SESシカゴが開幕
Search Engine Strategies Chicago(以下、SES Chicago)はSESアドバイザリーボードの Mike Grehan氏の挨拶によって開幕した。Mike氏は100人を超えるスピーカーを迎えたことを報告するとともに、過去10年で検索エンジンは大きな変化を遂げたことを指摘し、次の10年もまた大きな変化があるだろうと予想。その中でも特にリアルタイム検索について注目しているとした。
コンテンツエコノミーからリンクエコノミーへ
初日のキーノートスピーチに登壇したのは『What Google would do』の著者であり、数多くのメディア企業のコンサルティングをしているJeff Jarvis氏。メディア企業を取り巻く変化についてプレゼンテーションを行った。
Jeff氏はメディア企業のビジネスの現状について、Content Economy(コンテンツを販売することによるビジネスモデル)からLink Economy(コンテンツによってリンクを獲得し、そのトラフィックによってビジネスを行う)に変化しているとした。そのプレゼンテーションの一部始終を紹介しよう。
まず、紹介されたのはGoogleに対してRupert Murdoch 氏が行った発言の数々だ。
「彼らは我々の著作権を盗んでいる」
「Googleは寄生虫、もしくは吸血鬼だ」
などの過激な言葉が並び、まるでゴジラのようにとらえている(ちなみにMurdoch氏は先日スカイニュースのインタビューに答えて、系列のニュースサイトのコンテンツをGoogleからアクセスできなくするとも発言している)。
それに対してのGoogleの言い分は「我々はニュース検索を通じて10億クリック、ほかのサービスを通じて30億クリックをニュースサイトに対して無料で供給しており、素晴らしいプロモーションソースであると思う」というEric Schmidt氏の発言を紹介している。
Jeff氏はEric氏の発言に賛成であり、メディア企業を巡るインターネット上の経済は変化しているとし、それをLink Economyという概念で紹介した。Link Economyは次のような特徴を持つ。
- 発見されるには、検索されうる状態でなければならない
- 特化していることが求められる
- 正確さであることが求められる
- リンクを受けた側がトラフィックのマネタイズ手段を考えなければならない
1と4については重要なので少し掘り下げてみよう。
1については「検索されないのであれば存在しないのと同じだ」という過激な言葉でも表現されている。後述するように多くの情報が存在し、パッケージではなくコンテンツ単位での情報消費がされている現状では、読者が検索エンジンや他者からのリンク経由で訪れるため検索エンジン上でのプレゼンスが特に重要となっている。
また、4についてはトラフィックを獲得してからのマネタイズ手段を考えるのはメディア企業であり、Google に依存する点ではないというところを強調。その観点からもGoogleはメディア企業にとってゴジラのような存在ではなく、ビジネスを助けてくれる存在になるとしている。
この2点については他のセッションのスピーカーからも繰り返し話されていることであり、特に重要な点だと言えるだろう。