分析手法/測定指標を設定する
分析軸を設定したら、次は分析手法の設定を行う。分析手法には、大きく分けて「定性分析」と「定量分析」があるが、まずは定量的に捉えることで全体的な傾向を押さえることが肝要である。
定量分析の測定指標の代表的な例として、次の5つを紹介したい(図表3~7)。
Listeningにおける定量調査の主な分析手法および測定指標
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ボリューム分析
ブランドに対する口コミのボリュームを時系列で分析 -
ディスカッショントピック分析
ブランドにおけるトピックをカテゴリー別に分類し、よく語られているトピックを分析 -
センチメント(好意度)分析
ブランド名が記載された口コミのセンチメント(好意度)を、ポジティブ/ネガティブ/ニュートラルの3分類で分析 -
キードライバー分析
センチメント分析で分類した3つのセンチメントにおいて、それぞれどの要因が強い影響力を持っているのかを分析 -
サイトタイプ分析
口コミがソーシャルメディア上のどのカテゴリー(ブログ、SNS、掲示板、動画共有サイト、マイクロブログなど)で行われているかを分析
ここでの定量分析は統計的に代表性のある「サンプリング構造の定量分析」ではなく、CGM上で会話されているデータに対する量的な分析アプローチとなる。
Listeningにおける定性分析 ~ n=1の重要性
定量分析により、口コミの全体的な傾向を押さえたうえで、さらにマーケティングの改善につなげていくためには、次のアクションを起こすヒントとなりうるインサイトを深く掘り下げて分析する必要がある。そこで重要となってくるのが、口コミの定性分析となる。
口コミの定性分析は、基本的にはデータアナリストが口コミを1件ずつ読み込み、その背後にあるインサイトを紐解いていくという、かなり地道な作業となる。個々の口コミは、それが「よく語られている口コミ」なのか「1人またはごく少数の口コミ」なのかに大別されるが、この場合、注意しないといけないのは、後者の方である。
定量調査では、統計的には1人の意見は少数派として重要視されないが、定性調査では、その1人の意見が大きな事業アイデアやマーケティング改善につながることも多い。特に、その意見が企業にとって批判的なものであればあるほどである。
このように、サンプルとなる対象(n)が1人の場合であっても、決してないがしろにはできない。n=1の重要性を認識して分析を行うことが、定性調査には求められる。





