“量より質”人材紹介サービスが抱えるマーケティングの課題
「コンバージョン数が多い=善」という常識が当てはまらない業界がある。例えば人材紹介業がその1つだ。
人材紹介業はWebでのコンバージョンだけではお金にならない。そこからキャリアコンサルタントとの面談をセッティングし、適切な求人を紹介、求人企業での書類・面接選考が通って入社に至り、そこで初めて売上になる。
自社で求人を持たない業種・職種では、いくら登録者が増えてもお断りしなくてはならない。ただ登録者数を増やしても売上につながらないばかりか、逆に不評の種となりかねないのだ。
「『この広告は安いです』という提案は要りません。単純なCPAではなく、コンバージョンの質が問題なのです」。「typeの人材紹介」でマーケティングを統括する福永和洋氏(写真左)は、プロモーションを進める上で、広告代理店とゴール地点を共有するところで課題を抱えていたと苦労を明かした。
typeの人材紹介では、ビービットが開発した広告効果測定ツール「WebAntenna(ウェブアンテナ)」を導入したことで、広告代理店との目的意識の共有が容易になったという。
広告代理店がリアルタイムに登録者の質までチェックできるようになったことで、PDCAサイクルを速やかに回せるようになり、広告効果の改善につながった。最終的には、ターゲットとする登録者がキャリアコンサルタントとの面談に訪れるまでの獲得単価を3分の1もカット。ほかにも福永氏自身の業務量も削減でき、マーケティングチーム全体での業務効率化にも役立ったのだとか。
typeの人材紹介がWebAntennaを活用して、どのように売上につながるコンバージョンを費用対効果よく得られるようになっていったのか、その導入事例を見ていこう。
広告運用のゴールを共有/作業時間の大幅短縮にも成功
福永氏は広告代理店から事業会社側のマーケティング担当者へと転身。獲得単価(CPA:Cost Per Action)ではなく売上高広告比率の最適化を目指そうと、自社のビジネスモデルを広告代理店担当者に伝えようと試みた。だが自身の経験も鑑みて、どんなコンバージョンを求めているのか、本質的に理解してもらうことの難しさを感じていたという。
「コンバージョンにはすごく敏感になってもらえるんですが、ビジネスの本質をいくら説明してもなかなか理解してもらえませんでした」(福永氏)
そんな課題を抱えていた福永氏にとって、WebAntennaを導入して最も助かったのは、コンバージョンした登録者の属性データを広告代理店と共有できる機能だ。コンバージョン時に住所・職種などの属性データを紐付けて管理することで、属性データを使って「価値のあるコンバージョン」を定義。管理画面上で獲得状況を広告代理店と共有できるようになった。
「WebAntennaでは属性データ取得のために、コンバージョンタグのパラメーターを20個までセットできます。『コンバージョンの中でもこの条件を満たすコンバージョンしか評価しない』と理解してもらえる文脈で伝えることで、広告代理店には『このコンバージョンなら評価されるんだ』と納得してもらえました。本質的な目標を共有できるようになったので、広告代理店の方からもこちらが求めているのと同じレベルで提案・改善が出てくるようになりましたね」
コンバージョンと登録者の属性を結びつけての広告効果評価は以前から行っていたが、1週間に1回の頻度。WebAntenna導入により、それをリアルタイムに広告代理店と共有できるようになったことが大きく、特に指示しなくても広告代理店側で自主的にPDCAサイクルを回してくれるようになった。
また、その1週間に1度のレポート作成には、ほかのトピックに関する報告も含め、福永氏が毎週月曜日を丸1日充てて作業していたが、導入後は広告代理店に一部の作業をアウトソーシングできるようにもなった。「毎週月曜日に先週行った一連の業務を振り返り、社内システムと連携させて数字をまとめていました。この業務は、社内システムとの連携が必要となるためWebAntenna導入以前は、広告代理店が踏み込めない領域の業務でした。しかし、導入後は、WebAntennaという共通のプラットフォームで作業できるようになるため、私が直接手を動かす作業を大幅に減らすことができました」。この結果、福永氏の作業時間は従来に比べ、3分の1程度で済むようになったという。
【参考情報】
人材紹介サイトの大手「typeの人材紹介」も採用した広告効果測定システム『WebAntenna』の詳細は、ビービット社サイトに掲載されています。興味のある方はぜひご覧ください。