企業が生かしきれない中吊り広告
筆者が主催するWOM勉強会で株式会社リンクシンクの鵜川くんが行ったプレゼンなのですが、非常に興味深いレポートでしたので紹介します。(プレゼンはこちらから参照できます)
詳細はプレゼン資料を見ていただくとして、彼のレポートを簡単にまとめると、電車の中吊り広告にある「○○を検索」をケータイで検索してみたらぜんぜん辿り着けなかったというものです。実際に彼の調査では消費者金融の企業以外で見つかったのは公式サイトのある企業だけでした。もちろんPC用のサイトはほとんどすべての企業が用意していて、SEMでのフォローもほぼ完璧にされていました。にも関わらず、ケータイサイトはまるで整備されていない。これはどういうことを意味しているのでしょう。
答えは、残念ながら、「広告を出稿する際にケータイサイトにまで気が回らなかった」ということだと思います。しかしこの広告を誰がどういうシチュエーションで見るか、そしてその人にどういう行動を取ってほしいかを考えれば非常にもったいない話です。たしかに電車の中で座ってPCを開いている人も中にはいるでしょうが、そんな人が必ず中吊り広告や窓上広告を見ているわけもなく、この広告の対象ではないでしょう。
この広告を見るのは電車内で立っている乗客のはずです。そうであれば期待するのは、その場でケータイで検索してもらうか(地下鉄だと難しいですが)、キーワードを憶えてもらった後で(ケータイかPCで)検索してもらうかのどちらかです。担当者はその場で検索することを考えていないのでしょうか。都内の会社に地下鉄で通勤していると「その場で検索」なんて考えなくなってしまうのかもしれませんが、山手線にも出稿されているので、できればケータイの導線までフォローしてほしいですね。
もしかするとケータイサイトの管理と広告出稿が別の部署であることが、この設計のまずさの原因かもしれません。いずれにせよ、ホリスティック・マーケティングを実施する上で部門間の連携は必須です。ケータイ向けのマーケティングだと、QRコードや自動返信メールが一般的ですが、キャリアの公式に一般サイトの検索が加わった以上、きちんと検索からの顧客導線を設計しましょう。
今回はラジオCM、テレビCM、さらには電車の中吊り広告の事例を紹介しました。4マス媒体の広告や、交通広告にはまだまだ効果があります。もちろんインターネット広告にも効果がありますし、インターネットの場合、購入までできるのはとても大きな強みです。どれかひとつで完結させることを考えるのではなく、最適な組み合わせを考えるようにしてください。
それではまた次回お会いしましょう。次回のテーマは現在考案中ですが、どうぞご期待ください。

