数々の著書を執筆し、野村総合研究所にてテキストマイニングツール「TRUE TELLER」事業に従事してきた鈴村賢治氏。「MarkeZine Day 2010」にて語られた、テキストマイニングの手法を活かした「最先端のクチコミ活用事例」と「新型検索エンジン」について、事例を交えながら詳しく紹介していく。(バックナンバーはこちら)
テキストマイニングは「なぜ?」を知るために行なう
マーケティングデータ(数字)の背景にある「なぜ?」を知るためには、テキストマイングが有効である、と鈴村氏は語る。
取締役 見える化イノベーション推進部長 鈴村賢治氏
プラスアルファ・コンサルティング社は、テキストマイニングのプロフェッショナルである鈴村氏を含めたメンバーが立ち上げた「見える化」を基軸にしたマーケティング系SaaS専門会社だ。テキストマイニングの手法を使って、Web上に溢れかえる顧客の声を「見える化=数値化」すると、データの背景にある「なぜ?」を瞬時に引き出せるようになる。これを商品・サービスを新規企画や改良に、いかにスピーディに反映させられるかが重要となっていく。
消費可能情報量と選択可能情報量
顧客の声を分析してみよう、と試みたことのあるマーケティング担当者は多いだろう。しかし、すべての声に目を通すだけでも大変な労力であり、集まった情報を「有益なソース」として、使える情報にするためには、かなりの根気と手間がかかる。
「ブログ・Twitter・アンケート(ネットリサーチ)などの普及によって、顧客の声を集めることが昔よりも簡単になった分、それを処理するスピードが競合他社との差を生み出します」と鈴村氏は語る。
ここ10年間で、選択可能情報量(マーケティングの現場で使える情報量)が410倍に急増している一方、消費可能情報量(マーケティング担当者が処理できる情報量のこと)はさほど増加していない。これは、せっかく顧客の声を集められても、情報量が多過ぎて、商品・サービスに活かすことができていないということを意味している。年々広がっていく選択可能情報量と消費可能情報量のギャップが、現在、大きな問題となっているのだ。
顧客の声をカタチにした商品開発事例
次に、鈴村氏は、顧客の声を活かした商品開発の成功事例として、ミツカン『におわなっとう』と無印良品『くらしの良品研究所』を紹介した。
ミツカン『金のつぶ あらっ便利! におわなっとう』
納豆は、価格や量でしか差別化ができないコモディティ商品の代表だ。しかし、ミツカンは、お客様の声を商品開発にうまく活用することで、消費者に新しい価値を気づかせ、商品への関心、購買意欲を高めている。
例えば、お客様相談センターや独自の調査では、納豆に関する不満の声として「たれ小袋が開けずらい」、「フィルムで手が汚れる」などの納豆に対する不満があることが分かった。
この声を活かすために、研究開発部門までさかのぼり、たれをゼリー状にしたり、使いやすい容器を開発することによって、イライラの解消につながった結果、発売から6か月で1億7000食を販売する大ヒット商品となった。
無印良品『くらしの良品研究所』
『くらしの良品研究所』は、生活者とともに生活に便利な商品を生み出し育てようといういわゆるクラウドソーシングの成功サイトだ。
消費者からさまざまな「くらし」に関するカテゴリーについて、意見や要望を集め、新規商品化・既存商品の改良を行い、ユーザー投票の結果、正式に販売される。「からだにフィットするソファ」や、「立つマイナスイオンヘッドドライヤー」など、消費者起点で生み出されたヒット商品だ。
「どちらも結果だけ見れば当たり前のように見えることですが、顧客の声に着目して『他社よりも速くカタチにして、これまで気づかなかった新しい価値に気づかせる』ことによって、 大ヒット商品が生まれてくるのです」
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野本 纏花(ノモト マドカ)
1983年生まれ。成蹊大学経済学部卒業。大学卒業後、大手IT企業にてレンタルサーバーサービスのマーケティングを担当。その後、モバイル系ベンチャーにてマーケティング・プロダクトマネージャーを務める傍ら、ライター業を開始。旅行関連企業のソーシャルメディアマーケターを経て、2011年1月Writing&Marketing Com...
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