【検証その2】スクロール計測導入結果の分析
そして2日後、結果を分析してみた。特集ページは、複数を閲覧してから購買に至ることがある。まずは、最後に閲覧していた特集ページから同一セッション内に購買したか、という意味でのCVRを成功指標としてすべての特集ページを比較することにした。ざっと全体像を把握するためにマトリックスにしてみた。
右上に位置する優秀な特集ページのCVRが最も高いわけではないが、こういう明白に優秀なページへは色々な手段で意図的に集客しているはずなので、ニーズとのマッチ率が下がるのは仕方ない。また、これまでの長い運用改善の積み重ねの結果、このポジションを維持できるようになったため、少し工夫したところで、新たな発見があったり、劇的に改善されることはないだろう。そこで、まだ売上貢献度は低いがCVRの高い、「キャラクター特集ページ」「価格別ページ」「文例別ページ」という3つのページに注目することにした。
まず気がついたのは、CTRとCVRが比例していないという点だ。「価格別ページ」でのCTRは31%、CVRは4.4%。一方、「キャラクター特集ページ」のCTRはそれよりも低い27%だが、CVRは5.0%だった。どちらも高いCVRで購入に至っているが、CTRとCVRがそれぞれのページで逆転していた。この点に関しては、「同じクリックでも、購買意欲や商品選択の確度が異なるに違いない」と解釈した。では、何が違うのか? 改善の余地はどこにあるのか? 画面も眺めつつ、シチュエーションを想像してみたが、データが足りない。
ここで、今回のスクロール率が登場する。画面のキャプチャの隣に、スクロールによって表示された割合を横方向のグラフとして表示するExcelドキュメントを作ってみた。
最初はこのカーブの形や減衰速度に注目してみたものの、それだと解釈に主観が入ってしまうため、標準化や運用が難しい。今回のねらいは、この事業の売上を伸ばすことではなく、あくまで全社的な展開を見据えた標準化の模索にある。そこで、“ページの1番下に掲載された商品が表示された割合”を指標にしてみた。
プロモートしたい商品がどれ位多く露出できたか、という意味で、最初はこの数字が大きいほど良いと考えていた。ところが、すべてのページでスクロール率とCVRを比較してみると、必ず連動しているわけではない。二番目にCVRが高いページは、スクロール率が7%と最も低い。そこで、画面を見ながらユーザー行動を推測してみたところ、このページは価格帯別に商品が並べられたページのため、予算を超える価格帯まではスクロールしないでクリックして購買しているらしい、と分かった。
「価格別ページ」ではユーザーは自身予算内の範囲までしかスクロールしていない
同じスクロールでも、良いスクロールと悪いスクロールがあるということか。
そこで、商品リンクをクリックしてショッピングカートに入れた率を、ページ最下部の商品表示率(スクロール率)で割った指標を算出してみた(表内の「CTスクロール率」)。“ページ全体をくまなくスクロールすることなく、いかにスムーズに欲しい商品を見つけられたか”を簡易的に表す指標という位置付けだ。これでみると、この「価格別ページ」が実は最も優秀ということになる。


