行動ターゲティングパネルディスカッションのパネラーには、ANA 営業推進本部 Web販売部 サイトマネージメントチームリーダー 高柳直明氏、日本マクドナルド 執行役員・マーケティング本部長&CMO 岩下充志氏、リクルート マーケティングプラットフォーム推進室 マーケティング推進グループ iインターネットマーケティング室 ゼネラルマネージャー 友澤大輔氏の3名が広告主側の立場を代表して登壇。米オーディエンス・サイエンス CEO ジェフ・ハッシュ氏、オムニチュア コンサルタント 大山忍氏も加わり、豪華メンバーでのパネルディスカッションとなった。モデレーターは日本インタラクティブ・マーケティング 代表取締役 真野英明氏が務めた。
行動ターゲティング広告市場の規模
最初にモデレーターの真野英明氏から行動ターゲティング広告の市場規模について明かされた。「日本国内の行動ターゲティング広告市場は120億~130億程度の規模となり、オンライン広告費の約2%を占めています。アメリカの場合は日本の約8倍の市場へと成長しており国内市場のさらなる拡大が見込まれるのではないでしょうか」と語った。
ANA「サイト内ではエリアターゲティングを活用」
広告主側の行動ターゲティングの活用状況としては、まずANAの事例が紹介された。年間で約3,500億円の航空チケットを販売するANAでは「メディア」「ターゲティング」「リスティング」という3つのキーワードを軸にWebマーケティングを実施している。
ANAの高柳氏は「『メディア』は認知を目的とした施策の総称です。『ターゲティング』は検討段階に入っている方に向けた施策で、『リスティング』は購入の意思がはっきりしている方に向けた施策という形で使いわけています。『ターゲティング』は約2年前から実施しているのですが効果が高く、現在Web広告予算の10%~20%を使っています。サイト内では地域情報を利用したターゲティングを中心に実施することで、最適化をはかっています。購入者に対して、チケット購入へいたった理由をアンケートしたことがあるのですが7割の方がサイト内の閲覧から購入したという結果がでました。こういった点からもサイト内のターゲティングは重要な施策と考えています」と語った。
リクルート「効果をコントロール」
100サイト以上を運営しているリクルートは、広告主、媒体社それぞれの立場から行動ターゲティグを活用している。
リクルートの友澤氏は「リクルートは広告主と媒体社という2つの顔を持っていまして、ユーザーを『集めて』『動かす』という2つのキーワードを軸にインターネット事業を展開しています。広告主の立場としては、リスティング、バナー広告などはもちろんのこと、リターゲティング広告なども出稿しています。媒体社の立場としては、サイト内での行動ターゲティングに積極的に取り組んでいまして、実際の効果も出ている状況です」と語った。
また、同社の行動ターゲティングに対する取り組みで特徴的なのが「効果をコントロールする」という点だ。「サイト内で行動ターゲティングを実施すると、効果が出過ぎてしまうケースがあります。そのため、独自のアルゴリズムを利用し効果をコントロールすることもあります」と友澤氏は述べた。
日本マクドナルド「カスタマイズした広告出稿ではインパクトが少ない」
一方、日本マクドナルドの場合は前述の2社とは違った視点で行動ターゲティングをとらえている。その理由として日本マクドナルドの岩下氏は「マクドナルドはマスのブランドです。年間で累計14億人、1日に500万人の方々がお店へいらっしゃるので、絞り込みすぎると逆にインパクトがなくなってしまいます。そのため、テレビCMや来店を直接促すモバイルの方が優先度が高く、行動ターゲティングのようなカスタマイズした広告施策は優先度が低いです」と語った。