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MarkeZine Day 2010レポート

大ヒットへの最短ルートは顧客の声の“見える化”
競争優位性を生み出す、クチコミ活用の舞台裏


顧客の声を差別化戦略に活かす

 「先にご紹介した事業会社だけでなく、広告代理店・SP企画会社・調査会社・テレマ会社などのサービス提供会社でも、顧客の声を競合との差別化に十分活用できます」と、鈴村氏は語る。

 具体的には、「Web上でこんなことが言われているので、こういうプロモーションをやってみませんか?」といった根拠のある提案をする、あるいはプロモーション実施後の効果測定としてクライアントへ提出することも可能だ。このような付加価値サービスの源泉として顧客の声を利用することによって、他社との差別化を図ることができる。

 昨今の不景気で、まず削られるのがリサーチ費用という企業も多い。この状況を打破するのも、顧客の声の活用である。リサーチ費用の削減によって、情報収集のスピードが落ちることは、商品・サービスの質において、競合と差が生じる事態に繋がりかねない。

「見える化エンジン」でクチコミから消費者の本音を探れ

 プラスアルファ・コンサルティング社の「見える化エンジン」は、2年間で300社を超える企業導入しているテキストマイニングツールだ。アンケートやコールセンターで集まる顧客の声の分析のほか、ブログやレビューサイトなどWeb上の約9割のクチコミデータを自由に収集し分析することもできるクチコミ分析ツールにもなる。Twitterの「つぶやき」も同様に収集、分析が容易だ。

 ワードクラウド機能では、数が多いものは大きく、少ないものは小さく表示されるので、ひと目で俯瞰できるのが特徴だ。また、単なるキーワード抽出だけでなく、主語・述語の関連からネガティブなワードは「赤」・ポジティブなワードは「青」と、分かりやすく色で表示されるので、ワードごとの繋がりも直感的に見ることができる。

 さらに、鈴村氏は「見える化エンジン」を使ったクチコミ分析の例として、『日清カップヌードルごはん』のデータを紹介した。

調査概要
  • キーワード:日清カップヌードルごはん
  • サンプル数:2,400件
  • 収集方法:見える化エンジンのブログ収集機能

 7月26日の発売発表から1か月間「見える化エンジン」を使ってクチコミを収集して話題の変化を追った。

発売前(~8/15)

 近畿地区限定発売ということから、「近畿地区」というワードが最も多く、「チャーハンの味がするらしいなどといった、期待感が表れた書き込みが目立つ。

発売直後(8/26~8/19)

 限定発売開始後は、「美味しい」というワードが最も多く、「送る」というワードから関西の友達から送ってもらったという書き込みも見受けられた。だが、近畿地区限定発売ということで、クチコミの広がりはまだ感じられない。

売り切れ直後(8/20~8/26)

 8月20日の時点で、カップヌードルごはんが予想以上の売れ行きで発売中止になったと報道。ここから「気になる」「食べたい」といったワードが目立つようになり、爆発的なクチコミが広がる。

再販直後(8/27~)

 8月26日の販売再開という報道を受け、クチコミが加速するかと思いきや、またしても近畿地区限定販売、関東進出時期未定のせいか、あまりクチコミは増えない。「関東圏」「辛抱」というワードが目立つ。

 見える化エンジンでは、11月からテレビメディアのデータ(番組/CM)も取れるようになる。「マスメディアのテレビデータとクチコミを重ねてみることで、より多面的な分析が可能となり、マーケットプラットフォームとしてご利用いただけます」と、見える化エンジンの進化に自信を見せる。

 「顧客の声がクチコミから簡単に集められるということは、競合の情報も簡単に取ることができることを意味する。自社がクチコミ分析をやるかどうかは別としても、他社はやっていると思っておいた方がよい」と、鈴村氏は警鐘を鳴らす。

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

1983年生まれ。成蹊大学経済学部卒業。大学卒業後、大手IT企業にてレンタルサーバーサービスのマーケティングを担当。その後、モバイル系ベンチャーにてマーケティング・プロダクトマネージャーを務める傍ら、ライター業を開始。旅行関連企業のソーシャルメディアマーケターを経て、2011年1月Writing&Marketing Com...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2012/11/06 17:04 https://markezine.jp/article/detail/12212

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