技術要因、視覚要因の次は心理要因をクリア
本稿ではこれまで、検索結果画面上でのユーザーの行動を「技術要因」「視覚要因」「心理要因」の3段階に分けた上で、「技術要因」「視覚要因」をクリアするための施策について具体的に述べてきた。ここまでを踏まえてタイトル・説明文を作成していただければ、検索結果画面上でユーザーの目に留まる段階(視覚要因)までは仕上がるはずである。
この視覚要因をクリアしたうえで3段階目に考慮しなければならないのは、いかにユーザーの興味を喚起するか(心理要因)である。せっかくタイトル・説明文をユーザーに見てもらえても、「つまらなそうだ」「他のWebページと似たようなコンテンツしかなさそうだ」と思われてしまっては流入につながらず、すぐに他のWebサイトのタイトル・説明文へ視線が移ってしまう。そこで、タイトル・説明文には、一度目を留めてもらったユーザーの興味を喚起して逃さない仕掛け、訴求力のあるコピーライティングの方法論が必要になる。
これまでにも長い間、多くのメディアで消費者・ユーザーの興味を喚起するメッセージの作成方法が研究・提唱されてきた。まずはその代表的なものを3つピックアップして簡単にまとめる。その上で、本稿独自の論考「コンテキスト(文脈)を利用して“後出し”で訴求する方法」について、オフラインで使用されているメッセージも例に挙げながら述べていきたい。
【注】
技術要因をクリアする施策は集客方法で競合に差をつける! SEOのタイトル・説明文で考慮すべき3つのポイントで解説しています。
視覚要因をクリアする施策はユーザーの視線を奪う!? SEOのタイトル・説明文で考慮すべき3つのポイントで解説しています。
タイトル・説明文作成の際に参考にしたい3つのバイブル
1.Yahoo! JAPAN直伝!“7タイプの書き方”
Yahoo!JAPAN(旧Overture)が『Yahoo! JAPAN リスティング広告 公式ラーニングポータル』において、クリックされるタイトル・説明文を7タイプに分けて紹介している。リスティング広告について学習するためのコンテンツの1つだが、SEOのタイトル・説明文にも十分応用可能である。その7タイプとは、下記のとおりである。
- 限定型…「時間・対象・数量限定」をアピールする
- 希少型…「なかなか手に入らない」ことをアピールする
- 逃避型…「苦痛から逃れる」が可能ということをアピールする
- トレンド型…「みんなしてますよ」ということをアピールする
- 価格型…「安さ・割安感」をアピールする
- 贅沢型…「品質・上位価格」をアピールする
- 威光型…「ブランド、ネームバリュー」をアピールする
【注】
詳細は『Yahoo! JAPANリスティング広告 公式 ラーニングポータル』の動画セミナー「クリックされるタイトル・説明文の作り方」を参照。また、MarkeZineの記事「検索連動型広告のコピー術 おぼえておきたい7種の書き方でも詳しく解説されている。
2.ジョン・ケープルズの“成功する見出しの4つの秘訣”
アメリカの広告業界で58年間活躍し、伝説的コピーライターのジョン・ケープルズがまとめた“成功する見出しの4つの秘訣”がある。彼のノウハウがまとめられた『ザ・コピーライティング』の初版は1932年とやや古いが、「広告の父」と呼ばれるデビッド・オグルヴィも繰り返し学んだ方法論である。
- 「得になる」ということをアピールする
- 「新情報」だということをアピールする
- 「好奇心」をくすぐる
- 「手っ取り早く簡単な方法」だということをアピールする
【注】
詳細は、ジョン・ケープルズ『ザ・コピーライティング』(神田昌典監修、齋藤慎子・依田卓巳訳 ダイヤモンド社 2008年)を参照。
3.ジェラルド・ザルトマンの“7つのメタファー”
最近の方法論では、心理学や脳科学を援用したニューロマーケティングの研究を行っているジェラルド・ザルトマンの理論が注目されている。ザルトマンは世界の30か国以上で消費者の深層心理を調査した結果、広告表現において次の7つのメタファー(比喩)を用いることが有効だと主張している。
- 「バランス(BALANCE)」のメタファー
- 「変化(TRANSFORMATION)」のメタファー
- 「旅行(JOURNEY)」のメタファー
- 「容器(CONTAINER)」のメタファー
- 「つながり(CONNECTION)」のメタファー
- 「資源(RESOURCE)」のメタファー
- 「支配(CONTROL)」のメタファー
【注】
詳細は Gerald Zaltman, Lindsay H. Zaltman(2008)Marketing Metaphoria : What Deep Metaphors Reveal About the Minds of Consumers, Harvard Business School Press. 参照。概要は特設サイトで確認できる。