での利用は現実的ではありません。
その代わりに、顧客を中心とした消費者とのコミュニケーション窓口として、そこに企業が参加するというのはTwitterも(ほかのソーシャルメディアと同様に)検討すべきです。
つまり、ぼくらはSecond Lifeのバカ騒ぎからきちんと学んでいかないといけません。「フィールド・オブ・ドリームス」じゃあるまいし、何かを作っただけで人が集まってくるほど簡単なものではないのです。
Twitterのアカウントを作って、そこで何を発信するのか。どうすれば継続できるのか、それこそ担当者が退職した場合に備えてどうバックアップ体制を作るのかも含めて、十分かつ慎重に検討すべきだと思います。
もちろんその際に、ソーシャルメディアでのマーケティング経験のある企業にアドバイスを求めるのもよいことですが、くれぐれもダマされないように気をつけてください。