費用対効果の測定が難しいSEO
EC事業において先行している同社にも、課題があった。それはSEOの効果測定だ。320万点という大量の商品を扱う同社の場合、CD・DVD・ブルーレイ・書籍といったフォーマット、ポップスやクラシックといったジャンル、アーティスト名、社名、それらの掛け合わせなど、サイトに関連する検索キーワードは膨大な数になる。そのため、自然検索は重要な流入元の一つであり、より詳細な経路分析を行う必要性を感じていたという。
「今期の初旬からリスティング広告のテコ入れに注力し始めた。そうすると当然、さまざまなワードでのパフォーマンスを分析することになるわけだが、リスティング広告のみの効果しか測定できないジレンマを感じ始めた。つまり、自然検索からは“どういうワード・経路で流入しているのか”、さらに“そこからどのような導線でコンバージョンに至っているのか”といった変化を一気通貫で把握する必要性があることが見えてきた。
はじめは、アクセス解析ツールを使って自然検索からの効果測定を試みたが、流入ワードとコンバージョンデータを照合する作業などが想像以上に煩雑だった。また、現在2種類のアクセス解析ツールを併用しているが、ツールの仕様ごとに数値が異なったり、数値の背景が見えなかったりと、信頼できる指標としては不十分だった。リスティング広告などと比較して、どれだけ売上や会員獲得に貢献したかなどを見るにも、そもそも別々のツールで効果測定しても定点観測にならないし、計測値の照合にも時間がかかってしまうため、ツールの導入に踏み切った」
HMVジャパンでは、ツールの導入にあたって計測したい項目をリストアップし、いくつかのツールを比較検討。全てを網羅しているツールは何種類か存在したものの高額。手頃な価格で計測ニーズを満たしていたのが、SEOエビスだった。また、以前から広告効果測定ツールとしてアドエビスを利用していたため、リスティング広告と同じ基盤・指標で計測できるという点が導入の大きな決め手になったという。
SEOエビスの優位性とは
では、SEOエビスは何が優れているのだろうか。特徴をまとめると次の4点が挙げられる。
- 自然検索からの流入も成約数ベースで効果測定が可能
- 広告施策とSEO施策を同じ管理画面、同じ評価基準で平等に評価可能
- 最大20個までのコンバージョンポイントが設定でき、各件数や売上金額を確認可能
- アドエビスと共通のタグで利用できるため設定が容易
流入施策の評価をすべて同一管理画面で行うことができることで、広告と自然検索の関係性を確認し、各種施策の費用対効果を把握できるうえ、シナジー効果にも期待できる。実際に運用する上では、「SEO効果測定」「SEO×広告効果分析」「期間別集計」が特筆すべき機能と言えるだろう。
「SEO効果測定」の面では、“どの検索エンジン”の“何という自然検索ワード”からの流入なのかが明らかになる。そして、アドエビスで設定したコンバージョンが自動的に反映され、各コンバージョンの数と割合から、「会員登録に強い」「購入に強い」など細かな効果比較が可能となる。さらに、どの自然検索ワードが売上に貢献し、その金額はいくらなのか、という部分まで明確に分析することができる。今まで、「SEO施策へいくら投資していいのか?」というのはWebマーケターの悩みどころだったが、明確なデータ・金額として成果が表れるのは、大きな利点だろう。
「SEO×広告効果分析」では、自然検索と広告、それぞれの流入を一元管理し、ワードや施策ごとの流入を過去にさかのぼって把握できる。例えば、“検索エンジンからWebサイトへ来訪した人が、後日リスティング広告から再来訪してコンバージョンした”といった場合などに、各行動を追い、コンバージョンに至る流入経路が確認できるわけだ。これにより、初回接触に有効な施策、直接購入効果に有効な施策を理解したうえでの、効果的なプロモーション戦略の立案も可能となる。
また、日別、月別、曜日別、時間帯別といった「期間別集計」も可能なため、季節要因やユーザーの行動パターンなどの分析にも活用できる。絞り込み検索を使えば、特定検索エンジンの計測結果も表示できるため、媒体ごとのレスポンスを追うことも可能だ。
このように、自然検索や広告などサイトへの入り口を一括で把握・管理し、最終的なコンバージョンまで追えることによるメリットは大きいだろう。では、実際にHMVジャパンでは、どのような効果があったのだろうか。