広告配信の仕組みそのものを意味する言葉として使われたりするケースもあるので、「リダイレクト」という言葉を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。リダイレクト(redirect)は英語で「転送」という意味です。電話の仕組みにも「転送」という仕組みがあって、これはある電話番号に電話をかけると自動的に、つまりあらためて番号を入力しなくても、他の番号につながる仕組みです。
「一般回線の電話にかけると、携帯電話に転送される」といった使われ方をよくされています。他にも引越しをすると、古い住所に届いた郵便物を1年間、新しい住所に届けてくれるという仕組みも「転送」です。Webページにおけるリダイレクトも考え方はほぼ同じで、あるURLにアクセスすると、自動的にほかのURLにアクセスし直される仕組みのことを言います。

もしかしたら皆さんも「あるURLにアクセスすると、特にどこのリンクもクリックしていないのに、ブラウザのアドレス欄のURLが変化していた」という経験があるかもしれません。例えば、日本からGoogleの「http://www,google.com」にアクセスすると、自動的に日本のドメインである「http://www,google.co.jp」にアドレス欄が切り替わり、日本のGoogleサイトが表示されます(もし転送されない場合はクッキーを削除して試してみてください)。

これは、リダイレクトによって別のURLに転送されていることを示すものです。Googleの場合は、「.com」にアクセスされた際に、そのブラウザの送ってくる言語情報やアクセス元などをもとに、どこのサイトにアクセスすべきかを判断して、リダイレクトによって切り替えているのです。リダイレクトの仕組みは、WebページへのアクセスのルールであるHTTPで定められたもので、ほぼ全てのブラウザ、例えばセキュリティツールでリファラー情報を送らなくしている場合や、携帯電話でもきちんと利用できます。
「リダイレクトの技術的な仕組み」を解剖
もともとこの仕組みは、サイトのURLが変化したときに、古いURLから新しいURLへと切り替えたり、アクセスの際にパソコン経由か、もしくは携帯経由かを調べて、携帯からだったら専用のページに転送を行うといった使い方をするためのものですが、このリダイレクトの仕組みを使うことで、リンクのクリック数を効率的に数えることができるのです。
それを理解するために、リダイレクトの技術的な仕組みを簡単に見ておきましょう。リダイレクトは非常にシンプルで、最初にアクセスしたページが、通常ならHTMLや画像などを返すところを代わりに「このURLの情報を得るにはこちらのURLにアクセスしてください」という別のURL(つまりリダイレクト先)の情報を返すという仕組みになっています。リダイレクト先の情報を受け取ったブラウザは「ああ、じゃあそっちにアクセスしよう」と、そのまま新しいURLにアクセスし直してくれるというわけです。先に例をあげたGoogleの場合のように、ブラウザのアドレス欄がサッと切り替わったのは、ブラウザが新しいURLを受け取ったことを示しています。

ここでポイントとなるのは、リダイレクト前のURL、つまり新しいURLをブラウザに教える役割を持つページです。このページは、何のコンテンツも返さない、単なる中継役ではありますが、ブラウザは一度はそのURLにアクセスしてきているので、アクセスログを記録しておくことができるのです。さらに、その際にアクセス元や渡されたパラメータによって、クリック数をデータベースに保存する処理を走らせることも可能なので、広告掲載ページからのリンクにリダイレクトを1回はさむことで、リファラー情報が送られておらず、JavaScriptが動作しなくても、クリック数をカウントすることができるのです。

これなら、例えば広告を掲載する側のサイトがリダイレクトページをはさんで、そこから実際に広告主が指定したURLにリダイレクトを行うようにすれば、広告を掲載している側のサイトでクリック数を測定できますし、広告代理店が、実際の広告主のサイトのURLの代わりに、用意したりダイレクト用のURLを広告からのリンクとして指定することで、広告代理店がクリック数をカウントすることも可能です。
