筆者は1月8日に下記の内容で12社に対して、メールで以下の質問をしています(詳しい内容は筆者が主催するWOM勉強会で公開しています)。
2.貴社の「アルファブロガー」「インフルエンサー」の定義について教えてください
3.記事内の広告表示の有無と(表示する、あるいは非表示にしている)理由を教えてください
4.貴サービスを利用した過去の成功例について教えてください
5.貴サービスの売りや特長などがあれば教えてください
結果としては、約2週間の回答期間を経て、回答率は67%、3分の2の企業(8社)から回答を得ました。質問作成時に、筆者が特に関心があったのは、
2.貴社の「アルファブロガー」「インフルエンサー」の定義について教えてください
3.記事内の広告表示の有無と(表示する、あるいは非表示にしている)理由を教えてください
の2点です。なぜならこの質問は各サービスを特徴付ける大きな要因になるからです。筆者は「アルファブロガー」の影響力は、世間で騒がれているほど強くないと思っていますが、それについては後日まとめることにしましょう。ただ1,000万人規模のブロガーがすべて等しい影響力というわけでもありませんから、なんらかのグルーピング、そしてそのグループへの名称としての「アルファブロガー」は理解できます。
回答に関しては、各社の回答をまとめた資料(PDF)がありますので、実際に読んでいただくことをおすすめしますが、各サービス事業者はアルファブロガー、インフルエンサーの「情報を積極的に得ようとしている」「自ら情報発信を日常的に行っている」といった態度に関する点、さらにページビュー(PV)やユニークユーザー数(UU)などメトリクス(測定)に関する点の両方で表現されることが多いようです。
PVでのレーティングは非常にわかりやすい反面、ロボットが排除できているのか、RSSリーダーでの購読はカウントされているのかなど、数字の根拠には不透明な点も多いのが事実です。数値から格付けをするには上記以外に、はてなブックマークなどの被ブックマーク数や、RSSリーダーの購読数などを指標とする方法がありますが、これらも「読まれている」ことを示しているだけで、「影響力がある」という根拠にはなりません。
ブログの記事を、AISASにおけるAttention、つまり「認知」のためにと、考えているのなら簡単です。とにかくPVの多いブログで告知すればいいのです。これはYahoo!にバナー広告を出すのとなんら変わりません。露出の多い場所に広告を出す、10年前から続くネット広告の方法論です。しかしこれらのブログPR広告サービスを手がける各社がクチコミの影響力をアピールし、購買訴求(AISASにおけるAction)に効果を発揮すると言っているのが問題なのです。
スパム化したサービス
さらに最近ではSEO効果(AISASにおけるSearch)があると謳っているサービスも出てきています。これはまったく論外で、記事にURLを入れることを強要し、またリンクテキストまでを指定することはサービスではなく、スパムではないのでしょうか。残念ながら、これらのブログPR広告サービスで指示されたリンクと普通のリンクを機械的に見分けることは非常に困難です。それこそすべてのサービスに登録して、依頼企業をリストアップするくらいのことをしないと対策は難しいでしょう(そしてそれはあまりにも非現実的なので検索エンジン各社はやらないでしょう)。
是非はともかくとして、現状のブログPR広告がSEOという点において実際に効果があることは間違いありません。ただ繰り返しますが、これが企業とブロガーの良好な関係作りに意味のないことは言うまでもありません。むしろマイナスでしかないのです。そしてもうひとつの大きなポイントが「広告表示の有無」です。今回アンケートに回答いただいたサービス各社でも広告表示を必須にしているところは少なかったです。ほとんどの企業は「ブロガーの判断に任せている」と回答しています。つまり義務付けていないわけです。筆者はこれをとても大きな問題だと思っています。

広告表示をしないということは責任回避と言い換えられます。つまりブロガーが書いている内容に(依頼企業もブログPR広告サービス事業者も)誰も責任を取らないということです。もちろんブロガーには自由に記事を書いてもらうことは大前提です。それをコントロールすることは絶対にしてはならないことです。しかし法に準拠することや他社批判を禁じることは「広告主」としても「広告代理店」としても統制しなければならないルールのはずです。なぜならばこれは「広告」だからです。