ROI All-Starsが集結
筆者はオーストラリアのマードック大学の事例を選択した。登場したのは、デジタルメディア部門のSr.マネージャー、ティム エレストン氏。
学内に約500のサイトを抱え、独自CMSを活用して一貫したユーザー体験を提供している。最近は学生の確保が難しいため、マイクロサイトを作り、応募者を増やすための各種キャンペーンを実施している。このキャンペーンの最適化が今回の事例であり、最適化のためのA/Bテストやターゲティングに力を入れている、という。
最適化のアプローチ
まずはA/Bテスト
まず、ページに掲載するモジュールで、Adobe Test&Targetを使ってA/Bテストを実施した。Aパターンは各種のコンテンツを掲載したマイクロサイトへのリンク、Bパターンは入学申し込みフォームへのリンクだ。
ところが、コンバージョン率には有意な差が見られなかった。
そこで、Adobe Discoverを使ってセグメントを切りながら解析したところ、実はマイクロサイトを一度でも閲覧したユーザーは、応募のコンバージョンが28%増加していることが分かった。
これは、約1000万ドル分の授業料収入に相当するそうだ。コンテンツの貢献度が明確で分かりやすい。
次にターゲティング
次に、応募フォームに関する行動ターゲティングを実施した。具体的には、サイト上の行動(コースの検索や応募フォーム)から意図を読み取り、下記の3つのセグメントを作成。
- コースに興味を持っているだけの人
- 興味を持っているが応募フォームにはアクセスしていない人
- 応募フォームにアクセスしたが、完了しなかった人
それぞれのセグメントに対して、表示する画像やテキスト、リンク先URLを出し分けるターゲティングを行った。
その結果、応募フォームを途中でやめたセグメントの34%が応募フォームを再開して完了に至った。これだけで、200万ドルの授業料収入に相当する。
活用したのは、Adobe SiteCatalyst、Adobe DataWarehouse、Adobe Discover、Adobe Test&Target、Adobe SearchCenter、Adobe Genesis、というフルラインナップだ。さらに、Adobe Search&Promoteを導入してサイト内検索を最適化する準備を進めているという。
近隣のAPAC地域で、ECでもITでもない教育機関が、国内最大級のECサイトよりもOmnitureテクノロジーをフル活用し、かつ分かりやすいビジネス成果を出していることを知り、驚いた。日本も負けてはいられない。