グーグル過去最大のプロジェクト「HOME’S PARTY」の裏側
不動産情報ポータル「HOME’S」を運営する株式会社ネクストが、2011年1月からYouTubeを活用して実施したキャンペーン「HOME’S PARTY」。その仕掛け人が藤本氏をはじめとするGoogle広告営業チームだった。
開始わずか3週間で再生回数100万回を記録した

HOME’S PARTYはインタラクティブなクイズ形式のキャンペーン。ある有名人が開いたホームパーティーの動画をYouTubeで見て、動画内に存在するヒントを元に「その有名人は誰か」「パーティー会場となった部屋の家賃は幾らか」といったクイズに答えていく。
パーティー会場の動画は特殊カメラで撮影した360度対応のパノラマ形式。画面内をクリック&ドラッグすることで視点を自由に切り替えられ、動画内に登場するマークをクリックするとヒント動画が流れるという仕組みだ。様々な仕掛けが施されたクリエイティブはWeb上で話題を集め、3週間で再生回数が100万回を突破した。これは、過去のYouTubeを利用したキャンペーンの中でも異例のスピードだという。
キャンペーンを開始するにあたりネクストから受けたリクエストは、「とにかく日本で初めてで、新しくて面白い、YouTubeを活用したキャンペーンをやりたい」というものだった。依頼を受けた藤本氏は、アカウントプランナーの古畑美樹氏と相談しながらキャンペーンの設計を開始。海外のさまざまな事例にも当たりながら、ネクストと議論を重ねた。さらに、クリエイティブを担当してもらうエージェンシーの候補をリストアップして紹介したり、アイデア出しなどにも参加した。そうして、「これで行こう」と企画されたのが、HOME'S PARTYだった。だが、Googleとして売上が発生するのはあくまで広告の部分のみ。

広告営業本部
アカウントストラテジスト
三浦 豊史 氏
「ディレクションにまで関わることに対して、社内から懐疑的な意見も出ました。ですが、今までは『海外で面白いことを日本に輸入しよう』という流れでしたが、日本からも発信できることがあるんじゃないか。日本発の面白いキャンペーンも必ずできる。それをGoogleとして手伝うことには意味があるんじゃないか。そう考えて、あえて踏み込みました」(藤本氏)
しかし、インターフェースなどを含む今回の仕掛け全体が、日本のみならず世界的にも全く新しい試みであったため、本国のブランド担当者との調整はローンチ直前まで困難を極めた。最終的には、世界中のさまざまなルートを駆使し、実施までこぎつけた。その結果、「不動産業界で見ると、世界を探しても事例が無い。すごく大きな成果が残せました」(三浦氏)。 グーグル株式会社の広告売上としても、重要なインパクトを残す形になった。
100万回再生という成果も、数あるKPIの1つ

広告営業本部
アカウントプランナー
古畑 美樹 氏
苦労して作ったキャンペーンでも、見てもらえなければ意味が無い。HOME’S PARTYはソーシャルメディア経由の口コミも活用したが、主にYouTubeの広告枠を使って集客。前述のようにかつてないスピードで再生回数を増やし、大きな注目を集めた。
キャンペーンの成否を測るために設定していた重要業績評価指標(KPI)は、基本は「ブランド認知の向上」。よって、今回は、再生回数だけではなく、GoogleにおけるHOME'Sのブランド関連検索数のシェアといった複数の指標も取り入れた。
「YouTubeは多くのユーザーに利用されているので、そこから効果的に認知・集客を行う。そして、キャンペーンを通じてHOME'Sへの興味を喚起する。その結果、YouTube内に限らず、インターネット内でのブランド関連キーワードの検索数が増えるというストーリーを想定していた」。ブランド関連検索数のシェア増加というKPIを設定したのには、そんな考えがあったと古畑氏は明かす。HOME’S PARTYが本当に成功したのか、判断するのはまさにこれからというわけだ。