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Adobe Omniture Summit 2011総力レポート

国内最大級のECよりも解析上手?
Omnitureテクノロジーをフル活用するマードック大学の事例


 Adobe Omniture Summit 2011初日の午後は、「ROI All-Stars」というセッションに参加した。5人のWebアナリスト・リーダーがそれぞれ自社の事例を短く紹介した後、オーディエンスが5つの丸テーブルに別れて質疑応答やディスカッションをする、というユニークな形式のセッションだ。(バックナンバーこちら)

ROI All-Starsが集結

 筆者はオーストラリアのマードック大学の事例を選択した。登場したのは、デジタルメディア部門のSr.マネージャー、ティム エレストン氏。

 学内に約500のサイトを抱え、独自CMSを活用して一貫したユーザー体験を提供している。最近は学生の確保が難しいため、マイクロサイトを作り、応募者を増やすための各種キャンペーンを実施している。このキャンペーンの最適化が今回の事例であり、最適化のためのA/Bテストやターゲティングに力を入れている、という。

最適化のアプローチ

まずはA/Bテスト

 まず、ページに掲載するモジュールで、Adobe Test&Targetを使ってA/Bテストを実施した。Aパターンは各種のコンテンツを掲載したマイクロサイトへのリンク、Bパターンは入学申し込みフォームへのリンクだ。

 ところが、コンバージョン率には有意な差が見られなかった。

 そこで、Adobe Discoverを使ってセグメントを切りながら解析したところ、実はマイクロサイトを一度でも閲覧したユーザーは、応募のコンバージョンが28%増加していることが分かった。

 これは、約1000万ドル分の授業料収入に相当するそうだ。コンテンツの貢献度が明確で分かりやすい。

次にターゲティング

 次に、応募フォームに関する行動ターゲティングを実施した。具体的には、サイト上の行動(コースの検索や応募フォーム)から意図を読み取り、下記の3つのセグメントを作成。

  • コースに興味を持っているだけの人
  • 興味を持っているが応募フォームにはアクセスしていない人
  • 応募フォームにアクセスしたが、完了しなかった人

 それぞれのセグメントに対して、表示する画像やテキスト、リンク先URLを出し分けるターゲティングを行った。

 その結果、応募フォームを途中でやめたセグメントの34%が応募フォームを再開して完了に至った。これだけで、200万ドルの授業料収入に相当する。

 活用したのは、Adobe SiteCatalyst、Adobe DataWarehouse、Adobe Discover、Adobe Test&Target、Adobe SearchCenter、Adobe Genesis、というフルラインナップだ。さらに、Adobe Search&Promoteを導入してサイト内検索を最適化する準備を進めているという。

 近隣のAPAC地域で、ECでもITでもない教育機関が、国内最大級のECサイトよりもOmnitureテクノロジーをフル活用し、かつ分かりやすいビジネス成果を出していることを知り、驚いた。日本も負けてはいられない。

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この記事の著者

清水 誠(シミズ マコト)

Webアナリスト/改善リーダー。

1995~2004年まで凸版印刷・Scient・RazorfishにてWebコンサルティングやIA・UI設計に従事した後、事業会社側へ転身。UX/IAやデジタルマーケティングの導入による社内プロセス改善の推進と事例化を行っている。ウェブクルーでは開発・運用プロセスを改善し上場を支援、日本アムウェイでは印刷物のデジタルワークフローとCMS・PIMを導入、楽天では...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2011/04/13 15:06 https://markezine.jp/article/detail/13599

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