サーバーサイドの変数処理
今までは、カスタム変数に値をセットするためには、変数の名前を明示的に指定する必要があった。
例:s.eVar7 = 'premium';
どの番号の変数に何を格納するかは、サイトによって異なるため、JavaやPHPなどのサーバーサイドのプログラムや、JavaScriptのファイルの中のこの記述をサイトごとに変更する必要があった。
Adobe SiteCatalyst v15からは、変数名を指定しないで値を収集サーバーへ送信し、管理画面上でどの変数に格納するかをマッピングできるようになる。
例:s.contextData['rank'] = 'premium';
さらに、別の変数に値をコピーしたり、条件に合致した場合にのみevent変数をセットする、というルートベースの後処理も可能になる。
ディスプレイ広告用の安価なコール課金
「キャンペーンの間接効果は解析できるのか?アトリビューションの計測・実装方法を考察する」の記事で紹介したようなアトリビューションの管理をする場合、ディスプレイ広告のクリックに加えてインプレッションも計測することで、ビュースルー率の間接効果も分析したくなる。
広告と一緒にビーコン画像を表示させれば(またはリダイレクト)、現在でも計測が可能だが、Adobe SiteCatalyst計測サーバーへのコール数が増えるため、費用対効果が合わなくなる、という課題があった。
この対策として、ディスプレイ広告用の安価な課金体系が導入されるという。価格体系はまだ不明だが、現実的なレベルになることを期待したい。
iPad専用アプリ
計測結果のレポートを表示させるため、iPhone用とAndroid用のアプリが提供されていたが、iPad専用アプリがリリースされる。
iPadの大画面を活かしたフリックやピンチ操作が可能だ。また、前述したグラフの「正規化」も実装される。
データ移行が必要
このように大きく変わるAdobe SiteCatalyst v15だが、プラットフォームが大きく変わるため、今までのようにログイン画面でバージョンを指定すれば使える、というわけにはいかない。
事前にスケジュールを決めて、データの移行が必要になるになる。一度移行すると元には戻せないため、一部の顧客から順次移行作業を進めていくという。幅広く利用可能になるまで時間がかかるかもしれないが、待つ価値はありそうだ。
なお、この新バージョンには、2010年3月に開設された「Idea Exchange」という公式コミュニティサイトに投稿された改善アイデアや、昨年のOmniture Summitで人気が高かった要望が数多く反映されている。
日本からもぜひ「Idea Exchange」で積極的に投稿・投票してみてはいかがだろうか? 筆者が投稿したアイデアが採用されたこともある。英語での投稿に抵抗がある場合は、既存のアイデアに1クリックで投票するだけでも良いだろう。