アクセス解析ツールの活用が浸透しない理由
レベルを上げる必要があるのか? という疑念が根本にある
前ページでアクセス解析の活用レベルを紹介致しましたが、本当にそのプロセスを上げるために、人・物・金を使って、その投資に見合うだけのものを得られるか? という疑念が根本にあります。事例がないと動かない部署や会社は数多くあります。
難しくて使い方がわからない
耳慣れない用語の連発、数字を見ても増えているか減っているかくらいしかわからない。レポートもいっぱい、この数字とグラフの山をどう見えていけば、サイトの課題が見つかるのか…。個人的にアクセス解析はそれほど難易度が高いものではないと思いますが、敷居が高そう(あるいは高い)のは事実です。
上司がその必要性を理解していない
これは、アクセス解析を少し理解しはじめた時に感じる不満です。
せっかく、アクセス解析ツールを使っていろいろな課題を発見しても、上司がちんぷんかんぷんであれば、社内に浸透していきません。このような場合、「上司の過去の経験」あるいはデータを考慮しない「勘」でリニューアルなどが行われてしまいます。
どう上司(というか、決裁権あるいは任命権を持っている人)にアクセス解析ツールから得られた情報を理解してもらうのか? ここで挫折する人も結構多いです。「上司がわかってくれないから」と他責にするのは簡単ですが、それではLv4あたりから先には進めません。
信頼できる情報ではない
PCのタグ形式ですと計測タグが読み込まれないと数値が計測されません。また、離脱ページの滞在時間が取れなかったり、ツール特有のよくわからないルールや制限もあります。各アクセス解析ツールは、正確なデータを取ることに関しては、その計測手法からして苦手です。
95%あるいは90%の精度しかないデータを元に判断をする事に嫌悪感を覚える人も多いです。代理店からもらう数字、アクセス解析ツールで取れる数字、Apacheログで取れる数字、すべてずれますので、場合によっては倍あるいは半分になる場合もあります。そのデータ信用できるのか? という点で、あまりアクセス解析が使われなくなってしまう事は多くあります。
忙しくて時間が取れない
これは、悲しい理由です。アクセス解析の必要性を少なくとも自分は理解し、それを広めようという意欲があるのですが、現実が許さないという場合もあります。大きく分けてこれには2つの要因があります。
1つ目はアクセス解析以外の業務も担当しているため、確実に儲かる(あるいは儲かるネタが)見つかるか分からないアクセス解析に工数をかけるのはリスクが高い。2つ目の理由は1つ目と関連していますが、アクセス解析ツールを活用しても評価されないという事実です。せっかくアクセス解析ツールを活用してサイトを改善しても、大型受注を獲得した人や派手なキャンペーンを行った人が評価されてしまう場合もあります。
そうするとだんだんやる気が失われていき、他の業務の忙しさを減らしてでも、アクセス解析に打ち込もというモチベーションが上がらなくなってしまいます。
適切な人材がいない
そもそも、アクセス解析ができる人材がいない場合もあります。
どういう人が向いているのかも分からないし、お金がないので新たに人も雇えない。こういった問題は必ずあります。個人的には、アクセス解析へのニーズは増えてきてはいるものの、それを使いこなす人がまだまだ足りないのでは? と感じています。こういった社内外での人材不足も浸透を妨げる一因ではないでしょうか。
このように、アクセス解析を浸透させるための課題は数多くあります。また、文章に書かなくても、読んでいる方の大半は実感として、その難しさをご理解いただいたり、アクセス解析に投資することへの疑念をお持ちだったりするかと思います。
では、このような状態をどのように解決していくか? それを次回の記事でお届けしたいと思います。いくら良いツールを選定し、仕様を理解し、立派なサポートと教育体制を用意しても、アクセス解析がユーザーに利用されなければ意味がありません。
アクセス解析データを元にサイトの改修およびビジネス判断が行えるようになるために、会社のアクセス解析担当者あるいは利用者は何をしなければ行けないのか? それを次回は考えていきます。また、次回記事は新年明けてからの公開となります。本年はお付き合いいただきましてありがとうございました。来年度もどうぞよろしくお願いいたします!
