今までの企業と顧客のコミュニケーション
これまで、企業が顧客とコミュニケーションをとるには、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌といったマスメディアでの広告や、ダイレクトメール・チラシ・屋外広告・交通広告などの各種セールスプロモーション活動などで告知をし、店舗や営業マンの営業活動で顧客と接触する、ということが数多く行われてきました。
情報の流れは企業から顧客へという方向が多く、持っている情報の量も企業が顧客に対して圧倒的に勝っていました。そのために顧客は、目の前の営業マンや各種媒体から取得した情報以外は、限られた友人知人を相談相手としながら商品やサービス購入の是非を判断しなければならない、という状態でした。いわば顧客は、情報弱者だったのです。
個人が情報発信・情報取得できる時代に
ところが、インターネットが幅広く活用されることによって、顧客が情報弱者であった以前とは大きく変わり、情報強者にもなりうる状況が整いつつあります。影響力が大きいものとしてはブログ、「mixi」に代表されるSNS、「Yahoo!知恵袋」「教えて!goo」「はてな」「OKWave」に代表されるQ&Aサイト、「価格.com」「アットコスメ」に代表される専門サイト、掲示板など、個人がネット上で情報発信や情報交換できるツールが非常に豊富になったのです。これにより、情報を受け取る一方だった顧客が、情報を発信する側になることも可能になりました。
たとえば個人ブログには、日常の出来事などを書いた、いわゆる日記体裁のものが多くあります。これにより「どこへ行った」「何を食べた」「何を買った」といった日常の体験が、これまで以上に数多くネット上に公開されるようになりました。個人ブログは日記だけにとどまらず、自分が得意とする分野の内容について詳しく記事を書いているブログ開設者も数多くいます。
これらの情報がネット上に公開されることで、ブログ読者はもちろんのこと、検索エンジン経由で訪問した人まで含めて情報が伝播するようになりました。個人発の情報が、情報を求めている人のところへ隅々まで行き渡るようになったのです。これまでは友人知人しか相談相手のいなかった顧客が、あらゆる分野に詳しい知人を味方につけたと言っても良いでしょう。