ビデオがワープロ化している、アメリカの最新事情
日本では電子書籍関連のニュースが紙面を賑わせているが、アメリカの新聞・出版業界で注目されているのは動画。新聞社・出版社はどこも自社の撮影スタジオを設け、記者・編集者の代わりにビデオプロデューサーを採用しているという。
これからの時代、「ビデオがワープロになる」と語るのは、米Brightcoveのマーケティング担当シニアバイスプレジデントのジェフ・ワトコット氏(写真左)。アメリカでは小学校でもビデオ制作を学ぶようになってきたとし、今後はワープロに替わってビデオで表現する機会が増えると予見する。
動画配信プラットフォームを提供するBrightcoveで、Webでの動画活用の最新動向を追っているワトコット氏に話を聞くと、アメリカでは次のような流れが生まれているそうだ。
- iPadの普及、Google TVへの注目から、さまざまな場所で動画が視聴されるように
- ソーシャルメディア経由の動画視聴がさらに活性化
- 画像素材ならぬ動画素材の販売サイトが台頭
- 動画時代のWeb広告手法が徐々に定着
- ビデオSEOがマーケターにとっての必須事項に
- 認知→検討→トライアル→コンバージョン→ロイヤリティのステージ別に最適化した動画コンテンツを作成し、ユーザーの状態に応じたマーケティングを展開
それぞれの項目について、詳しく取り上げていこう。
お茶の間での動画視聴が当たり前に
米DisplaySearchのレポートによると、2010年4~6月期のiPad出荷台数は約330万台。同時期のミニノートPC/タブレットPCの総出荷台数は980万台なので、このセグメントでは約33.7%がiPadということになる。
しかも、iPadの利用者には若者や富裕層が多い。企業として取り込みたい層が使っていることから、質・量ともにiPadユーザーの存在感は無視できなくなってきた。従って、iPadユーザーにリーチしたいという企業側のニーズはかなり強くなっているとワトコット氏は明かす。
実際、Brightcoveに寄せられる問い合わせのうち、スマートフォン関連も含めてiPadに関する問い合わせは全体の50%程度。そんな状況を受けて、同社もHTML5での動画再生の対応を急ぐなど、プラットフォームの改善に努めているそうだ。
また、アメリカではGoogle TVが話題になっているという。ワトコット氏によると、アメリカの若者は面白い動画を見つけると、友人を呼んでPCを囲み、みんなで視聴して楽しむのだとか。Google TVが広まれば、面白い動画をより見やすいテレビを使って共有できるようになる。そんな理由もあって、アメリカではGoogle TVへの期待感が高まっているらしい。