海外のトレンド/個人情報取得の問題
媒体社・広告主向けに行動ターゲティングサービスを提供する、オーディエンス・サイエンスのジェフ・ハーシュ氏からは、今後のトレンドが示された。同社は、2003年から行動ターゲティングサービスを提供し、現在では多くのメディア企業や広告主が同社のサービスを利用している。ハーシュ氏は、今後日本でも行動ターゲティング分野は急拡大するだろうと予測。今後はリアルタイムでのターゲティングやビデオコンテンツのターゲティングなどに注目が集まるのではないかと語った。

また、行動ターゲティングの利用が拡大するにあたり、個人情報の取得について指摘されることも多い。その点についてハーシュ氏は「個人情報の取得は、アメリカでも問題となっています。ポイントは個人が特定できる情報は取得しないという点です。また、ユーザーに対してオプトアウトの機会を与えるということが重要です」と言及した。
ツール導入のポイント/人材の育成が課題に
ウェブマーケティング最適化を支援するサービスを提供する、オムニチュアの大山氏からは、ツール導入のポイントと、米国におけるツールの導入状況が語られた。「ツール導入のポイントは、ビジネスゴールは何か? を明確にすることです。米フォレスター・リサーチが米国でダイレクトマーケティングやデータベースマーケティングに関わっている担当者に対して行ったアンケートによると、ウェブ解析、データマイニング系のツールなどは7割以上が導入済みと答えています。今後は行動ターゲティング技術を利用したサイト内最適化ツールへの関心が高い傾向です」と米国の状況について触れた。
また、大山氏は「行動ターゲティングなどの新しい取り組みを行いたいと考えてツールの導入を検討しても、社内の承認がなかなか降りないというケースが多い。皆さんの場合はどのようにして社内を説得したのか」とパネラーへ質問。これに対しリクルートの友澤氏は「どの会社でもそうだと思いますが高額なツールを導入する際は、非常に苦労すると思います。私たちの場合はパイロットプロジェクトを立ち上げ、はじめに数字をちゃんと作りROIを設定することで、社内を説得しています」と社内事情を明かした。
さまざまな意見が交わされた中、「行動ターゲティング技術は今後も広がり、その活用は広がっていくことでしょう。ただ、新しい技術を利用するとしても『誰に何を売るのか?』というマーケティングの基本は変わらないので、ターゲティングの条件設定をきっちり行うことが重要です。また、その技術を活用するのは結局人間なので、人材育成も大切になっていくのではないでしょうか」と真野氏が最後に語り、パネルディスカッションは幕を閉じた。