全体最適で真のROI最大化を! しかし人力では限界も…
“ROIの最大化”と言うと、メルマガからのコンバージョン率がどれくらいであったか、ダイレクトメールからどのくらいの申し込みがあったかなど、個別の施策やチャネルごとの成果に目を奪われがちです。
しかし、こうした個別キャンペーンの最適化だけでは、本当の意味で「全社的な収益に貢献するマーケティング」を実現することはできません。同じ顧客対象にコンタクトを取るにしても、チャネルをメルマガよりもダイレクトメールに切り替えた方がよいかもしれませんし、より反応が期待できるキャンペーンに予算配分を増やすべきかもしれません。どこに注力すれば本当にROIを最大化できるかが分からず、通り一遍のキャンペーンを踏襲するのでは、予算、工数、共に多くの無駄が発生してしまいます。
限られた予算・人員で効果をあげてROIを向上させるためには、「どの顧客に」「どのキャンペーンを」「どのチャネルを通じて」実施すればマーケティング全体の効果を高められるか、という観点からキャンペーン毎の最適なリソース配分を決定し、キャンペーン計画を立案することが重要です。そこで、データ分析が必要になってくるのです。
分析に基づくキャンペーンの全体最適化のステップは、次のようになります。
キャンペーン最適化の目的を明確にします。
(例)
- 収益の最大化
- マーケティング・コストの最小化
- 販売量の目標達成
-
売上の最大化
など
業務上のさまざまな制約やルールを定義・設定していきます。
(例)
- マーケティング全体の合計予算の上限
- コールセンターのキャパシティ
- 同時に提案すべきでない商品の組み合わせ
- 顧客ごとのコンタクト頻度の上限
-
A商品を提案したら3週間はB商品を提案しない
など
定義した目標を実現するために、予算やリソース配分、キャンペーン内容など制約条件の組み合わせを変えた複数のキャンペーン・シナリオを作成し、どのシナリオが最適な効果を引き出すのかを分析していきます。
マーケティング・キャンペーン全体で、予想される収益性を確認します。また、予算やリソースを追加した場合の影響をシミュレーションして、追加予算を実施した場合の収益性の変化を見極めます。
こうしたステップを踏みながら、普段のルーティンワークでは視界に入らない知見を得て、全社的な最適化の視界を手に入れることこそが、データ分析の真価と言えるでしょう。
これらすべてを考慮しながら分析し、あらゆる組み合わせでキャンペーンを設計・実施して、効果を検証、さらに次の打ち手を検討する。これを普段の業務として実施していくのは、考えただけでも気が遠くなります。人手ではおよそ不可能でしょう。SAS Institute Japanなどが提供しているマーケティング・プラットフォームの活用が不可欠です。
全体最適化されたキャンペーン計画を産み出すには
顧客情報やキャンペーン履歴といったマーケティング情報などを一元管理したデータベースと、高度な分析を実現できるマーケティング・プラットフォームが整っていれば、予算制限やコンタクト・ポリシーなどの条件を考慮しながら、「誰に」「どのキャンペーンを」「どのチャネルを通じて」実施するのが最適かを「自動」で分析し、最適なキャンペーン計画を立案することが可能です。
採算性の高いキャンペーンやチャネルにフォーカスし、顧客分析に基づいた最適な顧客グループを割り振っていくことで、顧客のニーズにあった提案を最適なチャネルを通じて行うことが可能となり、限られた予算や人員で劇的な効果を上げることができるのです。
今回のライフ&ビーナス社を例にとって考えてみましょう。
美容液の特別ダイレクトメール・キャンペーンを成功させた大場部長でしたが、通常業務に戻ってみると計画先行の大量のキャンペーンによって、部下たちは疲れ切っていました。キャンペーンの数が多いため、それらに向けたコンテンツの調整や進行のチェック、レポートの作成、もろもろの事務処理などに時間と労力を割かれてしまいます。こうした状況では顧客分析や効果検証まで十分に行えず、その結果、経験や感覚に頼った“場当たり”的なマーケティング活動に陥り、ROIを最大化するマーケティング計画を立案・実行できずにいたのです。
そこで敏腕コンサルタント アンナさんは、前回導入したマーケティング・プラットフォームを活用したキャンペーン計画全体の見直しを提案しました。
まず、マーケティング全体の予算総額の上限や、キャンペーンの本数・種類・実施規模、顧客あたりのコンタクト可能回数、コールセンターのコール可能数などの条件を設定。その条件下で、「誰に」「どのキャンペーンを」「どのチャネルを通じて」実施すれば最も効果が期待できるか、システムによって自動で最適化を行いました。また、予算を増減させた場合の効果をシミュレーションし、期待できる収益の変化を予測。こうした分析の結果、今までダイレクトメールだけで行っていた「健康米」の販売促進キャンペーンは、対象を従来の20%にまで絞り込みコールセンターからの電話でご案内した方が、コストを維持したまま高い効果が期待できることが分かったのです。
整備した分析環境を活用し、マーケティングキャンペーンの最適化に取り組み始めた、ライフ&ビーナス社マーケティング部。それぞれの顧客が求めるコンタクトを産み出す、最適なキャンペーン計画の立案が可能となったのは大きな進歩となりました。今後もこのやり方を生かすことで、ROIの向上と省力化が同時に得られるはずです。日々オーバーワークを強いられていたマーケティング統括部は、これからどのように変わっていくのでしょうか……。
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