MarkeZine(マーケジン)

記事種別

日本と中国、両方で引っ張りダコのWeb支援事業会社の話

 毎回ユニークな事業を行っている企業の経営者にインタビューする「すべらない事業のつくりかた」。第19回は、中国にオフィスを構え、日本企業の中国進出をサポートしている北京ログラス有限公司の山本 達郎氏に話を聞いた。AERAで「中国に勝った日本人100人」の1人に選ばれた若手経営者のすべらない事業の秘訣とは?

Q.貴社の事業内容を教えてください

 中国北京にオフィスを構え、大きく分けて(1)タオバオ・中国ECサポート、(2)グローバルSEO/SEM、(3)グローバルWeb制作・運営の3つの事業を展開しています。

 タオバオ・中国ECサポート事業では、日系企業の中国市場向けネット販売支援を行っています。中国のNo.1 ECサイトであるタオバオはユーザー数が2億人、サイト内取引額が2010年は約6兆円と、非常に大きな規模に成長しています。その中で、ユニクロが月間で1億円以上販売しており、日系や外資企業の成功例も出てきています。しかし、サイト内の出店数も250万店舗と非常に多く、出店しただけでは売れないため、弊社で店舗デザインや顧客対応、プロモーションなど店舗運営のサポートをしています。

 グローバルSEO/SEM事業では、中国語(簡体字・繁体字)、英語、日本語でのサービスを提供しています。それぞれ、Yahoo、Google、百度向けのサービスとなっています。これらを活かしたサービスとして、この5~6年で600万人にまで増えると言われている中国人の訪日観光客を呼び込む「インバウンドパッケージ」というものも提供しています。日本の自治体や商業施設、大学や病院向けに、中国語サイトを作ってSEM施策を行うというパッケージで、これまでに新潟市や桜美林大学、北海道の別荘サイトなどにサービスを提供しています。

 グローバルWeb制作事業では、中国語(簡体字・繁体字)、英語、日本語での、サイト制作・デザイン業務を行っています。現在までに、無印良品、キユーピー、北京大学などの実績があります。

Q.現在の会社を立ち上げるまでの経緯を教えてください

 大学時代に友人達と学習塾を立ち上げました。大学1年生の春休みの時です。最初の半年位は全然うまく行きませんでしたが、地道な努力が実り、2号教室を開くまでになりました。約3年経営を行った後、将来的に世界で大きく活躍できる仕事がしたいと思い事業を売却しました。

 また、大学時代にはベンチャービジネスを勉強するサークルに入っていました。このサークルは、アメリカのスタンフォードに本部が、カナダ・中国・韓国・シンガポールなど環太平洋の国々に支部があり、半年に一度、皆で集まって1週間ほどの勉強会をするというものでした。

 アメリカへシリコンバレーを見に行ったり、中国にも勉強に行ったりしました。中国では、上海・北京など勢いのあるところを見て、大きく衝撃を受けました。工場で働く人、学生、社会人と理由は人それぞれですが、皆エネルギーがあり、非常に頑張っている人たちを多く見かけました。そして、人口が13億人ということで、危機感をひしひしと感じました。日本が抜かれてしまうという焦りにも似た気持ちと、なんとかしたいという思いが強く湧きました。

 大学を卒業した後、北京に半年、アメリカのサンディエゴに1年留学しました。北京では中国語を、サンディエゴではビジネスをそれぞれ勉強しました。中国語と英語を若いうちに勉強しておきたかったことと、ビジネスの基礎を一通り勉強しておきたかったためです。

 帰国し、半年ほど日本のIT関連企業で働いた後、北京でインターネットビジネスを行う会社を作ることにしました。世界で活躍するためには「発展している国で」「発展している産業を」と考えたためです。「日本が抜かれたままで終わってしまわないように」「元気になるように」と言う以前に、自分でもビジネスを成功させないといけないと思いましたし、日本人が中国に行って成功すれば、一つのモデルとなるのではないかという思いもありました。家族や友人の支援もあり、2006年に北京ログラス広告有限公司を設立しました。

Q.北京での事業スタートで特に苦労された点は何ですか?

 「中国で会社を作るのって大変ですよね?」とよく聞かれます。しかし、会社を作る手続きに関して言えば、面倒なことはあっても、そんなに難しいとは思いません。私の場合、知人に現地の設立代行業者を紹介してもらい、必要書類を教えてもらって用意しました。それが、10数種類あったり、書類を何度も提出に行かなかったりするので、手間はかかりました。

 ただ、日本でも同じだと思いますが一番大変なのは、やはり「人」です。主に社員・クライアント・パートナー企業との関してです。例えば、新しい社員を採用する場合です。特に中国人の場合、育ってきた環境も違えば、金銭感覚も違いますし、仕事に対する価値観・常識・倫理観なども異なります。日本では「報・連・相」が大事だと新人に教えたりしますが、中国で「そういうものが大事だ」と教えていたら、それ以前の問題だったということもありました。会社の備品がなくなってしまったり、会社のお金をだまし取ってしまったりと、そういう次元の問題が起きたりします。ビックリすると同時に、自分の無力さを感じたりもしました。

Q.中国ではどのようにクライアントを獲得しているのですか?

 以前は、テレアポや飛び込み営業なども行っていました。中国企業向けに営業していた時には、中国人社員はもちろん、自分でも中国語で電話をかけていました。ただ、いくら練習をしても、やはりネイティブの発音にはならないので、「どこ出身の人?」とか聞かれ、「日本人です」と答えると、「あぁ、日本人はいらない」と言われたりもしました。そんなこともあって、「劉と申しますが…」と勝手に中国人の名前をつけて電話し、発音が悪いと言われたら「南の方の出身なので」などと言ったりしていました。

 今では、テレアポや飛び込み営業は少なくなってきました。勉強会・セミナー・講演会・飲み会などの集まりにどんどん参加するようにして顔を知ってもらい、事業内容を分かってもらうことで、機会があったら声をかけてもらえるようになったり、紹介してもらえるようになってきました。その他にも、自社で講演会やセミナーを開催しています。会社の信用を高めながら、営業活動をできるようにと心がけています。

※この続きは、会員の方のみお読みいただけます(登録無料)。



  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • プッシュ通知を受け取る

関連リンク

All contents copyright © 2006-2018 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5